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真実の色(6)





「それなら、弘也さんを助けることも可能だったんじゃないんですか?!」


こんなの、お姉さんに訴えるべきじゃない。

お姉さんだって大切な弟を失ったのだから。

わたしと同じように、いや、もしかしたらわたし以上に悲しんでいるのだから。

頭ではそうやって分かっているのに、その疑問を投げかけずにはいられなかった。

なのにお姉さんは反論するでもなく、ただ寂しそうに、「違うのよ……」と首を横に振ったのだった。



「実はね、旅行から帰っても、弘也はわたしに写真を送り続けてきて、ある日、私は二人ともに薄い()が見えたの。薄くても大きかったから、それ(・・)は近いうちに起こるのだと思った」


「……え」


「それで、弘也を電話で呼び出したの。……あの事故の前日のことよ」


「あ………」


そうだった。

事故に遭う前の日、弘也さんはお姉さんに呼び出されて、そのあとお姉さんが倒れて入院して……弘也さんが帰ってきたのは翌朝だった。

でもそれじゃあ、お姉さんが倒れたというのは………



「もしかして、そのときお姉さんが弘也さんに何か話したから、それでお姉さんは倒れたんですか?」


すべてのことが繋がった気がして、わたしは、呆然とお姉さんを見つめ返していた。

お姉さんは「その通りよ」と簡潔に肯定したのだった。


じゃあ、じゃあ、もしかしたら、あの事故でわたしも命を落としていたかもしれないということ?

でもお姉さんから事情を聞いていた弘也さんが身を挺して庇ってくれたから、だからわたしだけ、助かった………?



わたしは自分でも分かるほどに、顔色を失っていた。

顔だけじゃないだろう、きっと、全身から血色が抜けてしまっていたはずだ。


弘也さんは、ああなることを、知っていたんだ。

事故の詳細までは明らかではなくても、生活圏内で起こり得そうなことはいくらか想像もつくだろう。

そしてそれを裏付けるかのように、お姉さんが、あの日のことを話してくれた。



「………あの日、直近で送られてきた写真の加恵ちゃんに薄い()が見えると言って弘也を呼び出したの。いつもなら電話ですむのにわざわざ呼び出されたことを、弘也は不審に思ってたみたい。それで、会うなり、もしかして自分にも見えてるんじゃないかと訊いてきたわ。()を出している本人に伝えると自分に跳ね返ってくる…忘れていたわけじゃないけれど、私は迷わなかった。だって、あの日会った弘也の()は、写真よりも濃くなっていたんだから。そして家を出る前に弘也が隠し撮りしていた加恵ちゃんの()は、ほとんど見えなくなっていた。それを弘也に教えたあと、案の定、私は倒れて病院行き。そして病室で最後に見た弘也には、もう、漆黒の()しか見えなかったの……」


「そん、な……」


わなわなと、血の気の引いた指先が震えだしていた。



()にすべて塗りつぶされるようにして、弘也ご自慢の虹色(・・)は消えてしまっていたの。もちろん、私の見える()に、はっきりとした定義はないし、弘也と加恵ちゃんに見えた()が、同じ事故や事件に関しているとは限らない。でもこうもタイミングがよく同時にあらわれて、片方が消えてもう片方が濃く大きくなるというのは、弘也が加恵ちゃんを助けて、弘也自身は……そんな可能性が高いんじゃないか、むしろそう考えるのが自然だと思ったの」



弘也が加恵ちゃんを助けて、弘也自身は―――――



お姉さんのその推測は、少しの狂いもなく、現実のものとなったのだ。










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