オグさん
私はとても恵まれているのだと思います。
父や母、姉妹達だけでなく屋敷で働く人達も心からとても親切にしてくれる者ばかりで。
誰もが私のためにと、いろいろと気遣ってくれます。
それでも、そんな日々の中であっても、私はまるで心に小さな穴が空いてしまったような空虚な心寂しさを覚えていました。
それは寂しがり屋のくせに、あの人達の優しさに素直に甘える事のできなかった私自身が招いてしまったものなのでしょう。
いい娘でありたい。
迷惑をかけたくない。
嫌われたくない。
そうして振る舞い続けるうちに、私の心に空いていた小さな穴は日に日に大きくなっていってしまったのです。
自分の思いすらも勇気をもって伝える事のできない臆病者のワガママと思われるかもしれませんが、あの頃の私は自分の居場所がこの世のどこにもないような、そんな孤独感に時々押し潰されそうになっていました。
だからなのでしょうか。
イロモサーガの世界を初めて訪れた時。
新しい世界で新しい自分になれたような気がして、とても胸が高鳴った事を覚えています。
一人で剣を手に見覚えもないような場所を冒険するなんて……、普段の私からは想像もつかないような事ができてしまう。
現実の私では決して手にする事ができない、新鮮で魅力的な日々がここにはある。
最初のうちは呑気にそう思っていました。
けれども。
どんなに新しい世界であろうと、どんなに新しい体であろうと。
私は私なのです。
広大なイロモの世界で一人冒険を続けるうちに気がつきました。
私みたいな人間にも時々声をかけてくれる人たちはいたけれど、上手く対応できない私の前をみんなが通り過ぎていく。
素敵な人達がたくさんいるこの世界でもまた、結局私は一人ぼっちになっているのだと。
だけど違った。
この世界にはあなたがいたから。
あなたはこんな私を自分のギルドに熱心に誘ってくれましたね。
それが私にとってどんなに嬉しかった事か。どれほど救われたか。
あの時私が何を感じていたか、それを他人に話せば自惚れがすぎると笑われるでしょうか。
でも、たしかにあの時私は思ったんです。
――こんなにも広く素敵な世界で迷子になってた私を、あなたが最初に見つけてくれた。
もしまたあなたに会うことができたのならその時は伝えたい。
小さな勇気を持てず、伝えられないままだった私のこの思いを。
団長。
私を見つけてくれてありがとう。
あなたがこの世界に私の居場所を与えてくれた。




