指の形
ああ、姉ちゃんよう。
どっから来たのあんた。へえ、遠方はるばるだねえ。
いやあ、困ったねえ。ゴンドラが停まっちまうなんてねえ。俺なんかこんな見た目で高いところ苦手 でよお。…へっ!最初からのるなって話だよなあ。
いやー、しかし何もやる事ねえな。救助もいつになるか分からんし。
そうだ。よけりゃ与太話でも聞かないか?スマホの電源は温存しなきゃならんしな。
俺の子供の時の話なんだけどよ。
俺は山陰のド田舎で育ったんだよ。まあ、外で遊ぶしかないから俺たちはまー朝から晩まで外を走り回ってた。俺たちは4人組、男3人、女一人でいつもつるんでて、その日はかくれんぼしようって話になったんだよ。良く晴れた夏の日だったねえ。
かくれんぼの範囲は公園と、その隣の公民館周辺だけ。で、俺がその日は鬼だった。まあやってりゃ分かるんだけど隠れるレパートリーも限られてるからね、俺はちゃちゃっと男二人を見つけて、ほんじゃあとは女の一人ってなったんだけど、これが全然見つかんねえの。
日も段々暮れてきてなあ。途中から小学生ながらこれはやばいなって思って、大人を呼んでくるかどうか友達と話してるとき、その子がひょっこり現れてよお。「どこにいたんだ?」って聞いたら「なんか白い人と知らない場所で話してたって」っていうんだよ。白い人?俺たちは何がなんだか分かんなくて色々聞いたんだけど全然要領を得んのだな。その白い人と話が終わって最期に「一緒に来てくれる?」って言われたらしいんだわ。そんで怖いから「いやです」って言ったら指を三本立てたんだってよその人。
で、気付いたら公園に立っていたと。
次の日、その子に聞いてもそんなことは覚えてない、私は昨日一日家にいたっていうんだよ。そんな事があってから俺たちは気味が悪くてそれ以降、かくれんぼってやめちまったんだよ。
でだ、この話には続きがあってよ。そんな事があってから何か月か経ったある日、俺と同じ体験…その神隠しの場に居合わせたって奴がいたんだよ。そいつも連れがかくれんぼの最中にいなくなって、で見つけた時に問い詰めてみれば知らない場所で白い人と話してたっていうんだよ。
それでだな、そいつが言うことにはその変な場所では自分がもういい年したおっさんになってたらしいんだ、なぜか。
そんで、そいつもその人のが一緒に行こうっていうのを断ったらしいんだけど、そしたら指が1本だけになってたんだとよ。
ああ、ごめんな。こんな話してよお。つまんなかった?
お姉さんも全身白い服着てるなーと思ってなんか思い出しちまってよ…。
…でさあ、さっきから指で≪丸≫を作ってるけど、そりゃなんなの?
≪○○市で行方不明の児童○○君(小学6年生)を探しています。三日前、友達とかくれんぼをして遊んでいる最中に姿が見えなくなり警察は周囲の聞き込みを進めています…≫
某お笑い芸人さんの有名な話に着想を得ておりますww素人の戯言と思って楽しんでいただけたら幸いです。良ければ感想下さいませ!