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手紙とお土産。

 日が暮れ月が真上にくる頃。

 やっぱりどうしても我慢ができなかったセラフィーナは、ルークヴァルトの魔力紋を辿って部隊の野営の場所まで空間転移をし、こっそり忍び込んでいた。

 そのままルークヴァルトの寝所に近づいて様子を探る。


(前の時は兄さんに見つかったのよね。あれでなかなか優秀っぽいし)


 今回はあまり堂々と現れないようにしよう。こっそり魔結晶とお手紙を置いてこうよかな。

 だなんて考えて。


 あの魔獣の襲撃の裏にあった出来事を魔人の話は端折って簡単にまとめた。

 魔結晶を中心に魔溜りができていたこと。

 その漆黒をよび魔獣を召喚した術士は事切れていたこと。

 魔溜りはセラフィーナの魔法で蒸発させたから、もうこれ以上魔獣が発生することはないってことを綴ってお土産の魔結晶と共に届ければ、ルークヴァルトの今後の計画にも役に立つだろう。そう考えて。

 魔人と戦ったって話せば心配をかける。

 それに、結局その魔人クロムは今やセラフィーナの使い魔猫だから、その説明も面倒だった。

 まあ侯爵側にとってもクロムの存在はイレギュラーで、知ってるものはもう誰もいないわけだから、黙っていればばれっこない。


「いいわね? クロム。あんたは余計なことを言わないのよ? っていうか森で拾ったことにするからね? 話を合わせてね?」


 ——あるじどのも心配性だね。ワタシは人前では「にゃぁ」とだけ言っておけばいいってことでしょ? お話するのはあるじどのだけでいいわ。どうせこの声はあるじどのにしか聞こえないんだから。


「え? そうなの?」


 ——マナの糸で繋がってるもの。心でこうして会話できるのもそのせいじゃない?


「なるほどー」


 ——それよりあるじどの? あるじどのこそ人前でそんなふうに声に出さない方がいいよ? 側から見たら、一人で喋ってるように見えるから。ちょっと恥ずかしいよ?


「えええええ!!?」


 ——ほら、だから〜 そんな大声出さないの。見つかるよ?


(はうあう。そっか。こうして意識するだけで伝わるんだよね? ついつい声に出しちゃってたよ)


 ——そそ。心で話せるんだから。



 したためた手紙と魔結晶は袋に包んでクロムの背中にくくりつけた。


 ——これでこっそりあるじどのの旦那様の枕元に置いてくればいいのね?


(うん。あんたなら小さいし黒いから目立たないしね。それに、もし見つかってもわたしがティムした使い魔だって誤魔化すから平気よ)


 ——了解。じゃぁ行ってくるね〜


(うん。もし危ない目に遭いそうになったら呼ぶのよ。わたしがすっと転移させてあげるから)


 ——ねえ? そんなことができるなら、このお手紙と荷物だけをその旦那の枕元に転移させちゃえばいいんじゃない?


(ダメよ。それは危なすぎるもの。転移ってそんな簡単なものじゃないのよ。あんたならマナの手で掴んでくるっとひっくり返すだけでわたしの魂の中に戻せるけど、物質をひょいひょい転移させてもしその位置計算を間違ったら、大変なことになるんだから)


 ——大変って?


(失敗したら、この近辺が全部まとめて消滅するくらいの大爆発が起こるわね)


 ——それは確かに大変〜 


(もう。あんたの声じゃあんまり大変そうに聞こえないわね。まあいいわ。そういうことだからよろしくね)


 尻尾をたてゆらゆらと振って行ってきますと合図するクロム。

 無事に辿り着いてくれるといいな。それでももし見つかってもそれはそれでいいかも。

 なんてのんびり考えながらクロムに「行ってらっしゃい」と手を振るセラフィーナだった。

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