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ワールド・フラグメント  作者:
第五章 ジャンヌ
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 セフュに依頼したのは、犯罪者収容所の内情調査。もっと詳しく言うと、犯罪者収容所におかしなところはないか、ということだ。具体性に欠ける依頼内容だが、セフュにはそれくらいの方がいい。具体的に言ってしまうと、それ以外のことはたとえ情報を掴んでいたとしても教えてくれない。彼はそういうビジネスライクな人間だ。


 キルスがセフュに依頼し、約束の日に金を払って得た情報。それは、釈放されているはずの人間が釈放されていない、しかもその人間はどこかの施設に連行されている可能性が高い、という内容だった。つまりそれは、一度は牢から出たはずの囚人が犯罪者収容所から出られていないということ。


 本当だとすると、クライアントの言う通り、調査対象である囚人は病死しておらず、まだ生きているという可能性がある。しかし、一体なんのためにそんなことをしている? 施設ってどんな?


 クライアントに届いた一通の手紙。関係者に病死という当たり障りのない、納得しやすい理由を伝える。そして犯罪者収容所内では同じ牢に入っている囚人たちに怪しまれないように釈放したと見せかけ、施設へ連れて行く。


 そこまではなんとなく繋がる。だが、目的が全く分からない。ジャンヌは頭を抱えるしかなかった。


 それからキルスとともに独自に調査を行った。犯罪者収容所から、それが存在する北区についてまで。


 そして彼らは一つの答えに辿り着いた。この件は五年ほど前に話題になった〝神隠し事件〟に関係しているのではないか、と。


 囚人が連れて行かれた施設。それは犯罪者収容所と繋がっている。そうを考えると、その施設は犯罪者収容所からさほど遠くない、おそらく北区の中にあると推測できる。北区には三つの研究所が存在する。施設として疑われるのは、その三つだ。


 北区には幾つか工場などがあり、中には既に使用されていない廃工場もあるが、それらはとても〝施設〟と呼べるだけの機能を備えていないし、実際に見に行ったが何も問題はなかった。


 囚人を施設に送り込む目的は正直分からない。だが、囚人という社会的に価値が低い人間を必要としているということは、人間であれば誰でもいいのではないか、とジャンヌは考えた。


 そこで彼女は思い出したのだ。数年前にフロンテリアを恐怖に陥れ、結局今も謎に包まれたままの未解決事件――〝神隠し事件〟を。


 主に北区に跋扈するホームレスが忽然と姿を消した。それは〝人間〟という種別を欲している今回の事件と類似している。ジャンヌとキルスはその事件について調べ、結果あることが判明した。

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