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レジスタンスはクローン反対派だ。最終的には、クローン技術の消失を目的としている。
だからレジスタンスが役目を終えるのは、クローンの開発機械を全て破壊し、データの全消去が行われた瞬間だ。
ジャンヌはそう唱えている。しかし、キルスはあまり納得していなかった。
彼女の言っていることを実行しても、一時的な措置に過ぎない。クローン技術が開発者の頭の中にある限り、この世からクローンはなくならないとキルスは思うのだ。
「でも全部リントくんを守るためだもんな……」
キルスが呟くと、アジトにジャンヌが戻って来た。彼女は血相を変えて、キルスに顔を近づける。
「エルクリフさんの目的が分かったわ。彼はシルドラ族を本当の意味で復活させる気よ!」
「どういう意味?」
「ドラゴンのクローンを造ろうとしているわ」
「!? どうして……。そもそもあの時、ドラゴンは光となって消えたんだったよな?」
「戦いの最中で剥がれた鱗は街に残ったままだったわ。きっとそれから遺伝情報を抽出しようとしているのよ。それと……」
急にジャンヌの表情が曇る。訝しむキルスは声を低める。
「それと?」
「もしかしたら、わたしたちがやろうとしていることは、誰かを傷つけ、大きく運命を変えてしまうことかもしれないわ」
ジャンヌの意味深な台詞に、キルスは唾を呑み込む。
その意味を測りかねていると、逡巡していた彼女の口がようやく動いた。
「アリアさんはクローンだわ」




