舞踏会後編
「じゃあなんでアリスはさっきから2人を見てイライラしてるわけ?」
ビルは前を見ながらわたしに問いかけた。
「べつにイライラなんかしてないよ!!・・・唯なんとなーくむかつくって言うか」
「それを恋と呼ぶのだよ。アリスくん」
ビルはえらそぶった口ぶりでわたしを見て言う。
「呼びません。ッてか呼びたくも無い」
わたしはそういって自分の腕を抱きしめ、ブルブルと身震いした。
「チキン肌になるよ」
「ふーん」
ビルは笑顔のままわたしを見つめ頭をポンポンと撫でて、「アリスはまだまだ子供だな〜」と呟き、
「俺向こうに行って来るわ。じゃあな・・あとでフィルちゃん紹介しろよ」
そういって手を振って去って行った
「なんじゃアレ」
ビルの背中を見つめたままわたしは考えた。
もし・・もしだけど・・仮にわたしがアルヴァの事が好きなのだとしたら・・・
「問題ありありじゃん!!!」
待って・・まず状況を整理しよう。フィルはアルヴァが好き、わたしもアルヴァがすき、アルヴァはアリアが好き・・なんか駄目じゃね?もう失恋決定じゃん?
「まぁ好きじゃないから関係ないけどォ〜」
わたしは飲み物をウエイターさんから貰い、テラスに出た。
夜風は少し冷たく心地良かった
「めんどくさいな〜」
ってかわたし、恋とかしたことないし。スキって何?仮にアルヴァのこと好きだとしてみよう。だってそう考えた方が、なんかこの気持ちも楽だしね。
でもさそのスキって絶対恋愛関係じゃないと思う。強いて言うなら
「兄妹愛?」
もちろん兄妹じゃ無いけど・・・。なんかそっちの方がしっくりくる。だからきっとフィルにお兄さん取られる〜みたいな感じでやだったんだよ。
ほらッ妹が普段お姉ちゃんとかうざったく思ってるけどいざとなって他の子に取られたら嫌だとか小さい頃思うじゃん?多分。わたしもあったからな〜お姉ちゃん取られるんじゃないかなって・・・まあ今となったら気持ち悪い以外の何物でも無いけど。
「って何この気持ちに理由付けしてんだか。」
もうやめよう!!めんどいし・・さっきからめんどくさいばっかり言ってるけどホントだし。
「ご飯食べようかな〜」
室内に戻ろうとした時、服をぎゅうっと誰かに掴まれた。
「今度は誰?」
足元を見ると、チョコくんがうつろな目で見上げた。
グハァッ
勇者アリスは1000のカワイさダメージを受けた。HP残り1。
「ッてふざけてないで・・・どうした?チョコくん」
「アリス殿・・僕・・ねむっ・・」
頭がかっくんかっくんしてる。
わたしはとっさに鼻を押さえた。
危な!もうちょっとで鼻血を出す所だった・・・。
「あらら・・」
チラッと時計を見ると何時の間にか9時を過ぎていた
「寝る?」
そうわたしが問いかけるとコクリと頷いた。
「じゃあ行こっか。」
チョコくんの手を引いて歩くけどもうチョコくんはふらふらで歩けないみたいだ
「・・・・チョコくんおいで。抱っこしてあげる」
両手を広げてしゃがむ。チョコくんは「申し訳ないです・・・」と言ってわたしの首に抱きついた。
やっぱりなんだかんだ言っても子供なんだな〜
そんな事を考えつつ歩き出した。
「アリス?どうしたんです」
アルヴァがわたしに話しかけてくる
「あー・・チョコくんが眠いらしくて・・寝室とかどっかあいてる?」
ちょっと目が合わせずらくて、逸らしつつ聞く。
「客室が開いてますよ。大きなピアノが置いてある部屋です・・扉をでて左を行って3つ目の部屋です」
「わかった。じゃ」
わたしは足早にその場を離れようとした。
そのときアルヴァがわたしの腕を引っ張った
「あっぶね!!」
危うくチョコくんを落としかけた
「ちょっ・・何すんの!!危なかったじゃん!!」
「すみません。アリス・・部屋案内しましょうか?」
口元に手を当てて少し考えてから言うアルヴァ
「平気だよ。直ぐ戻るし」
「そうですか。わかりました」
アルヴァは腕から手をスッと離した
「よいしょっと・・・」
チョコくんをゆっくりベットに寝かせ、グッと伸びをする
「けっこう軽いんだな〜チョコくん・・。」
わたしは少しチョコくんを見つめてから部屋を後にした。
「アリス・・わかりましたか?」
会場に戻るとアルヴァが直ぐにやって来た
「うん。わかったよ〜」
ピースをして返す。アルヴァはそれを見てそうですか。と答えた
「・・・・・」
「・・・・・」
暫くの沈黙。
〜♪〜〜♪
会場に流れる曲が変わった。コレは・・
「ビルと練習した時の曲だ」
「ダンス・・・始まりましたね」
真ん中にアリアとマリア様が2人で踊っている。
勿論アリアが男役でマリア様が女役だけどね
その周りの人たちも踊り始めた
「すっごいな〜」
「何がです?」
「なんかさ・・今まで普通の一般人で普通に生活したてたのに何かこんな豪華な城に来たりして・・ホント夢みたい」
「夢・・ですか」
アルヴァは呟いてからわたしに手を伸ばしてきた
「アリス。お相手願えますか?」
わたしはアルヴァの手に自分の手を重ねて「勿論よ」と言って笑った。
「アリス」
音楽にあわせながらゆっくりと踊っていく。アルヴァのリードのお陰かうまく踊れている
「何?」
「さっき夢みたいっていいましたよね?」
「うん・・?」
「この世界・・夢じゃないですよ」
アルヴァはしっかりとわたしの目を見据えて言う。
「解ってる。何となくだけど・・コレは嘘じゃないって」
根拠は無いけどね。そう言ってわたしは笑った。アルヴァも口の端をあげて少しだけ微笑んだ
「アーリス」
名前を呼ばれて振り返ると、ほっぺに指があたった
「にゃははっ!ひっかかった〜」
そこには笑っているシェルが居た
「あんたは小学生か!!!!」
「まぁ怒らないでよ。アリス〜」
シャルは全く悪びれる様子もなくそう言って手を伸ばした
「今度は俺と踊ってよ」
アルヴァをちらりと見るとどうぞといいわたしから離れた。
わたしはシェルの手を取った。シェルはわたしの腰に手を回して優雅に踊る
「踊れるんだね」
「まぁね〜俺基本なんでも出来るから」
「嘘つけ」
そんな軽口を叩きあいながら踊る。シェルの首元が自然と視界に目に入る。
ほっそい首だな・・折れちゃうかも・・えいやっ!て
「やめてね。アリス。それ殺人だから」
「殺人じゃなくて動物虐待でしょ?」
「動物扱いなの?俺」
シャルはいつもの様に軽く言う。
「まぁね」
曲が終わりわたしたちも止まった。
「じゃあ・・わたしチョコくん見てくる」
もし起きてたら場所わかんないだろうしね
「ほーい」
わたしは扉をゆっくりと開けた
「まだ寝てるか」
チョコくんが寝ているベットまでやってきて隣に腰掛ける。
「ホント幼い顔して寝るな〜」
コレにわたしは殺されかけたのか・・なんて考えるとちょっと情けない
「・・ふぁあ・・眠い」
チョコくんの寝顔見てたらわたしも眠くなってきた。
ゆっくりと横になりわたしは目を瞑った
つづく