12話:Stay night・Say goodbye.
それからどのくらい時間が経っただろうか。何分、何十分、何時間。HMDの画面だけが静かに<<MISSION TIME>>とその経過を示している。改めて見るとそんなに時間は経っていなかったし、定められた飛行ルートにしてもまだ3分の1程度しか飛んでいない。
僕らから中佐やビショップ中尉たちへの無線は行えない。傍受を考えてHMDに合図を行うことになっている。隊どうしの会話にしても、限られた時間しか行えない。あとは合図が来るか来ないか、それだけだ。
夜空に点滅する夜間灯。自分は今ここにいるということの証明をし続ける。高度は7000m程度だ。月明かりが程よく機体を照らす。戦場ということを忘れそうになるくらい心地良かった。
正面には明るくなる空が広がっている。綺麗だ。このまま何も起きず、穏便に済めば良い。今だけ汚れを知らない空を飛ばさせて欲しい。こんな時間に飛ぶのは僕らくらいだ。
ピピピと小さい電子音。ビショップ中尉らの合図だ。バイザー上に”ROMEO 0-1”のコールサインと文字が羅列する。<<鳥籠は空>>と書かれている。ということは、既に飛んで姿をくらましていたということだ。その結果は直ぐにレーダーにも現れた。右前方に4つのブリップ。
「隊長、来ました」
「ああ。分かってる」
レーダー表示は”不明”だ。これだけでも彼らの立場は明確であることには変わりないのだろう。機速を落として僕らの速度に合わせてくる。
「接近中の”不明機”に告ぐ」冷たい声が無線に響く。ジェフ少佐の声だ。
「当該機らは作戦行動中の国連軍機に接近している。直ちに反転し、当空域から離脱せよ。繰り返す」
淡々と定回文が話される。まるで僕らを見ていない。
「こちら第51飛行隊、クーパー大尉。第28攻撃飛行隊、そちらのことは認識出来ている。こちらのことも識別で認識出来ている筈だ。こちらは現在作戦行動中であり、当該部隊機は我々に異常接近している。意図を明らかにせよ」
「クーパー大尉、直ちに反転せよ。必要な手段を取らざるを得ない」
そんなやりとりをしながらお互いがかなり接近していることに気が付いた。クーパー大尉のF-4とジェフ少佐のF-15Eは手のジェスチャーなら分かるくらいの距離を飛んでいる。
またバイザー上に文字の羅列。今度は数字だ。無線…、秘匿回線だ。『時間がない』と一言も添えられている。レイは素早く操作して繋いだ。
「ライアン」
「ジェフ」
同時に呼び合う名前。友達どうしのものでもなく、初めて会った者どうしのものでもなく。ただ寂しさが無線を駆け抜ける。
「お前に聞きたいことがたくさんある。そのために来たんだろ」クーパー大尉が切り出す。
「最早お前に語ることなどないと言いたいね」
アルテミス隊の機体が動いた。背後に付く気か。
背後にホーネットが付く。ガンレンジ。ミサイルにしては近すぎる。だがこの距離なら彼らは外さないだろう。エンジンに撃ち込んでそれで終わりだ。僕らでもそうするかもしれない。
「何故こうした」
「まるで俺がこういうことをしない人だったような言い方だ。意外だったか?」
「ああ意外だね。あの事件も、お前がやったんだろ」
「そうだ」短く反射的に答えているように聞こえた。
「何故だ、情報軍にこうも従う価値があるのか?」
「何故、何故、何故。そういうのは聞き飽きたよ。言っただろう。お前には語ることなどないと」
唐突な警告音。攻撃照準をしているというものだ。操縦桿を握りしめる。
「動くな。レイ・ハンター、私と来い。さもなくば撃つ」
「おい、ジェフどういうつもりだ!」
「お前の可愛い子を借りていく。拒否権は無いが」
「クソ…行け」
「良いんですか!隊長!」エミリア大尉が言う。
「早く行け!」
「了解…」レイは小さく返事をした。
ジェフ少佐のF-15Eが上昇する。レイもF-15Cを上昇させる。左旋回。僕らが今まで進んでいた方向と逆を飛ぶ。
F-15EとF-15Cは一見すると全く同じ機体だ。胴体にコンフォーマルタンクが付こうが素人目が見たらそんなことは分からない。主に違うのは中身だ。外身だけそのままに中身をすっかり入れ替えたと言った方が早い。エンジンから電子機器、構造自体にも大きく改良が加えられた。ストライクの名の通り、専らCASや空対地任務に使われることが多いが空対空戦闘にしても名前に恥じない。
そんな機体は今の僕らにも似ている。同じ部隊の枠組みにいて、同じ事を生業としているけれど、この状況のように全く異なる意志で空を飛んでいる。僕らからしてみれば本当に彼らは一から飛ぶ目的を作り変えられてしまったかのようだ。
「ここら辺で良いだろう」ジェフ少佐が口を開いた。
それなりに遠くまで飛んだ気がする。僕がクーパー大尉らにこっちに来てくれと言っても、そう早くは飛んで来れないかもしれない。
「さて、連れて来たのは他でもない。君に用がある」
「なぜ。なんでこんなことをするんです?僕には分からない。あなたの目的が。情報軍なんかと組んで、何になるんです」
レイは率直に聞いた。
「あいつと同じことを聞くんだな。分からないのなら、分かるように教えてやろう」
唾を飲む。
「この先バンディッツと戦うのならば、我々は軍というしがらみから独立した存在になるべきだ。情報軍はその過程を成立させる一要因でしかない」
「独立した存在?僕らは元々そのようなものではないですか。これ以上外へ離れてどうしようと?」
「確かに。軍というものの中ではかなり別個な存在だろう。使用する機体も、任務も、扱いも、良くも悪くもその通りだ。そんなだからこそ、強力な部隊群になり得た。なぜだか分かるか」
「バンディッツ…」
「そうだ。バンディッツというものが我々を強くした。強力なバンディッツを専門に狩るハンター集団。軍にとっても発足時の我々はそうでもないように思っていたことだろう。バンディッツがいよいよ無視できない勢力になったことで、こちらの重要性も上がった。それが今だ。強すぎるものは身内であれそれを制御したくなる。ロデオと一緒だ。するとどうなる?」
頭が痛くなりそうなのをこらえる。考えるのをやめてはいけない。飲まれるな、自分にそう言い聞かせる。
「押さえつけようとする。そして制約を設け始める。僕らは自由には動けない」
「そうだ。バンディッツの対策にも支障が出始めることだろう。いつまでも野放しにしておくことはしない。遅かれ早かれ、仕組みが変わる。そうはさせたくない」
「それで情報軍を、情報軍にそう吹き込まれたのですね」
冷ややかに返した。今まさにこの特別航空治安維持飛行隊で何が起きているのか、少佐の説明は回りくどくもあまりこういった政争に感心のないレイでも想像がついた。
「中尉はわざとそういう言い方をしているのだろうが無駄だ。情報軍にそういう情報は提供してもらったのは事実だが、何もかも彼らに任せたわけじゃない。お互いこの考えに対しては対等な関係だし、言った通り一要因に過ぎない」
どうやら本気かもしれない。本気というのは、本当に情報軍に吹き込まれただけというわけではなく、少佐がそうしようと思って行動しているということだ。
「俺はこの部隊の存続のために、軍じゃない立場としての飛行隊を作る。そしてこれは、この空からバンディッツを駆逐するため、我々の戦いを行うため、この目的を円滑に進行させることができる。自分たちの足で独自の戦いを始めるんだ。悪い話じゃないだろう?装備も何も、情報軍を介す。心配は要らない」
独自の戦い。バンディッツ駆逐のために軍から離れて空を飛ぶということ。それは国連軍の活動を各戦場や現地協力者単位で支援している民間軍事請負会社とはまた違うものだろう。だが、あの”魔術師”に言われた「バンディッツを墜とし過ぎた」という言葉が引っかかる。駆逐するというものと相反するからだ。
「一つ聞きたいことがあります」聞く気でいた。
「なんだ」
「僕らはバンディッツを墜とし過ぎたと言われました。それを快く思わないために少佐たちが動いていると。この言葉通りなら、こんなに回りくどいことをしなくても僕らをさっさと撃ちにくれば良かった。違いますか?あなたは駆逐すると言った。そんなことしなくてバンディッツの好きなようにさせればそれで済む話だ」
「…、お前はバンディッツがどこから湧いて出てくるか本当に知っているか。その言葉が持つ意味は、単に言葉通りのものじゃない」
「なに…?」
「そうかそこまでは、あの”魔術師”から詳しく教えて貰わなかったのか。かと言って今ここで教えるわけにもいかない。その時は中尉がこちらについてくると決めた時だ。どうする、時間は無いぞ」
「どうするって…」
嫌な空気だ。もやもやする。ジェフ少佐は独自の飛行隊を作り、情報軍を利用して軍と対等な関係になろうとしている。バンディッツの駆逐を目的として、その制約に縛られない行動を手に入れる。一見すれば理解出来なくもない話だが、その後は?その先が見えない。
「中尉はバンディッツを倒す傍ら、空に散った母親の事を追うこともできる。彼女が何をしてきたのか、どういう人だったか、調べられる。それを提供してくるものだってある」
「…」
こうも簡単に母親のことを交渉材料としてくるなんて。しかし、軍にいたらただ撃墜され死亡したということまでしかどうやっても分からない。だがこの選択で分かるとしたら?新しい部隊でバンディッツを殲滅して母が目指した空に近づくことができるとしたら?
悪い話ではない。本当に、そうとどこか奥底でささやく声が聞こえる。だが逆にそれを思い留まらせているものもある。それはなんだろうか。
少佐が僕らに銃口を向けているからだろうか、既に敵対的だからだろうか―――そう言えばビショップ中尉らが心配だ―――いや違う。もうバンディッツだからだ。
少佐の言うことは正しいかもしれない。本当にこの部隊を生き残らせるために、軍から切り離してどうにか自分たちのホームを作ろうとしている。僕らの司令であるストークマン中佐だって、この危機的な情報は耳に入れているかもしれない。だが中佐は中佐で自分たちのポジションを維持しようともがいているに違いない。日々そういう圧力と戦っているのだ。この部隊の生き残りをかけているという点では、どちらも正しい。
どちらも正しいが、少佐のすることはバンディッツと同類になる可能性がある。それは今にも崩れそうな橋を渡っていることと同じだ。僕らと意見を違え、間違った空を飛んだ時点で、僕らにとってそれはもうバンディッツであることに他ならなかった。
答えは決まった。
「僕は行きません。僕らは自分の空を飛ぶ」
「そうか」そっけなかった。落胆したようにも、この答えを予想していたようにも思えない、ただ中身のない返事だった。
ふわりと少佐の機体が舞う。朝日の端が出てきた東の空に浮かぶシルエット。
警告音。『攻撃照準を受けている、回避せよ。』
背後にいた。少佐は本気だ。明らかに機体から殺気を感じる。右に捻ってダイブ。レイは操縦桿を強く握りしめた。やるしかない。
マスターアームオン。全搭載武装の安全装置解除。全兵器使用自由。
加速しつつ上昇。翼に抱えた二本の増槽を投棄。身軽になったイーグルが跳ねるように軽くなる。インメルマンターン。離れずに少佐、敵機がついてくる。もうあれは敵機だ。レーダーディスプレイ上の識別も敵機の表示に切り替わっている。バイザーに浮かび上がるアイコンも赤だ。イーグルが撃てと言っている。
腹を括る。死ぬ前に撃て。バンディッツが来た。少佐のF‐15Eも増槽を落としたようだ。簡単に張り付いてくる。
「残念だよ。本当に、残念だ」
「くそ…!」
機銃の軌跡が機体を掠める。夜空に映える曳光弾。小刻みにローリングを繰り返してどうにか回避機動をする。鋭い。わざと外しているようにも見えない。
旋回。高速かつできるだけ半径の小さいものを行う。Gに身体が締め付けられる。振り返しで逆方向。歯を食いしばる。
どうにかしてミサイルのロックを回避し続けなければいけない。少佐からすれば今の距離はミニマムレンジだ。自機の危険を顧みないで撃つ可能性は充分あるが、どうやらそうでもないかもしれない。
跳ねるように機首を斜めに上向けてバレルロール。真横でブレイクする”敵機”。加速して振り切ろうとする機体を急加速して追う。推力だけでも違いがある。あちらの方が一歩鋭い加速が利く。最高速が同じでもそれまでに形勢は覆される。
ほぼ無意識のうちにガンを選択した。RDY、GUN。
「あそこに居続けて彼らはお前に何をくれる?」
HUDは機関砲先導照準モード。レーダーでロックした敵機をHUD上に目標指示ボックスで表し、距離計や目標までの距離、砲弾の飛行時間など言わばミサイル照準の機銃版と言っても良い。
問いかけに照準が乱れそうになるのを抑える。レティクルが捉える彼方に映る機体。バンディッツとは違う圧。細かい機動に手元がぶれる。両手で押さえたい気分だ。
「お前は理解して、来てくれると思っていた」
激しい機動に聞こえる声も途切れ途切れだ。
「なぜ僕なんですか…!」
レティクルとボックスが重なる。1秒にも満たない瞬間の射撃。弾の軌跡がなびいていく。命中ゼロ。”敵機”がブレイク。
「言われなかったか、”有望株”だと」
「だからって….」
小刻みな調整が大きなものに思える。旋回する”敵機”。息を大きく吸う。
「本当に必要だったからこそ、他の隊員を置いてきたというのに」
“敵機”が急減速。スプリットS。レイも機体を180度回転させて倣う。だが遅かった。想像以上に距離があったせいか同じ機動をする頃には向こうは一歩速い動きをしている。機体を上昇させてレイの上を取っている。
「お前のその技量は、もっと広く活かされるべきだ。狭い世界に居続ける理由はない。だが、残ることを選んだ。なぜだ…!」
上から”敵機”が降ってくる。操縦桿を横に倒してローリング、ブレイクする。掠める弾。実際に機体に掠っているかもしれない。旋回して上昇。HUDと連携したHMDが”敵機”を再度捉える。真横にいた。同じ姿勢で上昇している。
「それはあなたがバンディッツだからだ!」
“敵機”の方に機体を倒す。向こうも合わせてこちらに倒してくる。機首を上に、向こうは下に、機体が交差する。素早く反転。”敵機”の背後を捉えた。ターゲット、インサイト。
1秒間の射撃。吸い込まれていくのがはっきりと分かる。右垂直尾翼を貫通した。それだけだ、飛行に大きな支障はないだろう。イーグルは頑丈だ。
「何もくれなくても良い。僕が望むのはこの空で飛び続けることだ。だけどそれはあなたの下で飛ぶことじゃない。それは間違った空だ」
「ではお前の思う正しい空はなんだ、中尉」
“敵機”が加速する。煌めくアフターバーナーの青白い炎。始まろうとしている新しい空の光に溶け込むように進んでいく。レイは必死に食らいついた。
「望むことと一緒だ、ここで飛び続けることだ。僕はこの部隊でそれを得た。バンディッツを墜とす任務が正しいのだとしたら、僕もあなたも、正しい。けど、あなたはその目的のために味方まで犠牲にした。それはもう、バンディッツが見ている空と同じだ。だから間違った空を飛んでいるんだ!あなたにはそれが分かっていない!」
再度発砲。距離はかなり空いている。完全に機器に頼らない見越し射撃。掠めていくが当たりはしない。手が痛いほどきつく操縦桿を握りしめている。
「それがお前の思う正しい空か、そうなんだな」
“敵機”が旋回。ヘッドオン。マズルフラッシュと共に突っ込んでくる。上に避けた。やや距離をおいて旋回。再びヘッドオンの構えだ。ミサイルアラート。今度はミサイルが突っ込んでくる。
バレルロールで回避する。自爆もなく、誘導もない。無誘導で撃ったのか。
「撃ってみろ。その言葉にお前の意志があるか、そのイーグルに乗せてみろ!」
レーダー上でほぼ同時に反転した。機関砲の残弾はもうあと2回程度できるかできないかだ。表示される残弾数がなによりも重い。
距離が詰まる。先に撃った方が負ける。だがこのまま自分だけが撃たなかったら、それでも負ける。正面衝突もする。やるしかない。既にHMDは衝突の警告を出している。
叫びたくなるのを堪えてブレイクさせた。お互い撃たない。もう一度だ。
朝日を背に、”敵機”が来る。その先を飛ぶには今この機体を撃墜しなければいけない。距離計が目まぐるしく減っていく。減少していくカウントが酷くゆっくりに思えた。
「ジェフ!!」
「レイ!!」
ガントリガーを引いた。イーグルのバルカン砲がレイの声を乗せるように咆える。甲高い弾切れの警告音。何が起きたのかもう分からない。向こうが撃っているのかさえ。
一瞬だった。レイと少佐はお互いコックピットを向かい合ってすれ違った。
火球が見える。自分の機体ではなく、ジェフ少佐のF‐15Eから。
レイは反転させた。HMDに浮かぶ機体のバイタル。主翼の付け根や垂直尾翼などに命中している。
少佐の機体に追いついて見やる。エンジンから出火している。黒煙も吐きながら、機体は穴だらけだ。
「ジェフ少佐、脱出してください。今ならまだ…」
「いや、良い。お前に最後言いたいことがある」
「何です…」
「お前は…、この先この道を選択して色んな不都合に直面するかもしれない。俺についてきて回避できた様々なことに遭うことだろう。それを受け入れる覚悟はあるか…?今のように正しい空を貫けるか?」
「分からない…。けど、それでも、僕はこの空を飛ぶために、正しい空を飛び続けるためにこのイーグルを使って戦う。例え僕の思っていることが絵空事だったとしても」
「そうか。お前、いや、中尉は強い。広く見る眼を持て。そして思い返せ。そうすれば…」
バン、という音と共に急激に高度が下がっていく。両エンジンとも出火していた。
「脱出を!」
「イジェクションシートはもう馬鹿になってる。後席のあいつももう諦めてる。中尉、その翼に抱いたものを忘れるな」
「…こんなの、酷いじゃないですか…」
「ライアンは…、良い部下を、持ったな…」
錐揉みして墜落していく。少佐は無線を切った。程なくして、彼は火の塊となって地面に激突した。
バイザーを上げる。瞼に溢れるものを拭う。拭いきれない程のそれ、コックピットを溢れさせて身体を包むかのように。静かに泣いた。
それからどのくらいたっただろう。
「無事か、レイ」クーパー大尉の声だ。
「はい。クーパー大尉たちも、無事だったんですね」
「突然あいつらが反転したと思ったら自爆しやがった。レーダーにあいつもいないってことは…撃墜したんだな」
「そうです。僕は軍法会議にでも出されますかね」
「馬鹿言え。俺や中佐がなんとかする」
レイの下に翼が集う。
「こちらロメオ0-1」無線越しに銃撃音が聞こえる。
「ステラー1、どうしたロメオ0-1」
「現在交戦中、いや待て…今終わった。航空支援を頼もうと思ったが…、迎えに来てほしい」
「了解した。そっちは無事か」
「ピンピンしてるよ。派手に火遊びをやったがね」
「定期航路を飛行している無人給油機があります。どうしますか」
「接続しろ。ロメオ0-1、今から向かう。アウト」
「了解。ロメオ0-1アウト」
朝日は完全に顔を見せている。眩しさに目を細めた。
長い夜が明けて、新しい朝が始まる。
続きます。




