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第38話 温泉

 そして、現在。

 ノーファが神殿周りの調査を終え、戻ってきた。


「朗報。ここを基点に北側はもうゼロ・エリアではない」


 やっと抜け出せるのか。ゼロ・エリアでなければ、サイクロプスと出くわすこともないだろうし、魔力さえ使えれば。


「もう一つ朗報。近くに温泉が湧いていた。おそらくここは旅人が安息できる一種の休憩所みたいなところ。結界石で守られているからここなら魔物も簡単には寄りつかない」


 ゲームでいうところのセーブポイントみたいなところか。


「ひとまず安心だね。ルンが目を覚ますまでは、とりあえずここで待機しよう」


 ノーファはコクリと頷いた。


 それにしてもこのままでは風邪をひきそうだ。濡れた衣服は脱いだ方がいいよな。ただ、替えがミランのセキトバに積んであるのでいまはない。どうしたものか……。

 僕が頭の中で試行錯誤を繰り返していると、目の前でノーファが服を脱ぎ始めた。


「あの、ノーファさん、何をしているのですか?」


 彼女の平然とした行動に思わず敬語になってしまった。


 頭に?を浮かべた表情をし、


「このままでは風邪をひく。服を脱いで乾かす。アレルも脱いだほうがいい」


 そう言って、構うこともなく脱ぐのを止めない小柄な少女。


「いや、そうだけど……恥ずかしさがないの? というか、僕、男なんですけど」

「仲間だから大丈夫」


 ノーファさん、仲間の基準が違いますよ!

 彼女はあっというまに下着姿になった。華奢な体に小ぶりだが、形が綺麗そうな胸だ……って僕は何を言ってるんだ!


「皇女も濡れた服を脱がせないと。アレル、手伝う」

「いや、僕は……」


 ノーファが生気のこもってない毎度お馴染みの視線を僕に浴びせる。

 その視線と無言のプレッシャーに逆らえず……。


「わ、わかったよ」


 僕はルンを背後から抱き起こす役目を与えられ、ノーファがせっせと衣服を剥いでいく。

 僕はその夢のような光景にゴクリと唾を飲み込んだ。勘違いしないでほしい、これはあくまで人命救助の一環なんだ、と自分に言い聞かせる。

 白い柔肌がしだいに露わになっていく。

そして、見た目からは想像がつかない、立派な胸の谷間が姿を現した。こんなものを隠し持っていたとは……。


「おい、あんたらなにしてるねん」


 その声に背筋が一瞬で凍りついた。

 ギロリと殺意を込めた眼差しで、僕を睨む碧眼皇女。


 あっ、死んだ……。



 僕は温泉に浸かっている。なんとかノーファの正当な理由付けのおかげで一命は取り留めた。ルンは怒りの青筋を額に浮かべまくっていたが……。

 彼女は打撲や軽い擦り傷はあるものの、旅が続けられなくなるようなダメージはないようだった。

 今から動いて夜になると、魔物に出くわすリスクが一層増すので、一晩、あの神殿で越すことを決めた。

 そこで冷えた体を温めるために、僕らは順番に温泉に入ることにした。

 雨が上がったあとのオレンジの陽光が所々に差し込む森の中の温泉、なんともオツだ。 

体が芯から温まり始め、滞っていた血が全身に通い始める。心地よい温もり、気持ちいい……。


 ミランとエルナは無事だろうか、二人はレベルレッドクラス、大丈夫に違いないと自分に言い聞かせるが、サイクロプスと出くわしたのがゼロ・エリアだった為、不安を払拭しきれないでいる。

 しかし、それも束の間、温泉の効果だろうか……思考回路が停止するには十分なほどの快楽感が襲う。それに身を委ねる。


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