プロローグ
これは遥か昔の話。
私やお母さんが生まれるずっと前の話。
ある少年が1人。
いや、これは違うかな。
あるヴァンパイアの少年が1人いました。
その少年は周りのヴァンパイアとは少し違った特徴があったそうです。
その特徴は、海のように透き通った青色の瞳をしていたのです。普通のヴァンパイアは、赤く血塗られたような赤い瞳をしています。
そのため、ヴァンパイアの少年は神に捨てられしものとされ村から追放されました。
追放されたヴァンパイアの少年は、100年後に起きた種族戦争を終わらせた謎の3人の内の1人だったそうです。
その後、神が平和な世界を創造しみんな仲良く暮らしましたとさ。
私はこの話が好き。
おはあちゃんがいつも話してくれた物語だから。
でも、まさかあんなことが起きるなんて全く想像できなかった。
20xx年10月29日
「アカリ。早く起きなさい。もうすぐ登校時間よ。」
部屋のドアをノックするのはおかあさんだった。私は返事をしながらいつものように準備を始め高校へ向かった。私の教室は、3年2組。家から教室まで10分程度。私がゆっくり教室に入ると、クラッカーが突然鳴り響いた。
「アカリ!誕生日おめでとう。これ、クラスのみんなからのプレゼント。」
驚きを隠せない私は教卓の前に立たされ大きな袋を渡された。クラスみんなの早く開けろと言わんばかりの眼を見て袋を開けた。そこには、以前私が買おうとしていた財布が入っていた。
「えっ。えっ。ほんと?ほんとに?」
挙動不審になりながら涙を流した。
「アカリもう一度言うね。18歳のお誕生日おめでとうね!明日は学校が休みだからみんなで今日祝おうって話してたの。」
親友のマナがクラスの代表として企画してくれたらしい。私は涙が出るくらい嬉しかった。チャイムが鳴りだすと、いつものように授業を受け出す。私は、さっきまで賑やかだったので急に静かになると少し寂しい感じがした。
10月29日 15:10分
ようやく授業が終わった。
今日は夜にお母さんと用事があったので家に早く帰った。
「おかあさん!ただいま!早く買い物行こ!」
アカリは制服を脱ぎ散らかしたまま着替え、お母さんのほうにせがみ寄った。お母さんはわかったと言わんばかりに立ち上がった。
そう。今日は、お母さんと買い物へ行く約束をしていたのだ。アカリは楽しそうに買い物を終え美味しいディナーを食べ満足気に帰宅した。
10月29月23:50分
あと10分で私は18歳になる。誰もが憧れるあの18歳に。アカリは笑みを浮かべながら時計の針をじっと眺めていた。
「あと10秒。あと5秒。4…3…2…1…0………」
その瞬間アカリは気絶した。