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一緒に過ごす日曜日(2)





午前中、寝室で休んでいると、お昼には体調はすっかり戻っていた。

ちょっと疲れがたまってたのかな…そんなことを思いながら、こういうとき、もしわたしの()が見えるなら、きっと紫なんだろうな…ちょっとそんな想像してしまったのは、間違いなく弘也さんの影響だ。


その弘也さんはリビングで仕事をすると言って、パソコンと向かい合っているようだった。

耳をすませば、かすかに聞こえてくるタイピングの音が彼の存在を教えてくれていて、ホッと癒される。

やがてその音が聞こえなくなると、トントンと寝室の扉がノックされた。


「加恵?どんな感じ?」


言いながら入ってきた弘也さんに、わたしは思わずガバッと起き上がってしまった。

その虹色(・・)が、異様なまでに膨らみ上がっていたからだ。

いつもは顔や首のあたりに浮遊してるそれは、今や弘也さんの全身を覆い尽くしてなおも広がっていくような規模になっていた。

赤、青、黄、茶、橙、緑、白……カラフルなのは相変わらずで、形は丸く、嫌な印象は受けない。

けれどその大きさに、わたしは目を見開いて凝視していた。



「……加恵?」


わたしの様子に気付いた弘也さんが、怪訝な声をあげる。


「どうした?俺の()に何か変わったとこでもあるの?」


わたしが弘也さんではなく弘也さんの()を見つめていると分かったのだろう、弘也さんは不思議そうに尋ねてくる。

わたしは、虹色(・・)というだけでも前代未聞だったのに、それがこんな風に変化したなんて、もう完全にお手上げ状態だ。

そしてそれを弘也さん本人に教えたところで、わたしにも弘也さんにもどうすることもできないのだから、ただ余計な心配をさせてしまうだけなのは目に見えている。

ここは何も言うべきじゃない、という結論に達するための時間は必要なかった。



「……ううん。ううん、なんでもないよ」


そう答えて、わたしは、虹色(・・)から目を逸らした。


「そう?それならいいけど……。それより、お腹は空かない?何なら食べられそう?」


優しい弘也さんはそれ以上の追及はせず、わたしの体調を気遣ってくれる。

ちょうどお腹が減ったなとは思っていたのだ。

だが、朝の吐き気を思い出し、「まだしっかりした食事は避けておいた方がいいかな……」と控えめの返事になった。


「軽い食事か……。前に加恵が風邪ひいたときに食べられたのは、おかゆ、アイス、フルーツジュース、ヨーグルト……」


指折り数える弘也さんに、わたしはベッドから下りながら答えた。


「アイスがいいかな。さっぱりしそうだから」


「そうだね、アイスなら糖分もとれるし。……あ、でも今切らしてたんじゃないかな。ちょっとコンビニまで行ってくるよ」


どこまでも優しい弘也さん。

わたしは、嬉しいのはもちろんだけど、そんな優しい恋人に ”好き” という感情があふれてあふれて、もうとにかく、弘也さんが大好きだと、心の奥底のずっと深い芯の方から感じていた。

だから、


「待って、わたしも一緒に行きたい!」


本能で、そう言っていた。

この大好きな恋人と、離れていたくないと咄嗟に思ってしまったのだ。


「………寝てなくて平気?」


元気な声での発言が意外だったのか、弘也さんはかすかな戸惑いを見せたけれど、わたしの「もうじゅうぶん寝たから平気平気」という押し切りに倒されて、二人して散歩がてらのコンビニデートが決まったのだった。










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