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マジカルレイヤー。

 精神だけを離脱させたと言っても本体とは細く長いマナの糸で繋がっている。

 本体にも感覚を残しながら、大空を飛ぶのだ。

 まるで大鷲にでもなったかのような爽快感。

 魔女エレナの時にはよくやっていたこんな空中の散歩。大空から地上をみるのは、今のこの人生になってからははじめてだったけれどそんなに苦もなくできた。


 青空はどこまでも雲ひとつなく、眼下に見える山脈を越えればそこはもうマキアベリ領だった。


 見た感じではどこにも兵が伏せてある様子は無い。

 これなら安心、かな。

 そう思った瞬間、林の真ん中にあった泉が黒く染まるのがわかった。


(ダメ、あれは!)


 あっという間に漆黒に染まり、魔素が溢れ出す。

 魔溜りがぐつぐつと湧き上がり、そこから魔獣が出現した。


「ドラゴベアー!!」

 巨大な熊の魔獣。ドラゴンのようなツノが二本頭から伸び、身体中を硬い鱗で覆っているその姿。

 まるでドラゴンの着ぐるみを着た熊とでも言わんばかりのそんな巨体がその魔溜りから形成された。


 そのまままっすぐどかどかと前進しはじめたそれ。

(ああだめだ。あのまま行くと騎士団とぶつかる!)

 いや、あれは元々騎士団を狙っている。

 と言うことは、あの魔溜りはやっぱり人為的なもの。

 マキアベリ侯爵の配下の魔道士かそれとも魔人があの魔溜りの周囲にいるのかもしれない。


 ならば!


 セラフィーナはその精神の周囲にマナのガワを形成していった。

 マジカルレイヤーというその膜。

 そこに直接魔女エレナであった時の姿、マトリクスを映し出す。

 本体のセラフィーナにしてみたらいわば分身体とでもいうそんな姿を表した彼女は、そのまま林の中心の魔溜りに向かって急降下した。



 エメラルドの髪がたなびき、蒼いキトンがふわりと広がる。

 背中には一対の黄金の翼。

 そんな姿に変化したセラフィーナ。


「元を経たなきゃダメだよね!」


 ドン! と土を抉る勢いで着地したセラフィーナ。

 着地した勢いのまま片手をブンとふり、ソニックブレードを放つ!



 漆黒の魔溜りの脇には案の定やはり漆黒に染まった魔人がいた。


「おやおや。ずいぶんと乱暴なお嬢さんですね。まあその程度じゃワタシにはそよ風にしか感じませんが」


 のっそりと現れたそれ。真っ黒な顔にぱっくりとあいた赤い口が、異形のそれを物語っていた。

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