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【Side ルーク】アルバート。

 そんな時だった。

 私が独身を貫いて、「女なんてどれも一緒。穢らわしい」と縁談を全て一蹴してきたことに痺れを切らしたウイリアム王陛下が、「ルークが結婚し継子を残さないのであれば王子の一人を養子にし公爵家を継がせるように」などという圧力をかけてきた。

 やっぱり自分の子が可愛いのか、とか、流石に歳もあまり違わない従兄弟の王子の誰かを養子にとかありえないとぼやく私に、

「ならうちの妹を嫁にもらってくださいよ、俺が潜入捜査で不在になるとセラフィーナはますます内に篭ってしまうから」

 という部下のアルバート。

 安全保安局の局長にまで上り詰めていた私は、幼馴染でずっと一緒についてきてくれていたアルバート・レイニーウッドからのそんな提案に、渡りに船とのってしまった。

「私は女性を愛せない。おまえの妹であってもあくまでお飾りの妻にしか出来ないが、それでもいいのか?」

「いいんですよそれでも。あれは今のままじゃダメだ。外に連れ出す良いきっかけになる。飲んだくれの父と二人きりにもしたくないんだよ。それに。俺はルークを信じてる。悪いようにはしないって」

「わかった。では、これは私とお前の間の契約だ。私はお前が留守をする間お前の妹、たしかセラフィ、だったかな。彼女を守る。彼女には悪いが、その間私のお飾りの妻として過ごしてもらうということで。いいか?」

「ああ。一応妹の意思も確認するが、きっとオーケーするはずさ」

「了解だ。しかし……」

「なあに。俺は無事に任務を遂行して戻ってくるさ。その後のことはそれから考えればいい」

「絶対に、無理はするなよ」

「はは。俺の優秀さを知っているだろ? 大丈夫、期待に応えてみせるさ」


 危険な任務だった。

 それでも、局長としての私には誰かにその任務を託さなければいけない、事件を解決するためには絶対に必要な任務だと、そんな責任もある。


「頼んだぞアルバート」


 そうして彼を送り出したあとやってきたアルバートの妹。

 子供の頃会ったことがあったはず。しかしそれでも現れた彼女は当時の幼い頃の面影などない、陰鬱な表情をした女性へと変貌していた。


 結婚式も披露宴もすることは無く、ただ書類だけの関係。

 言葉も何を言っているのか聞こえないくらいの小声で、俯きがちに受け答えする彼女。


(まあこれぐらいの女性の方がいいか。うるさいのは勘弁してほしいしな)


 だなんて考えながら寝室へ案内した時だった。


 急に彼女の体がふらついて倒れそうに見え、思わずその肩を抱き支えていた。

 一瞬。本当に一瞬。彼女の姿が別人のようにも見えたと思ったその時。

 目を見開いた彼女の表情に、引き込まれていた。

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