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マッカナキズアト

ダッタッダ


男が森の中を走っている。


あたりは闇に包まれ、月の光が不気味に見える


「はぁっ・・・はぁっ・・・」


男は乱れた呼吸を整え、武器を構えた。


ジャラッ


「・・・どこだ・・っくそ・・!!」


男は辺りを見回す。しかし、視界の中には鬱蒼と生い茂る木々しか入ってこない。


「暗くて何も見えやしない・・・・」


ガサガサと後ろから音が聞こえる。男は振り返るが何も出てこない。


「風か・・」


そう呟き向き直った時血生臭い息が男の顔にかかった。目の前に魔物モンスターがいた


「ひっ・・・・」


男が声を漏らす。が、魔物は腕を男に振り上げ


「うわァァァァアアアアッ!!!!」


辺りには鮮血が舞った。














「此処一週間で、城外の人で死亡者18人ねぇ〜」


ビルは書類を見ながら呟いた。


「いずれも、首の動脈を切り裂かれて出血死・・・中には人体の一部が食べられてる奴もいますね」


書類を配りながらチョコもそう言った。


「「うげっ」」


ディーとダムが眉を顰め声をそろえて言った。


今、白の城特別会議室でマリア、チョコ、ビル、ディー、ダム、ダンプティ、で話し合っている。

内容は


「ディーくんダムくん・・・もう少し頑張れないかしら?ゲーム・・」


『ゲーム』についてだ


「僕らは一生懸命やってますよー・・・大体弱いのが悪いんじゃん」


「そうです。自分の身は自分で守らないと、俺らがいつも見てるわけでもないんですし」


マリアが困り顔で言うが、ダムは口を尖らせディーはいつもの通り無表情で答えた。


「最近増えているみたいだな〜・・魔物モンスター


頭をキラリと光らせながらダンプティは言った


「なんかおっさんが言うと全然緊張感無いな」


ビルが笑顔で言う。


「それはキミの心構えの問題じゃないのかなビル君。ちなみに言うとおっさんじゃないお兄さんだ」


ちなみにと言いつつ何気に声を大きくし強調するダンプティ


「おじさん。僕たちも緊張感無いように聞こえるんだけど」


ダムがニヤリと笑い言った。


「キミ達の心がたるんでいるからではないのかダムくん。ついでに言うとおじさんじゃないお兄さんまだ三十路前だからな」


「コホンッ・・えっといいですか皆さん」


チョコは咳払いを1つし、みんなの話を遮った


「今までの事をまとめると、最近魔物モンスターの数が増え、被害者が続出している。最近では町に出没したそうです。一応ハート部隊に警護に回らせていますが・・・」


そこまでいい顔を曇らせた


「まぁ危ないのか」


ダンプティが真顔で言う。するとチョコは


「ええ。詳しいことはビル殿から」


そう言って目でビルに合図した。するとビルは書類から目を離しふぅと溜息をつき


「ハート部隊、軽傷者5人重傷者3人死亡者・・・1人。正直言って此処最近の魔物モンスターは確実に強くなっている。」


書類を机の上に投げた。


「昔と同じ」


マリアは小さく呟やいた。その瞬間その場が固まった。


「もう・・あんなことを繰り返してはいけないのよ・・もう失ってしまっては」


顔を手で覆い、机に肘を突く。


「しかし、どうするのですか?このままでは・・・」


ダンプティが真剣な顔で言う。


「でも・・だからって・・」


マリアが何か言いかけたとき、扉が開いた。


「マリア・・もう偽善者ぶるのはやめろ」


アリアがそこに立っていた


「アリアちゃん・・私は別に偽善者ぶってなんか無いわ」


「マリア。後からなんていおうがかわらねぇ。結局やっちまったことなんだよ俺たちはアイツに・・・」


そう言いながらコツコツと音を立てながら部屋に入りゆっくりと扉を閉めた。


「すべてを押し付けた。」


アリアはにこりともせずに言い、椅子に座った。


「っ・・・」


マリアは無言で俯いた。


「今日は厳しいね。アリア様」


ビルがニコニコと笑いながらアリアに言った


「ったりめぇだろ。今は感傷に浸ってる場合じゃねぇンだよ」


「だからって俺は・・もうアイツを犠牲にはさせませんよ」


「僕も。アイツが居ないと何かつまんないし」


ディーとダムはアリアを見つめながら言う。


「じゃあ、誰にするんだ?」


アリアは2人を横目で見た。


「罪人にでもすれば?」


「それは駄目だ。ダム・・罪人をあっちに送るとあっちでも罪を犯しかねない」


ダムの提案をディーが止める。


「他には・・・?」


「「・・・・・」」


アリアの問いかけに皆は沈黙した


「ほれみろ。何もでねぇじゃねえか」


「だったら、私が・・・」


「駄目です!」


マリアが顔をあげ言いかけたらチョコがとめた。


「女王が国からいなくなれば混乱を招きます」


「そうだ。チョコの言うとおりだ・・・・大体自分が犠牲になるとか綺麗事並べんな。アイツなら向こうにも家族がいる。居場所がある。だからいいんだあいつだって帰りたがってる」


マリアは足を組みふぅっと溜息をついた


「また・・・また・・・アリスちゃんに全部押し付けるの!!!?」


バンッと机に手を付きマリアは立ち上がる。


「・・・・・・・」


「そうやってまたアリスちゃんに全部任せて、全部背負わせて・・・アリア!アナタには罪悪感が無いの!?申し訳なかったって思わないの!!?」


「甘ったれんなッ!!」


「「「「・・!!!」」」」


あまりの声の大きさに全員が身体をビクつかせた。


「・・罪悪感?そんなもん・・もともと持っちゃいねぇ。いいかマリア。俺たちは、この国の「女王」だ。この国の事を一番に考えて最善の方法を考えなくちゃいけねぇ俺たちはアリスだけを見る事は出来ないんだ。」


「それは・・・」


マリアは口篭った。確かに「女王」はすべての住民に平等であるべき存在だ。それが「女王」の勤め。


「いいか。このことはアリスはもちろん、シェルとアルヴァにもいわねぇ方がいいだろう。2人に逆らわれると厄介だ。事は迅速に運ぶぞ・・各自の仕事は後で話す以上だ」


そう言い、アリアは出て行った。部屋はしんと静まり返った









「・・・綺麗事言ってんのはどっちかな」


突然後ろから声が聞こえる。驚いて後ろを振り向くとそこにはビルが立っていた。


「なんだ。お前か」


前を向き廊下をまた歩き始める。


「なんだって何ですか」


奴はにこにこと笑いながら、俺の隣に並んだ。


「・・何のようだ」


「いや〜さっきはかっこよく決めてくれたなぁと。さすが女王」


「・・・・・・・そうか」


ちゃんと出来ていたのか。俺は


「尊敬しますよ」


ちゃんと演じれていたのか。俺は


「そのつらの厚さ。」


驚いて横を見るとにこりと笑ったビルと目が合った


「・・・・・・気付いてたのか」


「生憎俺は、人の心を察知するのが上手いんで」


「でも俺は嘘は言ってない」


「そうですね。嘘は言ってない・・・・でも心に嘘をついている」


「・・はっ。キザなこと言うなよ」


俺は鼻で笑うと壁に背中をつけ寄りかかり腕を組んだ


「ははっ確かに。」


「・・・・・・・」


横で笑っているこいつは何故こんなに飄々としていられるのだ?

コイツはこんなに笑っていられる?


「俺は、自分がいいと思ったことをすればいいと思いますよ。嘘をつき続けるもよし、偽善者になるのもよし・・結局全員が幸せになる方法なんて無い」


「かもしれんな・・・」


俺はそう頷いてまた廊下を歩き出した。




「・・・・さてこのあとは・・どうしよっかな」


誰かの楽しそうな声が廊下に響いた。





                            つづく                              








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