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ワールド・フラグメント  作者:
終章 世界再改編
109/111

109

 あれから何年経っただろう。


 この孤島にいたシルドラ族全員が転移できるだけの魔法円を作成し、異世界へ旅立った。


 時を越え、今再び同じ魔法円を作成していることに、この島の運命を感じる。


 ここは時空を移動するための起点となる場所。


「おいリント! これでいいか?」


 転移する人数が違うので、あの時ほど大きな魔法円を作る必要はない。


 リントはシルファに乗り、シュタルク、ジャンヌ、セフュ、ルカ、アリア、ノエルと一緒に作成した魔法円を上空から確認する。


「うん、大丈夫!」


 あとはシルファの魔力も借りて、自分の持てる全ての魔力をこの魔法円に流すだけだ。





 数週間前、エルクリフが逮捕されたところまでは良かった。だがその後、信じられないことが起きたのだ。


 クローン反対派を唱えるリーダーであるジャンヌが、リントというクローンを擁護していたことが公となり、彼女はレジスタンスを追放。組織は統制が取れなくなり、クローン狩りという過激な行動に出た。


 表向きは、クローンがクローンだと知って悲しむ前に、自分たちが殺して楽にしてあげるのだという、なんとも自分勝手な理屈を振りかざしているのだが、根本はきっと金銭的な理由からクローンを造れないという妬みだろうと思われている。


 監察官長がクローンだったということも拍車をかけた。政府側の中にもオリジナルの自分たちがクローンの下に付いていたという事実を許せずに、反対派に下る者も多く出た。賛成と言っていた人間の中には、単に自分たちより劣るコピーという存在を置いて、自分自身の優位性を得たかったというエゴの塊のような人間もいたようだ。


 結果としてレジスタンスの勢力が強くなり、政府は敗北。クローン製造は完全停止に留まらず、機器は全て取り壊され、残っていた研究書類は全て燃やされてしまった。


 クローン賛成派の代表とも言えるシュタルクも追放されてしまった。アリアもクローンだということで排除対象。そのアリアを造ったノエルも、リントを庇ったセフュとルカもその対象となった。そして、クローン研究室長のレノも。


 リントとジャンヌも含め、彼らは世を脅かす大罪人として、フロンテリア中に指名手配の紙が貼られ、それは全国に広がりつつある。


 特にリントはシルファを連れていたため、自分たちとは違う人間ということで畏怖を感じ、絶対に排除したいのだろう。セフュとルカは直接クローン抗争に関わっていないにも拘らず指名手配されていたのは、リントの仲間だからという理由だと推測される。


 指名手配犯および全国のクローンは見つけ次第、逮捕。判決によっては死刑。それを免れたとしても懲役一二五年は固い。


 世界がリントたちを排除しようと動いている。この世界は二度、シルドラ族を殺すのだ。

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