ララバイ
いったいどのくらい寝ていたのだろうか。
わたしはゆっくりと目をこすりながら起き上がる。
〜♪♪
ピアノの音が鳴る
「・・・?」
寝ぼけ眼でピアノの方を見ると
「シェル・・・?」
「キミは何処に行ったのだろうか?僕等は君を探し続ける。ずっとずっと探してそれでもキミは見つからない。そのうち記憶は消えてしまって僕等はキミのこと忘れてしまった。キミも同じだろう?でも他の奴等が忘れてもキミが僕等の事忘れても僕は覚えているよキミのこと。」
歌を口ずさみながら、ピアノを弾くシェル。なんだかその姿はあの湖で見たときのような寂しさが含まれていた
「キミはまた消えてしまうかもしれない。キミはまた旅に出てしまうかもしれない。もしそうなったとしても僕等はきっとキミを見つけ出す。今度こそ忘れてしまわないように」
シェルはピアノから立ち上がりふっとこっちを見た
「あれ」
「あっあは?」
わたしは笑って誤魔化してベットから立ち上がりシェルの元に行く
「聞いてた?」
「うん・・ゴメン」
でも寂しいけど希望のある歌だったな・・
「別にいいよ。・・アリス」
シェルはギュッとわたしを抱きしめる。
「なっ何!?」
首筋に目線がいく。そこにはさっきはなかった、プレートのネックレスがあった
「アレ・・・?」
「アリス・・アリス。やっと・・」
そう呟いて、シェルは更に力を込めた
「やっと・・?」
わたしが尋ねるとシェルは何でもない。と答えゆっくりとわたしを離した。
「アリス・・・」
シェルは何度も何度も唱えるようにアリスと呼び続けた
「どうかしたのシェル。」
様子がやっぱり可笑しい。
「アリス・・・アリスは・・・いつか前にいた世界に行くの?」
シェルは顔を伏せて聞く。
「変ないい方するね。行くんじゃなくて帰るんだよ。元の世界に・・前も言ったでしょ?」
わたしが笑いながら言うとシェルは口を開いて何か言おうとしたが直ぐに閉じて、一瞬顔を歪ませまたいつものようにニタリと笑った
「そうだったね。前は俺のおでこにちゅうしてくれたっけ?」
「ななななななな何の事!?」
忘れてたのにーーー!!なんてことを思い出させるんだ!!馬鹿猫ォォォ!!
「動揺しすぎだって。いいじゃんおでこくらい。何なら今此処で口にする?」
そう言ってシェルは肩をつかみゆっくりと口を近づけた
「オイコラまてぇ!!なんでそうなる!?ちょっと離れろォォ!!わたしはファーストキスはまだなんだーー!!」
ファーストキスは絶対好きな人とするんだ!!!メルヘンかもしれないけど絶対に!!!
「じゃあ俺が好きな人って事で」
「オイこらッ勝手に決めんな!!!!」
あと1センチくらいで、わたしは固く目を瞑り覚悟した
つづく