流されて・・
カランカランッ
入るととても可愛らしく、雰囲気の良い店だった
「へぇ・・2人がこんな所くるなんて意外・・・」
「それってどういう意味?」
「失礼なやつだ」
ダムとディーはむっとした顔をして、口々に言う。
「ごめんごめん。でもいい店だね」
「そうだな」
ビルも同意してくれる。ダムとディーは、カウンターに座り、
「「マスターいつもの」」
と注文した。ビルとわたしもカウンターに座りビルは
「オススメお願いします」
といい、わたしも
「同じ物を」
と注文した
カランカランッ
そのとき誰かが店に入ってきた。振り返ると
「あら?アリスちゃんじゃない?」
「おっ!アリスだな!!」
「マリンさん!チュニリス!」
「ひさしぶりね」
マリンさんとチュニリスはそう言いながらカウンターに座った
「はい。良く此処に来るんですか?」
「ええ。チュニリスと一緒に」
マリンさんとチュニリスはいつものとマスターに言った。
「へぇ・・」
「あっそうだわ。今日楽しみにしてるわね」
「えっ?」
何の事?
吃驚した顔をしているとマリンさんは目を丸くした
「あれ?知らないのきょ「マリンさん。」
振り返るとビルが口元に指を当てて「内緒なんです」と言った
「何の事?「アリスは関係ないよ」
ビルはそういって運ばれた紅茶に口をつけた
「んーー??」
「ごめんなさい。わたしの勘違いだったみたい・・・最近物忘れが激しくて」
「そうだな!マリン、そろそろ歳だも゛イテェッ!!」
チュニリスのお腹に見事にマリンさんの肘鉄が入った。
今のはチュニリスが悪い。マリンさんは痛がるチュニリスをほっておいて、紅茶を飲んだ。
「ひでぇ・・・マリン」
チュニリスは目に涙を浮かべ、耳をシュンとした
「まぁ何のことかしら?うふふっ」
マリンさんは笑顔で微笑んでいる
マリンさんも意外と黒いよな・・・
「だろ?」
ビルが耳打ちをする。
わたしは小さく頷いて紅茶を飲んだ。
すると目の前にクッキーが入ったお皿が置かれた。上を見るとマスターが
「おまけです。」
と言ってにこりと微笑んだ
ジェ・・ジェントルメーーーーン!?すごいよ!!初めてのダンディーなおじ様だよ!!
「ありがとうございます」
「良かったな」
ビルは頬杖をついてにっと笑う。
「食べ過ぎたら太るよ」
「そうだぞ」
ダムとディーはまた余計なことを言う
「うるさい・・って!あんたらも食べてんじゃん!」
ディーとダムの机の上にはスコーンやらクッキーとか山盛りになっていた
「僕らはいいんだよ」
「その分頭を使っているからな」
どこら辺がだよ!!頭使ってないよ!!使ってんのは身体でしょ!?
「なんかそのいい方エロイ・・気が」
ビルが笑いながら言う。
「それはあんたが可笑しい」
エロ大王。
心の中でごちる。
「エロ大王って・・・」
ちょっと嫌そうな顔をしたビル。
「じゃあわたし達もう行くわ・・・。準備もあるし。じゃあまた」
「またな!アリス」
「はーい」
2人は店から出て行った。
「さて・・そろそろ俺らも出るか」
カタンッと音を発ててビルが立ち上がった。
「そうですね〜」
「ああ。」
ダムとディーも立ち上がり、
「アリスもほらいくよ」
と声をかけてくれる
「あっはーい」
わたしも慌てて立ち上がり、皆で店を後にした。
城に戻り部屋に入ると、真っ白なベットに上に真っ赤なバラと真っ白な薔薇が一輪ずつ置いてあった。真っ白なベットに真っ赤なバラが良く生えて摘み上げると、下に紙がおいてあった
「何これ」
見てみると、
「招待状・・?」
ー今日、赤の城にて舞踏会を開きます。是非ご参加下さいー
「舞踏会・・・?」
ふっと頭にマリア様やまりんさんが言っていたことを思い出した
ー今日楽しみねー
ーダンス踊れるかしらー
「これかぁあ!!」
納得納得。わたしは白薔薇の方を見てみると封筒があった。あけてみると、ハートのトランプが入っていて、小さく「招待状」と書いてあった
「なるほどね・・これ持ってないと入れないのか」
わたしはそのままベットにダイブした。大きく息を吸い込みゆっくり吐く。
コンコンッ
ノックの音が聞こえる
「どうぞ」
「失礼します。アリス様お召し変えのお時間でございます」
メイドさんが愛想良く入ってきた。ここの城には、人のメイドと魔法のメイドさんが半分ずつ居る。今は人のほうみたいだ
お召し変え・・って服着がえるって事?
「はい・・でも服・・もってないです」
舞踏会いけるような服・・。
「此処にアリス様当てにドレスが届いておりますが・・どれになさいますか」
「え・・・」
そういうとメイドさんは廊下から綺麗にラッピングされた箱を8箱持ってきて、ふうっと息を付いた
「うわ・・・なんでそんなに・・」
「アリス様モテモテですね」
「そんなわけないですよ!!」
まず1箱開けると真っ赤なドレスで、丈は短く胸元がフリフリのドレスというよりゴスロリだった。
「おおー・・可愛いけどコレ」
送り主の名前を見てみると
「アリア」
と書いてあった
「やっぱりね」
次は・・・
2つめを開けてみると、先程とは対照的な、真っ白なロングの膨らんだドレス・・・ホントのお姫様が着るような感じだ
「これは」
ーマリアー
「やっぱり」
3つ目を開けてみると、アンダーバスとのところでリボンがついていて、下はふんわりとして膝の少し上くらいの優しい感じのデザインだ
「これかわいいなぁ・・・コレは誰だろ・・」
ついていた紙を見ると
ーフィルー
と書いてあった
「フィルか!!やっぱり何か他のと違うと思った」
4つ目は
タートルネックタイプの肩と、背中出しでスカートかと思ったらズボンでパンツドレスだった
「動きやすそう!!」
マリン・・って書いてる。マリンさんまで・・
「5つめは・・・」
開けてみると中のドレスは、肩が出るタイプで胸元が大きく開き、丈は膝より少し上のドレスだった。
ービルー
「うおうっ!?今日服かってもらったばっかだよ!?」
いいのかよ!!
「つ・・次は・・」
ドレスのデザインは、バルーンタイプでスカートの丈が少し短いかな?と思うぐらいのデザインだ
ートゥイードルー
「あああああの2人がァ!?ありえねぇ!!!!」
着た瞬間、変質者扱いされるドレス!?
酷いと思わないでね!!いつも、こう思っちゃうほどひどい事されてんのよ!!
「次いこう次!」
次の箱のドレスのデザインは、肩のところが膨らんでいて、指先が少しだけ見える長袖に、ふわふわのドレスにフリフリのエプロンがついている、いつものエプロンドレスと違うエプロンドレスだった
わたしは紙を見つけて、名前を確認してみる。見た瞬間・・・絶句した
だって
「あ・・アルヴァ・・・?」
何故アイツが送ってくる。なんで・・やっぱコレは着た瞬間、死ぬ毒薬とか塗ってんじゃん・・?
「怖ッ・・みんなそこまでしてわたしを殺そうとしなくても・・・・」
気を取り直して、最後の箱に手を掛ける。
「この箱・・・他のと違う。」
なんていうか・・
「和風?」
でも・・・この世界に和風のものなんて・・
わたしはそっとその箱を開けてみる。するとそこには
「着物・・・?」
いや違う。着物とドレスが混じったような綺麗なデザインの服だった
「誰からだろう・・・?」
箱の中を探してみても名前が書いてある紙が見つからない
「アリス様どれにいたしますか?」
「えっと・・じゃあ・・・」
わたしはひとつの箱を指差した
続く