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memory

アリスちゃん・・積極的?になります!!

コツコツコツ


「最悪だ。あんな猫にアリスを連れ去られるなんて・・一生の恥です」


硬い廊下を革靴で進んでいく。


「アルヴァーどうしたんだ?」


下に向けていた顔を上げると目の前にはアリア様がいた。僕は直ぐに跪き


「申し訳ありません。アリスが・・・」


「アリスが?」


「チェシャ猫に連れ去られました」


「・・・・・」


暫く無言になり僕は恐る恐る顔をあげるとアリア様は口を抑えて笑いを堪えていた


「アッアリア様!?」


「はははっ!そうかチェシャ猫が・・アリス懐かれたんだな」


ふうと溜息を付いて、アリア様は


「じゃあ・・・アリス捜索隊出すか。」


くるっと踵を返して歩き出した


「いえ。僕が探してきます」


アリア様は振り返って吃驚したような顔をしてから


「そうか。じゃあ頼んだぞ」


そう言って去って行った。






「ちょっとまぇいっ!!!!」


そんなわたしの言葉も完璧に無視してわたしを抱えたまま木から木へと飛び移っていく


「こんのクソ猫〜〜!!!」


むんずっと耳を掴んで叫ぶ


「わわっ。煩いよアリス」


「ごめん・・・。じゃない!!ちょっとなんで誘拐されてんのわたし」


「成行き??」


「成行きで誘拐すんなこの馬鹿猫!!!!」


「まあまあアリス落ち着いて」


「落ち着いていられるか!!!!大体何処行くつもりなのよ」


「う〜ん・・・何処行こっか?」


「決めてないんかい!!」


はぁ・・・自由って言うか・・自由すぎるだろ


「まあ俺のとりえだし?」


「いやいやいや。とりえじゃねえよ人様巻き込んでどうするつもりだよ。」


はぁああ・・何と言うか・・ホントわたしついてないね。


「アリスって運悪いよね」


「そうそう・・・ってあんたが言うな!!今回の悪運の元!!」


「今回の悪運の元って・・・」


そこまでシェルは言ってはっと思い出したように


「なぁアリス」


「ん?」


「綺麗なとこ行こう!」


「綺麗なところ??」


「そう!」


そういうとシェルは両腕でわたしを抱えてつまりお姫様抱っこ・・・なんだけど。スピードを速めた


「ななななな!?速すぎだよ!!!」


「そんな事ないって・・怖いなら抱きついてていいよ」


「だだだだだ誰がそんなことできんのよ!!」


恥ずかしくて出来るかって言うの!!大体さこの状況だって恥ずかしいのに


「アリスって意外と照れ屋?」


「ばっそんなわ「きゅーこーかします口閉じてなよ。舌噛むから」


シェルはそう言って木を蹴り下に向かった。


「馬鹿ーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」


うっ・・気持ち悪い・・・・


頬に風が強く当たる。耳に風の音がゴオゴオと聞こえてくる


「気持ちいーでしょー?アリス」


わたしの耳に口を付けてシェルは言う


「何処が!!!!!!いいいいいいいっ!!!!」


シェルの首に腕を巻き付けて首元に顔を埋める。もう恥ずかしいとか言ってらんないし!!


「積極的ーー」


「違う!馬鹿!!!」


「まぁそのまま抱きついてて。」


「わきゃあああっ!!!」


シェルは着地態勢になり身を低くし、片手でわたしを抱きしめて両足と片手で着地した


「はいとーちゃーく!」


わたしをおろして立ち上がった。


「やっと・・・」


地面に足がついた!!!良かった!!!!


フラフラと何とか立ち上がったなんか・・ジェットコースターみたいだった・・・しかもまだ整備中な感じの。


「じぇっとこーすたー??」


「わたしのもとの世界の乗り物よ。絶叫マシーンって言って乗り物に乗って線路みたいなものを走ってて空中で回転したり急降下したりする遊ぶ為の機械・・・かな?」


「ふぅん。楽しそうだね」


「全然。危ないし・・死んじゃうかもしれないのに何であんなのが楽しいわけ?」


「いや。俺分かんないけど・・スリルじゃん?」


「スリル??」


「そう。はらはらするのが楽しいんだよ。ギリギリって言うか・・・命のやり取りって言うの?ほら!殺し合いとかゲームとかもそうだよ!」


「こ殺し合いって・・・ゲーム・・・?」


そうか。この世界のゲームはただの「ゲーム」じゃないんだホントの武器を使った本物の・・・


「争い。人と魔物の・・ね」


「そういえば魔物・・この辺にいないよね?」


「さあ?でも滅多に出るものじゃないと思うけど・・・多分。」


「多分ってなんだよ多分って!!!」


「そんな事より。ほら行こう!!」


シェルはわたしの手を引いて森の中を歩き出した。







「ここだよ」


シェルは草を掻き分けてわたしに見せた。


「わあ・・すごっ」


木漏れ日が湖を照らしキラキラと輝いてその周りには見たことのない綺麗な花が生えていてる


わたしはその湖に近づいてしゃがみ覗き込んだ。


「触って平気?」


「うん。」


湖に手を入れた


「綺麗な水・・・冷たくて気持ち良いし・・・」


そういった瞬間背中をドンッと押された。


「えっちょ!?」


バシャーンッ


湖の中に落ちた。意外と深いぞ!?水の中で目を開けると底が見えないほど深くて暗かった

わたしは何とか水面に顔を出した


「ぷはあっ!!ちょっとシェル!!!」


軽く睨むと


「にゃははっ!」


と指を指して笑った!指差すなバカヤローー!!


「笑ってないでちょっと手貸してよ!」


溺れる・・!!服着たまま水の中に入ると死んじゃうじゃん!!!みんなわかるよね!?着衣永やった事ある人ならわかるよね?!この苦しみ!!


「ごめんごめん。」


そう言って手を差し伸べた。


「あっちが浅いよ。今アリスがいるところが一番深いところだよ」


シェルはわたしを引っ張って浅い方に連れて行った。

わたしは浅い所・・それでも腰まであるけど・・・についた瞬間にシェルを思いっきり引っ張った


「おっ?」


シェルは予想外だったのか簡単に湖の中に入った


バッシャッ


「仕返しだよっ!!・・・ぷっ」


意外だったのかシェルはボーッとしている


「おりゃあ」


そう言って手で水をすくって思いっきりシェルの顔に水をかけた


「わっ・・」


少し吃驚してからシェルは顔を手で拭いてから水をすくってわたしにかけた


「仕返しの仕返し」


そう言ってニッと笑った。


わたしも水をシェルにかけた


「仕返しの仕返しの仕返し」


「仕返しの仕返しの仕返しの仕返し」


「うぎゃっ・・・冷たい気持ち良い・・ね?シェル」


「そう・・だね」


またボーッとしている。ゆっくりと歩きながらシェルは岸に座った。


「どうしたの・・?シェル」


近づいて顔を覗きこんだ。するとシェルは手をわたしのほうに伸ばして腰に腕をまき付けて胸に顔を押し付けた。


「ちょっ!?シェル!!?」


「アリス。」


いつもと声色が違う・・どうしたんだろう


「アリス」


「どっどうしたの?」


「アリス」


ふざけた声じゃなくて不安そうな声・・・

さらにぎゅうッと腕に力を込めて顔を押し付ける。喋るたびシェルの温かい吐息が肌にかかってくすぐったい。

水で少し冷たくなった肌はシェルが触れているところだけ熱い。きっとシェルの体温が温かい所為だろう。


「アリス・・・俺も良くわかんないんだ。良くわかんないけど不安なんだ。アリスお願いだから消えないで・・・」


消える・・・?


「そんなわけないじゃん。・・・消えるわけないよ。わたしはちゃんといるよちゃんとこの世界救ってそれから・・家に帰るよ。」


自分の使命果たしてから・・消えるんだったら消える


「・・・・そう・・」


わたしはシェルの頭を軽く撫でる。すると少し腕の力が弱まった


「大丈夫。まだ先の事だから」


そういうとシェルは腕をを離して横になった。周りに少しの花弁が散った


「いつか・・アリスは・・帰るか・・」


シェルはそう言って目を細めた。寂しそうな顔をして


「・・・」


シェルの隣に座って、シェルの額に軽くキスをする。


「ア、アリス?!」


驚いたように額を手で押さえた


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「おーい・・アリス?」


「ぎゃああああああっ!!!!」


わたしの目の前で手を振っていたシェルは叫び声に吃驚して手を引っ込めた


「わたし何した!?」


「何って俺にでこチュウ」


「ぎゃあああああああ!!!!なんてことを!!!わたしはこんな軽い奴だったのか!?おおおおおおおおしまいだ!!!」


「おしまいって・・・」


水の中に入り


「死にます。今すぐ死にます」


「ちょっとちょっとアリスさん?」


ザブザブと深いほうに進んでいく。するとガサガサッと草むらが動いた。


「ひっ!?」


シェルは直ぐにわたしの元にきて背中にわたしを庇い太もものケースから銃を取り出し構えた


「誰」


鋭く睨んで耳をピコピコと動かし探る。シェルは直ぐにケースに銃をしまった


「えっちょっと?」


草むらから現れたのは


「アルヴァ!!」


騎士ナイト登場ってやつ?」


「大きなお世話です。チェシャ猫・・いえ誘拐猫」


不機嫌なアルヴァだった


                           つづく

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