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未来から吹いた風2 《軍人転生編》  作者: 青雲あゆむ
第3章 昭和編

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32.海軍を強化しよう(2)

昭和11年(1936年)4月 海軍艦政本部


 日本では主力艦の建造と並行して、補助艦艇の開発も行っていた。

 いろいろとやってはいるが、その主力は以下の重巡、軽巡、駆逐艦になるだろう。


最上もがみ型 重巡洋艦】

全長x全幅:205 x 21m

基準排水量:1万4千トン

出力   :12万馬力

最大速力 :33ノット

機関   :川崎重工製 重油専焼缶x8基

      三菱重工製 ギヤードタービンx4基、4軸

主要兵装 :55口径20センチ3連装砲x3基

      38口径12.7センチ連装両用砲x6基

      25ミリ4連装機銃x12基

      25ミリ単装機銃x24基


 これはアメリカのボルチモア級を参考にしたもので、史実の最上型より2千トンほどでかい。

 その分、防御も堅固で、居住性も良くなっている。

 当然ながら、12.7センチ砲はレーダーと連動し、近接信管と合わせて、鬼のような対空性能を発揮する予定だ。



阿賀野あがの型 軽巡洋艦】

全長x全幅:186 x 20m

基準排水量:1万1千トン

出力   :10万馬力

最大速力 :33ノット

機関   :川崎重工製 重油専焼缶x6基

      三菱重工製 ギヤードタービンx4基、4軸

主要兵装 :47口径15センチ3連装砲x4基

      38口径12.7センチ連装両用砲x6基

      25ミリ4連装機銃x10基

      25ミリ単装機銃x10基

      61センチ連装魚雷発射管x2基

      爆雷投射機x6基


 こいつはクリーブランド級を参考にしたもので、史実の阿賀野より4千トン以上大きい。

 最上型より砲力は弱いが、魚雷と爆雷を装備し、水雷戦隊の指揮艦として活躍する予定だ。

 さらに対空性能は最上型に迫るものがあり、空母機動艦隊の守護者としても機能するだろう。



【夕雲型 駆逐艦】

全長x全幅:115 x 12m

基準排水量:2100トン

出力   :6万馬力

最大速力 :36.5ノット

機関   :川崎重工製 重油専焼缶x4基

      三菱重工製 ギヤードタービンx2基、2軸

主要兵装 :38口径5インチ両用砲x5基

      25ミリ連装機銃x6基

      61センチ連装魚雷発射管x2基

      爆雷投射機x6基

      爆雷投下軌条x2基


 こっちはフレッチャー級を参考にしていて、史実より百トンほどでかい。

 史実の夕雲よりずいぶんと魚雷が少ないが、これは音響魚雷の使用を前提としているからだ。

 音響魚雷なら命中率が格段に高まるので、危険物である魚雷の露出を減らすことができる。


 当然ながら再装填装置を装備していて、合計8本の魚雷を撃てる。

 これについては阿賀野型軽巡も同様だ。


 ちなみに空母から駆逐艦にまで採用された対空装備は、最近開発したばかりの新兵器である。

 まず12.7センチ両用砲は、アメリカのMk12 5インチ砲を参考に、国産化したものだ。

 その最大射程は2万3千メートルにもなり、発射速度は毎分20発。

 これに近接信管を組み合わせれば、すばらしい対空性能を発揮するだろう。


 そして25ミリ機銃は、銃身や装薬を改良し、史実より2割増しの射程・威力を実現していた。

 これなら5インチ砲の死角を補い、高い対空性能を発揮できるだろう。


 アメリカの場合、これらに加えて40ミリ機関砲を併用しているが、運用の簡便化を狙って省略している。

 史実でも5インチ砲のVT信管が、あまりに優秀だったため、40ミリは減らしたという話がある。

 それなら我が軍は、近接信管の採用と25ミリ機銃の強化で、いけるのではないかと見たわけだ。

 もちろん、実際に運用してみて威力不足なら、40ミリの採用もためらわない。


 そんな新鋭艦の仕様を見ながら、平賀さんがぼやく。


「それにしても、ぜいたくな仕様じゃなあ」

「そうですね。でもこれぐらいの方がバランスが良くて、長く使えますよ」

「それはそうなんじゃがなぁ。儂の設計思想が、存在価値が……」


 史実の平賀さんは、小さめの船体に重武装を施す設計手法に長けていた。

 しかしそれはどこかにシワ寄せが行き、劣悪な居住性だけでなく、主砲散布界の悪化や発射速度の低下などを招いたりもした。


 対するアメリカは、その国力にものを言わせ、大型の船体に豊富な武装を載せる手法を取った。

 結果的にそれは高い性能を維持し、生存性にも優れることとなる。


「潜水艦の方も、開発は順調なようですね」

「うむ、優先的に取り組んでおるからな」


 さらに日本は、潜水艦の開発にも積極的に取り組んでいた。

 なにしろ前世では、潜水艦こそがアメリカにとどめを刺したと言えるのだから。


 すでに現状で、以下のような潜水艦が建造され、運用されはじめている。


【伊1型潜水艦】

全長・全幅:97.5x9.2m

基準排水量:2000トン

出力   :水上7千馬力、水中3千馬力

最大速力 :水上20ノット、水中10ノット

機関   :ラ式2号ディーゼル2基、2軸

主要兵装 :53センチ魚雷発射管 艦首4門,艦尾2門、魚雷数22本

      7.7ミリ機銃x1


 史実でも同様の潜水艦はあるが、より高性能になっている。

 もちろん水中聴音器パッシブ・ソナーや、水中探信儀アクティブ・ソナーも備えている。


 そしてより潜水性能に優れた新型も、開発が進行していた。


【伊100型潜水艦】

全長・全幅:85x7m

基準排水量:水上1780トン、水中2060トン

出力   :水上5千馬力、水中6千馬力

最大速力 :水上15ノット、水中19ノット

機関   :三菱重工製ディーゼル2基、2軸

主要兵装 :53センチ魚雷発射管 艦首4門,魚雷数20本


 史実でいう潜高型せんたかがたに相当する艦で、水中で高速を発揮するタイプである。

 外観上の凹凸をなるべく排除し、大量の鉛バッテリーを搭載することで、高速・長時間の潜水が可能となった。

 さらに高性能のレーダーと通信機を装備する予定なので、偵察能力も高くなるだろう。


 そして前世でも活躍した例の潜水艦も、すでに開発に取り掛かっていた。


【伊400型潜水艦】

全長・全幅:109x9m

基準排水量:水上2200トン、水中3600トン

出力   :水上7千馬力、水中6千馬力

最大速力 :水上15ノット、水中16ノット

機関   :三菱重工製ディーゼル2基、2軸

主要兵装 :53センチ魚雷発射管 艦首4門、魚雷数12本

      水密格納筒に飛行爆弾3機を搭載


 史実の400型(水中6560トン)よりもだいぶ小さいが、それなりの大きさの水密格納筒を備えている。

 しかしその実態は史実のような潜水空母ではなく、飛行爆弾を発射するミサイル潜水艦だ。

 前世ではこれが威力を発揮したことから、今世ではより積極的に使うことになるだろう。


 このように日本海軍の装備は、着々と整えられているのだ。

ちなみに日米の高角砲を比較すると、こうなるそうです。

            砲身寿命      発射速度  初速

 5インチ38口径砲:4600発、    20発/分、792m/S

 5インチ40口径砲:800~1600発、14発/分、720m/S

10センチ65口径砲:350~400発、 19発/分、1010m/S


一番上の38口径がアメリカ製で、下2つが日本製です。

通常の5インチ砲でも、日本はアメリカの3分の1以下の寿命で、10センチ砲に至っては11分の1以下という体たらく。

日本の長10センチ砲は高性能と言われてますが、これ、実戦兵器としてどうなのかな?

日米の工業力の格差を感じる話です。

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[気になる点] じゃあ、何で54口径5インチや50口径3インチなんてのが開発されたの? 38口径5インチではダメな部分があったからだよ? 九八式8センチ高角砲にしちゃえば射高、射程は38口径並、発…
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