アリス死す!?
「おかしい・・!!」
わたしは廊下を早歩きで、進む。
「おかしいおかしい!!みんなおかしい」
そう。最近みんなの様子がおかしいのだ。必要以上にベタベタしてきたり、いきなりフレンドリーになったり・・・
「いや・・わたし的には大歓迎なんだけど・・なんでいきなり!?みたいな・・・あっまさか今更ながらにわたしの魅力に気がついたとか・・・?」
ありえる!!
「なんちゃ「ありえないよな。そんなこと」
「ぬばァ!!!?」
耳元で声が聞こえて驚いて奇声が出た。
「なんだよ?その悲鳴は・・・色気のいの字も無いな・・まぁいつもかそれは」
「び・・ビル」
振り向くとにっと口元に笑みを浮かべたビルの姿がわたしの目に映った
「じゃあ「キャッ」とか言っておこうか?」
顎にグーを添えてぶりっ子ポーズを取る。するとビルは
「合わないなぁ。・・おえっ」
そう言って苦笑いし口に手を当てた
「ビルさんビルさん。わたしだって一応傷つくんだよ?わかってる?」
「大丈夫だ。アリスなら」
そう言ってまたにっと笑い、わたしの頭に手を置く。
「・・・・・・。」
「ん?何だ。どうしたのか」
ビルは不思議そうにわたしに尋ねてきた
「・・ネックレス・・シェルもディーもダムもみんな同じの付けてるんだよね・・それをねどうしてって聞いても皆かわすんだよね・・・」
「ああ・・アレね」
「うん。」
「まぁ・・コレは物凄く大切なものなんだよ」
「なんで?」
「みんなでおそろいだから・・・・・・嘘だよ。冗談だ。そんな目で見んなって。まぁ・・アリスもそのうちわかるさ。」
そう言ってビルはわたしの頭をくしゃくしゃと撫でた
「・・・みんなそう言うんだよねー」
「まぁ今はそう言うしかないしな」
「?」
「まぁ大丈夫だって」
じゃあなと言って手を振って帰っていくビル。
「また交わされた・・・もしかして、むしろ逆!?嫌われてる!?」
何かしたっけ・・?わたし。う〜ん・・・
「思い当たる節がありすぎてわけわかんねぇ〜」
でもそんなの関係ねぇ・・どっかの海パンの芸人か!
「ってかこのネタ古くない?」
若干、流行に乗り遅れてしまった。わたしとした事が・・・
「じゃ・・暇だし流行に乗るため町に出かけようかな!」
気分を変えていっちょ行きますか!!
「困った」
そう。城を出たときまでは良かった。普通に良かった
「なんで、森に来てんだよ!!」
わたしが行きたいのは、町なのに!!何でよ!?
「しかも此処は何処!?」
只今、アリスは森の中で迷子です。
「困ったなぁ〜・・・」
とりあえず、歩いていくけどどう考えても、これは森の奥に入っている。まずいこれは非常にまずい。
「ちきしょぉぉぉおお!!ヘルプミー誰かァァァ!!」
助けて下さい!!森の中心で迷子を叫ぶ
ごめんなさい。ホントごめんなさい。馬鹿ですただの馬鹿です
そう叫んだあとふぅと息を付くと、茂みがガサガサと動いた
「!!おっと〜叫んだ効果アリ!?すいませーん!助けて下さい」
その茂みに近づくと、巨大なクマみたいな奴が立っていた
「すいません。間違えましたー・・・じゃっ!」
わたしは180度回転して、全力でダッシュした。
「ガォオオオオッ!!!!!」
わたしの後を追いかけてくる魔物(巨大なクマみたいな奴)。
これこそリアル鬼ごっこ・・・つかまったら殺られる!!!!!
「・・・っ・・・こんなことなら普段から走り込みしとけばよかった!!」
まだ魔法だって、初級者だから、物動かすことしか出来ねぇよ!
ティア君からは「なんで、そんなに上達が遅いんじゃろうなぁ〜・・・アリスじゃのに」とまで言われたんだぞこのヤロウ。なめんなよ!
「・・アリスなめんなよォォォォオオ!!!むしろ人間様なめんなァァアア!!!・・・・っ」
叫びながら、走り続ける。もう直ぐ傍には魔物がいる
「ガァァアアアアッ」
後ろの様子を見ながら走り、前を向くと
「ギャッ!」
崖でした☆
「何このベタな展開。何、ベタに危機的状況なの?」
やめてほしいコレは。
ジリジリと寄ってくる魔物。わたしは絶対絶命の危機に陥った。
「飛ぶか、食われるか・・・・」
涎をたらしながら、生臭い匂いを漂わせわたしに近づく魔物、後ろには崖。
頭の中に今まで起きた事がすべて流れてきた。
「走馬灯ね・・・。ははっわたし、ろくな人生歩んで無いね」
そう言ってわたしは崖の方を向き、飛び降りた。
「I can fly!!!」
両手を大きく開いて、目を閉じた。
もうわたし死ぬんだなぁ〜・・つぶれトマトか・・やだな・・。でも、魔物のおなかの中で、つぶれトマトになるよりマシだね。
もう直ぐ地面かなという所で、何かがわたしの身体に触れた
「!?」
「ギリギリセーフですね」
耳に響く、低い声。この声は・・
「アルヴァ!?」
目を開けてみるとアルヴァがわたしの身体を、受け止めていた。お姫様抱っこで。
「煩いです。耳元で叫ばな「よかったーー!!!ってか助けんのおそ!もっと早く助けなさいよ!!もうつぶれトマトになる勢いだったんだから」
不機嫌そうなアルヴァの声を遮って、わたしは早口で言う。
「ほう・・・今からでもつぶれトマトになりますか?」
にっこりと笑って、銃を向けようとする
「いえ。結構でございます」
思わず笑顔がひきつる。
でも本当にアルヴァが助けに来てくれて良かった。アルヴァには内緒だけどとってもかっこよく見えた
「・・・・。」
「どうしたの?」
「いえ。何でもありません」
顔をじっと見つめられた。何故だろう?
・・そういえばお姫様抱っこアルヴァにされたの初めてだな。
「もうじき雨が降ります。どこかで雨宿りしましょう」
耳をピコピコと動かしアルヴァが言った。
つづく