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シオンさんがいない

 こりゃ駄目だ。

 トミタロウの奴にはポーシル草を譲る気など微塵もないらしい。

 昨日の取引の時とは違い、この場には比較的話の通じそうなメイド長のシオンさんの姿も見えない。

 彼女がいれば間に立って仲裁してくれたのかもしれないが、他のメイドさんではそれは無理そうだ。


――かといって力ずくってわけにもいかないし……。


 俺は状況を冷静に判断して宝条に言う。


「ライナ、諦めよう。まだ時間はあるし、他の場所を探してみよう」

「なんでだよ!! やっと見つけたのがこのポーシル草だろ!? 横取りされておいて簡単に引き下がれるか!!」

「だからってここで言い合いしてたって時間の無駄だよ」


「そうですね。これ以上モメるのも嫌ですし、私も他のを探した方がいいと思います」

「同意……」


 姫岸さんやポム嬢も俺と同じ意見のようだった。

 こうなってしまっては宝条とて強気の態度は続けらない。


「ああもう、わかったよ!! 横取り野郎に譲ってやればいいんだろ、……ったく二人ともお人好しすぎんだよ」

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