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第13話 ケルベロス

 突如、バン! という音がした。扉が勢いよく開けられた音だ。僕はそちらに目を向け、身構えた。


「ここにいたのね!」


 姿を見せたのは高等部の担任リエラ先生だ。所々、服が破けたり、生傷がある。いつもの白衣も着ていない。


「アレルくん、助けて! 今、頼れるのは君しかいないの!」


 リエラ先生はいつもの、のんびりし口調ではない。あれは地ではなく、キャラだったのか!?  

 だけど、それをツッコむような余地などない状況だ。


「何があったんですか? 敵は?」


「まだ、学園内のあちこちで戦っているけど、先生たちや戦える生徒の踏ん張りでなんとか撃退しつつあったのよ。でも、奴らあんな化物まで飼いならしていたなんて……今、ノーファちゃん以外にあの化物に太刀打ちできそうなのは君しかいないのよ。とにかく来て! こうしてるうちにも死人が増えるわ」


「で、でも」

 僕はシャルに目を向けた。彼を独りにしてもいいだろうか。

 


「……行ってあげて。俺は大丈夫だから……こいつのようになる前に救ってあげて」

「……わかった……シャル、まだ敵がいるかもしれないから、エヴァと一緒に見つからないように避難しといてくれよ」

 シャルは唇を固く結び頷いた。


「先生、行きましょう」

 

 荒地と化しつつある、学園内をひた走る。残りの魔力を戦闘に使いたいから、最小限の魔装をし、その化物がいる高等部の校舎の方へと急ぐ。

 走っている最中、食堂の方から爆音が聞こえてきた。ノーファとローマンが敵とやり合ってるいのだろう。二人とも無事でいてくれればいいが……。


 目的地に近づくにつれて、化物と呼ばれる者の正体が見えてきた。遠くからでもわかる……デカイ! その化物の周辺で爆発や光が飛び交う。誰かが戦っているのだ。


「こ、こいつは……」


 犬のようなカラダにトゲトゲしい漆黒の毛並み、そして……三つ首。ここは魔界だからいてもおかしくないけど、こいつは絶対あれだ! 


 人間界では地獄の番犬と称される、


 魔犬ケルベロス! 


 目の前にすると、さらに大きく感じる。五メートルはゆうに超えているだろう。三つ首とも鋭いノコギリの刃のような牙を剥き出し、血走った獰猛な目、凶悪な魔獣そのものの顔だ。

 こんな怪物とやり合うのか。


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