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今のこの世界を守りたい。

 翌朝。

 町のはずれでルークを見送りさてどうしようと思案する。

 彼らがマキアベリ領に入るところで何か諍いが起こるのだろうか?

 それとも、領都ベリアまではスムーズに行くことができるのだろうか?

 そこが少し心配だった。


 魔力を消費しすぎるといざとなった時に心配だ。

 けれど、あれは一度に強力な魔法をたくさん消費したから、で、少しずつであれば体にも負担はあまりかからないのは冒険者活動で経験済みだった。

 あれだって、魔力が枯渇したわけでもない。ゲートから大量にマナを放出する行為に、体力がついていかなかったせいで。

 普段から体を鍛えなきゃなぁ。だなんて考えて。

(根本的にこの身体は体力が無さすぎるのよね)

 だなんて愚痴る。


 神の使徒であった時くらい、とまでは言わないけれど、もう少し自由に魔法が使えるよにならなきゃ。

 そう思う。


 そうでないといざという時に困る。


 あんな最後はもう嫌。

 大切なひとが死んでしまうのをみるのは、もう二度と経験したくはなかった。

 それに。


 実は時を戻しても死んでしまった人が生き返るわけじゃない。

 時間が巻き戻っても、巻き戻った場所から世界が分岐するだけなのだ。


 この世界、空間、時空は、マナの泡でできた風船の表面のようなもの。

 風船と言えばまだまし。実際にはシャボン玉の泡のように脆いものだ。

 それがくっついたり離れたりしながら漂っている。


 世界が分岐すると言うのはそんな泡が分かれる現象。

 微妙に重なりながら、時を紡ぎながら、世界の泡はくっついたり離れたり、二重になったり増えたりする。

 それが時の流れ。

 世界の仕組みだったから。


 セラフィーナは思う。

 この、今のこの世界を守りたい。

 失敗したらやり直せば良いだなんて、そんな気持ちにはなれない。

 だって、失敗した世界はその悲しみと共にそのまま紡がれていくのだから。

 自分はそこから離脱してしまったけれどみんなが死んでしまった世界だってそのまま残っているんだから。


 恋愛感情はまだ戻ってきていない。

 もしかしたらそれも前の世界においてきてしまったのかもしれない。

 そんなふうに思いながら、少しアンニュイな気分に浸って。


 そのまま精神だけを空に飛ばしてみる。大空をゆけば少しは気分が晴れそうだ。

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