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未来から吹いた風2 《軍人転生編》  作者: 青雲あゆむ
第2章 大正編

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幕間: 4人の戦い

 俺の名は後島 慎二。

 元は21世紀に生きる、しがない製鉄マンだった。

 そんな俺が何の因果か、明治へタイムスリップして、太平洋戦争を勝利に導いたんだ。


 その後、80歳まで生きて、これでお役ご免かと思ったら、さにあらず。

 今度は明治の軍人に転生して、またアメリカに勝てって言うんだぜ。

 おのれ、存在エックス。


 しかし軍艦オタの俺としては、明治への転生はそれほど悪くなかったりする。

 上手くすれば、自分好みの戦艦とか造れるかもしれないからな。

 とはいえ、そんな影響力を持つには、まずは海軍で出世しなければならない。


 幸いにも記憶を取り戻した時点で、俺は海軍兵学校を卒業していた。

 しかも卒業席次は10番以内という、優秀なものだ。

 これなら将官になるのも、夢じゃないだろう。

 がんばるぞ~。



「艦長、爆雷投下後に油と浮遊物が確認されました。敵潜の撃沈ないし損傷は確実です」

「おおっ、よくやったな。警戒態勢を取りつつ、配置に復帰するぞ」

「了解です。今回は運が良かったですね」

「ああ、本当だ」


 あ~、よかった。

 もうちょっとで雷撃されるとこだったんだよな。

 幸いにも、正三が作ってくれた聴音機で先に見つけて、事なきを得られたんだ。


 しかもイギリスから供与された爆雷が、今回は役に立った。

 それまでは体当たりか砲撃くらいしかなかったからな。


 ちなみに爆雷を自前で開発して持ちこむ案も、ないではなかった。

 しかし日本は実戦もしてないのに、爆雷まで持ってたら不自然だろうってことで、見送られた。

 今はまだ、あまり目立ちたくないからな。


 それにしても、俺もユトランド沖海戦に行きたかったな~。

 あいにくとローテーションの関係で、こっちは護衛任務だ。

 第1次大戦で最大の海戦を、じかに見たかったのに。


 くっそ、祐一に会ったら、細かく聞き出してやる。

 そして日本の軍艦の改善点を、提案してやるんだ。

 巡洋戦艦の水平防御の弱さとか、射撃管制の欠陥とかな。


 そしたら俺の評価も上がって、好きな仕事に関われるからな。

 まあ、この護衛任務だって、そう捨てたもんじゃない。

 実際にUボートを撃沈したようだからな。


 早く日本に帰って、理想の戦艦を造れるようになりたいな~。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 僕の名前は中島 正三。

 元は21世紀に生きていた、電気技術者だ。

 前世では明治にタイムスリップして、日本を太平洋戦争で勝たせることができた。


 それなのに今度は、明治に転生して、また同じことをしろっていうんだよ。

 しかも今度は軍人だ。

 前世では軍属とはいえ、いち技術者としていられたのに。


 軍人になったからには人を殺し、部下にも同じ指示をしなければいけない。

 ああ、嫌だ、嫌だ。

 だけど僕たちが頑張らないと、300万人以上の日本人が死ぬんだ。


 そんなことを避けるためにと、僕も覚悟を決めた。

 なんとしても生き残って、日本を勝利に導いてやるんだ。



「隊長! 前線から砲撃要請きました!」

「了解した。予備射撃から順次、威力射撃へ移行する。射撃開始!」

「はっ」


 うわ、とうとう欧州に来ちゃったよ。

 さすがに歩兵は危険すぎるんで、砲兵中隊に回されてるけどね。

 だけど最前線では、すごい数の死傷者が出てるみたい。


 うう、本当に嫌だな。

 だけど弱音なんか吐いてられない。

 戦場の現実ってやつを学んで、今後の戦争に活かしてやる。

 いつかは最強の戦車、作ってみたいなぁ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 俺の名は佐島 四郎。

 現代からタイムスリップしてきた、元化学屋や。

 前世では明治時代から歴史改変をして、日本の勝利に貢献した。


 ほんでそのまま大往生するかと思てたら、またまた明治に行けときた。

 しかも今度は軍人に転生やて。

 敵わんわ、まったく。


 せやけど、また新しい人生を生きるのも、そう悪くないかもな。

 ま、前向きにいきますか。

 今世では日本の銃砲を、バリバリに強化したろうやないか。



 やってきました、第1次大戦。

 派手にドンパチやっとりますわ~。

 俺は砲兵中隊を指揮するから、ちょっとは安全やけど、油断はでけへんで。


 なにしろ最前線では、アホほど人が死んどるさかいな。

 こっちも少しでも犠牲を減らすよう、大忙しや。

 おっと、またまた前線から射撃要請や。

 ほんま、忙しいで。


 ほんでもこれも貴重な経験や。

 日本に帰ったら、しっかり戦訓に反映させんとな。

 そのために少しでも多く、戦功を稼がなあかん。

 お仕事、お仕事~。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 俺の名は川島 健吾。

 21世紀でバリバリ仕事をしていた、元商社マンだ。

 前世では明治に飛ばされて、アメリカとの戦争に勝つことができた。


 最初は面倒だと思ったが、やってみれば案外、おもしろいものだった。

 元々、スパイ映画が大好きで、諜報活動には興味があったからな。

 そしていろいろとやり終えて、とうとう大往生かと思ったら、そうは問屋がおろさない。


 なんと今度は明治の軍人になって、再び日本を勝利に導けときた。

 くそっ、存在エックスめ。


 しかし悪いことばかりでもない。

 若い体に蘇って、また好きなことに打ちこめるのだ。

 それに気の置けない仲間たちとなら、なんとかなると思えた。



 そうこうするうちに、第1次大戦が始まり、俺も欧州へと出征する。

 俺は師団付きの参謀として、情報収集に努めていた。


「敵の動きはどうなっている?」

「はっ、敵の前線は停滞していますが、後方に動きがあるとの情報が入りました。状況から判断するに、戦線を整理するために、一時後退する可能性が高いと思われます」

「むう……その情報、裏付けは取れているのか?」

「はっ、イギリス軍でも、同様の兆候を捉えている模様です」

「そうか、さすがは川島少佐だな。至急、作戦を立案しよう」


 幸いにも、戦前に仕込んでおいた諜報網が役立っている。

 さらにイギリスとの連携も図っているので、我が軍の被害は抑えられていた。

 とはいえ、実際の戦場はひどいものだ。


 絶対にこの経験は日本へ持って帰って、改善に役立ててやる。

 そのためにも、今を生き残らなきゃな。

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三国志モノの新作を始めました。

逆襲の孫策 ~断金コンビが築く呉王朝~

孫権の兄 孫策が逆行転生して、新たな歴史を作るお話です。

― 新着の感想 ―
[良い点] こうゆうの欲しかった! 主人公目線もいいけど、この4人の目線も読んで見たかったので、嬉しいです。 作品の流れや作者さまの構想に支障がなければ、また五島列島メンバー各々のパートも入れて…
[一言]  「前線からの砲撃要請」、中隊レベルで携行可能(駄載可能)な無線機があるという解釈で良いのでしょうか?。  たしかに、大正解ではあるんですけどね。砲兵が歩兵の発見(というか、現に撃たれてい…
[気になる点] 色々オカシイ。 実戦も何も。 日露戦争での触雷は潜水艇すら疑ったんだよ? ロシアは1901年からホラント型の整備をはじめていたから、日露戦争での使用も考えられた。 日本も190…
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