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未来から吹いた風2 《軍人転生編》  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

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幕間: 開戦への想い

【後島 慎二】


 くそ、とうとうアメリカとの戦争が始まるな。

 さんざん覚悟してきたとはいえ、嫌なもんだぜ。


 それにしてもアメリカが、あんなに強引な手段に出るとはなぁ。

 日本の海防艦がアメリカ艦を攻撃しただなんて、トンキン湾かよ。

 完全に奴らの言いがかりだ。


 こうなったらもう、外交もクソもない。

 正面から迎え撃つまでだ。

 なにしろ我が帝国海軍は、史実よりも格段に強くなってるからな。


 多数の航空機を搭載し、高い生存性を持つ空母群に、対空性能を大幅に向上させた戦艦たち。

 高い対空性能と高速性を併せ持つ巡洋艦に、バランスの取れた駆逐艦ども。

 さらに今世の潜水艦は、アメリカ艦以上の攻撃力と居住性を備えている。


 航空機や魚雷の性能も高いから、まず負けはないだろう。

 とはいえ、戦争をするからには犠牲は避けられない。

 死傷者を少しでも減らすよう、俺もがんばらなくちゃな。


 ひとつ心残りなのは、46センチ砲戦艦を見られなかったことだよなぁ。

 さすがに平賀さんを巻きこむことも、できなかったし。

 今世でもモンタナ級は18インチ砲らしいから、また世界最強の座を持ってかれるのかな?


 いやいや、大和や武蔵の、レーダー照準の41センチ砲だって、決して劣らないはすだ。

 願わくば、そんな戦艦の晴れ姿を見てみたいもんだなあ。

 まあ、どのみち俺は、前線に行けないんだけどね。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【中島 正三】


 とうとう太平洋戦争が始まることになった。

 それもアメリカの謀略による、だまし討ちがきっかけだ。

 うすうす予想はしていたけど、まさかそこまで恥知らずなことをするなんて。


 こんな時のために、僕たちは日本を強靭化させてきたんだ。

 だけどそれがむしろ、アメリカの嫉妬と疑心を買ってしまっただなんて、皮肉だな。

 でもこうなったからには、僕も腹をくくるしかない。


 だってそうしなきゃ、大勢の日本人が死んでしまうんだ。

 同胞を守るためなら、僕も鬼になるしかない。


 もっとも、僕自身が前線で戦うわけじゃないけどね。

 僕が作った兵器が、アメリカ人を殺すんだ。


 今世でもいろいろと苦労したなぁ。

 原さんと一緒に強力な戦車を作ったし、レーダーや近接信管、高性能通信機も開発した。

 他にも誘導魚雷や高出力バッテリー、高性能モーターとかも作ったな。


 特に誘導魚雷は、やっぱり苦労したなぁ。

 前世でもやったけど、今世のはさらに高性能だからね。

 ぶっちゃけ、何度、夢に出てきたことか。


 その甲斐あって、優秀な魚雷になったけど、あれが大勢のアメリカ人を殺すんだ。

 ああ、嫌だ嫌だ。

 僕が大量殺人の、片棒をかつぐだなんて。


 でもこれも、先に殴りかかってきたアメリカが悪いんだ。

 申し訳ないけど、死んでもらうよ。

 恨むんなら、ルーズベルトを恨むんだね。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【佐島 四郎】


 いよいよ戦争になるか。

 そうならんよう、さんざん祈っとったけど、ままならんもんやな。

 結局、アメリカっちゅう国は、潜在的な敵を放置は、でけんということやろうな。


 それならそれで、受けて立ってやろうやないか。

 俺らが鍛えてきた日本は、そんな甘っちょろい国やないでえ。


 祐一が育てたエンジンと航空機は、すでに欧米にも劣らん。

 慎二が開発した金属材料は、全ての兵器を強化しとる。

 正三が生み出す電気技術なんて、敵から見たら反則やろうな。


 俺だって様々な化学製品を作ったし、ハイオクガソリンの生産体制も確立済みや。

 これらの技術力と工業力は、決してアメリカにもひけを取らんやろう。


 そして誰より恐ろしいのが、健吾のやつや。

 あいつ、金儲けをやっとるふりして、世界中に諜報網を築いたからな。

 そこから得られる情報だけでなく、いざという時に非合法な工作だって可能ときた。


 おまけにあいつは、ただスパイ活動に酔ってるだけやないんや。

 ちゃ~んと世界の情勢を分析して、戦争の終わらせ方まで考えとる。

 あいつがおるから、俺も戦争に賛成できるようなもんや。


 頼むで、健吾。

 なるべく早く、戦争を終わらせたっとくれ。

 でないと正三が責任感じすぎて、ダメになるかもしれん。


 自衛のためとはいえ、人を殺すんやからな。

 嫌な世界や。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【川島 健吾】


 いよいよ太平洋戦争が始まるか。

 俺はさんざん、情報を集めてきたから、こうなるのは分かりきっていた。

 まあ、あそこまで恥知らずな手段を取る可能性は、低いと思っていたがな。


 おおかた、日本に隙がないんで、捏造するしかなかったんだろうな。

 しかしいくらアメリカとはいえ、日本を舐めすぎだ。

 この代償は、高くつくぞ。


 それにしても、俺が大将で、参謀総長か。

 そうなるように準備してきたとはいえ、実際になってみると感慨深いものがあるな。

 それと同時に、とてもやりがいのある仕事だ。


 なにしろ俺と祐一が、帝国軍の実質的な指揮権を握るってことだからな。

 幸いにも海軍は精強で、装備も充実している。

 おかげでそっち側は、祐一に任せていられる。


 しかし太平洋戦争といえど、陸軍が暇になるわけじゃない。

 ルーズベルトはソ連に親近感を抱いているから、間違いなくこの戦争に引きこむはずだ。

 実際に前世でも、やられたことだからな。


 しかし今世でも極東同盟は結成できているので、十分に対応は可能だ。

 正統ロシアへの技術供与や合同演習によって、それなりに国境は固めているからな。

 そして大陸への迅速な兵力移動も、長年にわたって練り上げてきた。

 優秀な指揮官も揃ってるから、前線の指揮も問題ないだろう。


 それよりも重要なのは、いかにこの戦争を終らせるかだ。

 おそらく海軍は、前世のように優勢に戦闘を進められるだろう。

 しかし我が国には西海岸どころか、ハワイすら占領・維持する能力はない。


 そんなもん、金と物資の無駄遣いにしかならないからな。

 そうすると、いくら戦闘で勝っても、アメリカを追い詰める手段に乏しい。

 もちろん、前世みたいに西海岸の爆撃とかはするけどな。


 おそらくそれだけでは、講和交渉もできないだろう。

 そして前世のような、ルーズベルトの急死なんかに期待するのも危険だ。

 あれはたまたまの僥倖ぎょうこうだったからな。


 まあ、アメリカで工作する仕込みは、バッチリしてある。

 状況を見ながら、謀略を展開してやろうじゃないか。

 幸いにも、石原莞爾のやつがこういうの大好きなんだよな。

 おかげで俺の負担が減って、助かっている。


 そして今世では、戦後のアメリカの弱体化を狙っていくつもりだ。

 これも陸軍の指揮権を、一手に握れるからこそだな。

 ククク、ルーズベルトめ。

 今に目にもの、見せてやろうじゃないか。

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三国志モノの新作を始めました。

逆襲の孫策 ~断金コンビが築く呉王朝~

孫権の兄 孫策が逆行転生して、新たな歴史を作るお話です。

― 新着の感想 ―
[良い点] 存在X「なに、また無意味に大和の砲を小さくして節税した気になってるだって、よし、ルーズベルトに神託を下して罰を与えてやらねばな」とかありそうですね。 [一言] 前作の独裁と違って、ここまで…
[一言] 戦力で劣る国が強国に勝つにはそりゃ暗躍暗躍&暗躍しかないやろなぁ。 いくら強化したと言っては数は力だからな、全力で正面戦闘する必要はない。裏から手を回さにゃ。
[良い点] 今周回は前周回よりルーズベルトが長生きしそう。 [一言] 毎日の楽しみです。 いよいよ開戦ですね!
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