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懐かしきラーベン、懐かしき我が家、懐かしき友よ

 お宝探しの冒険を終え、一同ナナムのギルドハウスに帰還する。

 そこで少しばかり会話を楽しみ、荷物の整理を終えると今日はもう解散。


 アイルやオグさんもコソカナを発ち、カナイのラーベンまで帰るらしい。

 当初の予定では出発は明日にするつもりだったらしいが、レティリアさんがカナイまでのゲートを出してくれるとの事で出発が一日早まったわけだ。


「それじゃ、みんなまたなのにゃ!!」

「おう、またな」

「アイルさん、オグさんいろいろ楽しかったです」

「イージスも最後の一仕事頑張れ……」


 別れの挨拶に混じるポム嬢の激励。

 俺がいったい何を頑張るというのか、それはもちろんいつものごとく荷物運びである。


 メルフォーネの力を得た俺は記録さえ済ましてしまえば瞬時にコソカナとラーベンを行き来できる。

 だからこそアイル達の大荷物を運ぶのを手伝うのに適役というわけだ。


 俺としても懐かしきラーベンの街や『無明に宿る赤き黄金の月団』のギルドハウスをのぞいていけるのは悪い気はしない。


――それに便利なレアアイテム『オプルの箱』をレティリアさんが貸してくれるみたいだしな。


 オプルの箱はいわゆるアイテムボックスと呼ばれる異空間収納が可能な便利アイテムだ。

 イロモではもとからその手の異空間収納機能がNPCも含めてキャラごとについているのだが、いかんせん初期容量が小さい。

 ちょっと気合入れて買い物やらアイテム集めしようものなら、すぐにいっぱいになってしまう。


 オプルの箱はレアアイテムだけあって容量はそれなりに大きく、今回俺達が運ぶ荷物のほとんどを中に収納することができた。

 つまり荷物持ちとはいっても、宝来祭の時のように大荷物を持ち抱えて運ぶ必要はなかったのだ。


 レティリアさんの開いてくれたゲートを二度三度と通り、俺達はカナイのコスジャの街まで移動する。


「レティリアさんありがとうございました」

「それじゃ気をつけてね」


 そこで彼女とはお別れ。ラーベンまではアイル、オグさん、俺の三人で向かう。


――おお、懐かしいなぁ。


 コスジャとラーベンを結ぶルートは前世で何度と利用した勝手知ったる道だ。

 セイガとして見慣れたカナイの景色も、転生しあらためて訪れてみると何かしら感ずるものがある。


 そうして景色を眺め感慨にふけながら歩いてしばらく、俺達はラーベンの街に到着する。


「見えてきたにゃ。あれがアイル達の拠点になってるラーベンの街なのにゃ!!」


 言われなくともわかっておりますとも。


 立派な石壁も無ければお城もない。

 大通りを埋めつくすような人の山も、群れるように建ち並ぶ高層建築物もありゃしない。

 それでも住めば都のラーベンの街。


 小さいながらも楽しい田舎街だ。


「おお、アイルにオグさんじゃん!! 久しぶりにみた気がする~」

「たしかイーゴスのお祭りに行ってたんだっけ?」


 ラーベンの街に入るなり、街のPC達が声をかけてくる。

 小さな田舎街らしく見知った顔が多いのだ。


「にゃははは大成果を携えて堂々の帰還なのにゃ!!」

「大成果?」

「ふっふっふ、むこうの福引イベントでレアアイテムをゲットしまくってきたのにゃ」

「まじで!? アイルやるじゃん!!」


――主にゲットしてらっしゃったのはオグさんですけどね。


「イージス。我が戦果をこやつらにどーんと見せてやるのにゃ!!」


 アイルの自慢したい欲を満たしてやる為だけに、俺はオプルの箱からアイテムを取り出していく。


「うおっすっげ、あれオプルの箱じゃん。あんなのもゲットしてきたの?」

「あれは借り物だにゃ」

「なんだ借り物か」

「でも中にはアイル達がゲットしてきた素晴らしいアイテム達が詰まっているのにゃ」


「そっかぁ。……で彼は? 初めてみる人だけど」

「ギルドガーディアンのイージスだにゃ」

「ギルドガーディアン? アイルんとこもうプロージアがいるじゃん」

「イーゴスで知り合ったギルドに借りてきたのにゃ。荷物運びにゃ」

「ええ!! イーゴスからラーベンまで荷物運びやらされてんの? NPCも大変だなぁ」


 俺のことを話しているのが聞こえてくるが、まぁ無視しておこう。

 いくつかアイテムをオプルの箱から出し終えて俺は言う。


「アイル、とりあえずめぼしい物だけ出してみたけど?」

「うむ、ご苦労だにゃ!! キリナにアスト、アイルの戦果をとくと見るといいにゃ!!」


「すっげーこれフレミアンソードじゃん。こっちはゴートアーマー、これは何だ、初めてみる!!」

「あーっこれラリネスの髪飾りだ、いいなぁ」


 田舎街の一角でアイテムを広げて騒いでいると、否が応でも目立つ。


「なになにどうしたの?」

「アイル、オグさん久しぶり~」


 当然何をやってるんだと注目を集めて人が集まってくる。

 そして人が集まってくるからさらに人が集まってくるといった感じに、あっという間にちょっとした人だかりが完成してしまった。


 その人だかりを目にしながら俺は思う。


――顔見知りだらけの街だと思ってたけど、こうして数ヶ月離れて来てみると、覚えのない新顔がちらほらといるなぁ。


 世界中で大人気のゲームだけあって、新規プレイヤーの流入が絶えないイロモ。

 こんな田舎街にもプレイヤーはどんどんやってくるのだなぁ……。


「それじゃそろそろ懐かしの我が家へ帰るとするかにゃ」

「また今度詳しい話聞かせてね~」


 一通りアイテムも見せびらかして満足すると、街の皆様方に別れを告げて俺達はラーベンの外れへと移動する。

 そこに建てられていたちょっぴりみすぼらしい一軒の建造物。

 それが前世で俺がこつこつ貯めた資金で購入した夢のマイハウスにして、『無明に宿る赤き黄金の月団』のギルドハウスだった。


――おおっ、お久しぶりマイハウス!!


 心の内で再会を喜ぶと同時に、お家の前に見慣れないお方が立ってらっしゃるのが目に入る。

 美しく凛々しさを感じさせる雰囲気のエルフの女性。

 彼女はいったいどなたかしら?


「にゃはは、プロージアただいまだにゃ」

「おかえりアイル、副団長」

「またそんなところに突っ立って見張り番をしてたのかにゃ?」

「ああ、それが私の仕事だからな」

「プロージアは相変わらず真面目だにゃあ。こんなボロっちい家を襲う奴なんていないのにゃ」


――ボロっちいとか言うなよ……。まぁ、ボロっちいんですけど……。


「わずかな油断が命取りになる」

「にゃはは、イロモは死んでも生き返れるのにゃ」

「そういう意味で言ったんじゃない。それに生き返られるとしても死なないにこした事はない」


――う~ん堅物そうなお人というか。クールビューティーって感じですな、プロージアさんは。


「紹介しておくにゃ、プロージアと同じギルドガーディアンのイージスだにゃ。イージス、我がギルドのガーディアン、頼れるプロージアちゃんだにゃ。彼女はこう見えて笑うと笑顔が可愛いのにゃ」


 なんという豆情報だ。


 アイルに笑顔が可愛いと言われたのが効いたらしく、プロージアさんは無愛想な表情を崩してちょっぴり気恥ずかしそうにしている。


――うっ、こ、これは……!! たしかに可愛いかも!!


 より良い人付き合いには最初が肝心。

 クールな美人エルフの可愛らしい一面を見れて喜んでる場合じゃないぞ。ビシっと挨拶をかましておこう。


「ギルド『ナナム』のギルドガーディアンやってるイージスです。イーゴスのコソカナって街からやって来ましたよろしくです」

「ああ、よろしく」


 う~んイッツシンプル。

 NPC仲間であるプロージアさんとの挨拶はそこそこに俺達は建物中へと移動する。

 すると中では、見覚えのある顔が待っていた。


「アイルにオグさんじゃん。おかえり~」

「なんかイーゴスまで長旅してきたわりにはご帰還が早い気がするけど」


「向こうで知り合った親切なお姉さんにゲートでコスジャまで送ってもらったのにゃ」


「親切なお姉さん!! なんていい響きなんでしょうか、ツカオ氏」

「いいですな~、ハセ氏」


 アホそうな会話をしている男二人。

 前世のセイガ時代からよく知る『無明に宿る赤き黄金の月団』のメンバー、ハセとツカオだ。


「アホ猫をわざわざゲートで送ってくれるなんて、心の綺麗な美人さんとみた!! そこんとこどぉなのよ、アイルさんよぉ」

「どぉなのよ、アホ猫さんよぉ」


「アホにアホ呼ばわりされたくないにゃ。でもたしかに綺麗なエルフのお姉さんだったのにゃ」


「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

「まじかああああああああああああ!!」


――う~ん。相変わらずアホだなこいつら。


 と、興奮するハセとツカオの姿を眺めながら俺が思っていたら猫娘が言う。


「鬱陶しいから妄想で会ってもない人に盛るのはやめるのにゃ、アホ2号、3号」

「2号、3号とか言うのなよ。そもそも1号は誰だよ」

「どうせなら1号になりたいよな俺達も」


「言うまでもなく団長が1号だにゃ。ウチの男共はアホしかいないから困ったものだにゃ」

「団長が1号か……、ならしょうがない」

「うむ団長のアホっぷりにはさすがの俺達も敵わないからな」


――えっ、俺アホ1号にカウントされてるの!! ちょっとショックなんですけど!!


「で、そのアホな団長様のために例の物はゲットできたの?」


 ハセの質問にアイルは宝来祭の競売でゲットしてきた『アリオンの腕輪』を取り出して言う。


「ふっふっふ、セリ上手のアイル様の手にかかれば、競り落とせないアイテムなど存在しないのにゃ!!」

「おお、まじか。まじで買ってきちゃったのか」

「俺達のマネーがつまったアリオンの腕輪!!」


 そうなんだよな。

 アホだなんだと好き勝手言ってくれてるが、こいつらが大金だしあってこの腕輪を買ってくれたんだよなぁ。


 ハセ、ツカオ。

 俺はお前達のことを誤解してたよ。

 ただのエロエロアホアホボーイだと思っていたけど、認識をあらためるよ。

 お前達は立派なナイスガイだよ!!


 そんなナイスガイ達がアイルに尋ねる。


「ちなみにいくらぐらいで競り落とせたの?」

「相場よりはちょっと高くなったのにゃ」

「いや、だからいくらぐらいよ」

「会場には思わぬ強敵が潜んでいたのにゃ。けれどもアイルは奴との駆け引きを制し、勝利したのにゃ」

「おい」


 気まずい沈黙。

 ハセとツカオの二人はそれはもう嫌な予感がビンビンしていることだろう。

 そしてその予感は当たっちゃうんだな、これが。


「……200万だにゃ」

「はっ?」

「だから200万で腕輪を競り落としたのにゃ」

「はっはっは、もうまたまたぁ。アイルさんは冗談が下手だなぁ」

「で、本当はいくらかかったの?」

「200万だにゃ」

「……really?」

「reallyだにゃ」


「はああああああああああああああああ!?」


――まぁそういう反応になりますよね、うん。


「いやいやいやいや、おかしいでしょ。200万って。ちょっと高いどころか、桁が違うだろ」

「200万ってことは、俺達が預けてた買い物資金まで全額つっこんだってこと?」


 焦りまくりの二人に猫娘はシンプルに回答する。


「そうなるにゃ」

「ないわあああああああ、それはないってアイルさんほんと、ほんと頼みますよ、ほんと」


――彼はいったい何を頼みたいのだろう……。


「お母さーん、僕を助けてー、この広い世界から僕を助けだしてー」


――預けた大金を浪費されたショックで、二人ともだいぶ錯乱してますね。


「もううううううううだからああああああ、アイルに任せるのはやばくないかってあの時いったじゃああああああん」


 いい年した男二人が発狂して駄々っ子のようになってる。

 なんて見苦しい光景なんだ……。


 まぁその気持ちはわかりますけどね。


「オグさんは何やってたのよ。副団長としてアイルが暴走したら止めるように頼んでたでしょ!!」


 二人の抗議にオグさんは無言のまま申し訳なさそうにしている。

 アイルの無茶が原因とはいえ、これは俺の為に腕輪を競り落とそうとしての結果の事。


 俺もなんか申し訳ねぇわ。


――ごめんね、二人とも。何ならその腕輪使って、俺に代わってニンジャごっこしてくれてもいいから……。


 対して騒動の張本人たるアイルの方はというと悪びれる様子もない。

 彼女には二人を黙らせる切り札があったからだ。


「もううるさいにゃあ。イージスくん例の物をこやつらに見せてやりにゃさい」

「イエス、サー」


 ハセとツカオにこれ以上醜態を続けさせるわけにもいかない。

 俺は福引でゲットしたアイテム達を取り出し並べる。


 それを見た二人の表情は明るいものになった。


「うおおおお、すっげぇゴートアーマーに青竜の盾!!」

「フレミアンソードもある!! こっちは水霊の靴か!!」


 並べられたレアアイテム達に驚く二人。


「なにこれどういう事!? なんでレアアイテムがこんなにいっぱいあるの!?」

「さっき買い物資金は全部腕輪に使ったって!!」


「にゃはは、アイル達の手にかかれば、お金なんて使わなくたってこれぐらい手に入っちゃうのにゃ!! これはアイルとオグちゃんが協力して、向こうの街の福引イベントでゲットしてきた物だにゃ!! 寛大なアイル達としては下々の君達にもこれらを分け与えてやろうと考えているのにゃ」


「神様仏様アイル様!!」

「神様仏様オグさん様!!」


「でもアイルの事をアホ猫なんて呼ぶ人がいたからにゃあ? やっぱりやめようかにゃあ?」


「アイル様~先ほどはご無礼の数々大変申し訳ありませんでした~!!」

「申し訳ありませんでした~!!」


 それまでの態度を一転させアイルとオグさんに土下座するハセとツカオ。


――オグさんはともかくアイルは福引じゃ地図当てただけだからこの二人が下手にでる必要はない気がするが、まぁ話がややこしくなりそうだから黙っておこう。


 預けた金よりも価値のあるレアアイテムがもらえるとなれば、ハセとツカオの二人に不満はない。

 二人はすっかり機嫌をなおして、場には明るいムードが漂う

 そんな中ハセが俺の方を向いて言う。


「で、さっきから気になってたんだけどこの方どちらさま? まさかの新入り?」

「違うにゃ。ステータスをよく見ろにゃ、NPCだにゃ」

「あっ、ほんとだ」


「イーゴスのコソカナで『ナナム』ってギルドでギルドガーディアンやってるイージスです。よろしく」


 今さらながら彼らに自己紹介する俺。

 アイルとオグさんの時もそうだったけど、既に知ってる人間にあらためてってのはどうしてもなれないな……。


「よろしく~。けどイーゴスのNPCが何でこんなとこまで来てるの?」

「いろいろあって荷物運びを手伝うことに……」

「そうなんだ。大変だなぁ」


 ってな感じでてきとうに会話をしていたのだが、さっきから俺には気になっていた事があるのだ。

 『無明に宿る赤き黄金の月団』には俺のPCセイガを除いて合計五人のメンバーがいたはずだ。

 この場にいるPCは四人。

 つまり最後の一人のメンバーの姿が見当たらない。


 単純にログアウトしてるのか、一人で冒険に出てるのか、ひょっとしたら他のギルドに移るとかしちゃったんだろうか。

 知ったところでどうこうできるものではないが、やはりよく遊んだ仲間達の動向は気になるもの。


 ちょっと探りを入れてみるか。


「ギルドメンバーはこれで全員なの?」


 俺の質問にハセから帰ってきた返答は……。


「ああ、あと一人ギントってのがいるんだけど、最近はあまりログインしてこないかなぁ」


 との事。

 前世の俺含めてこのギルドのメンバーは全員がどっぷりイロモに浸かってた奴らばかりだったのだが……。


――ギントの奴イロモに飽きちゃったのかなぁ。


 なんて思ってるとツカオから衝撃的な発言が飛び出す。


「あいつすっかりリア充になっちゃったもんね」


――なんだって!! あのギントがリア充だってぇ!! イロモ廃プレイを続ける俺達はそんな言葉とは縁遠い存在だったはずじゃないか!! どういう事なんだ!!


 いったいギントに何があったのか、めちゃ気になる。

 ギルド『無明に宿る赤き黄金の月団』ではお互いあんまりリアルの話はしない事になってたんだが、ツカオの口振りからすると何かしら事情を知ってそうだ。

 とりあえず『リア充』の意味がわかっていないよう装って、探ってみるか。


「リア充?」

「ああ、リア充ってのはリアルが充実してるってことで、つまりもう一つの世界で人生エンジョイしちゃってること」

「そうなんだ。どんな風にエンジョイしてるか知らないけど、それはまぁそれでいいんじゃないかな」


 ってな感じでツカオにジャブを放ってると、ハセが声を荒げる。


「いいわけあるかよ!!」

「えっなんで? 人生楽しめてるならそれはそれでいいんじゃない? 一緒に冒険できる時間が減ったのは残念だろうけどさ」


 リアル世界で友人と囲まれて遊ぶなり、部活や勉強、バイトに趣味にと、リアルではリアルでしか楽しめない事がある。

 共にイロモ世界を冒険した仲間として、彼の新しい生活を祝ってやろうじゃないか。


 とはハセには思えないようで……。


「人生楽しめてるとか、冒険できる時間が減ったとかそんなのは関係ねぇんだよ!! ……あいつは、あの野郎は、俺達との大切な約束を破りやがったんだ!!」


――約束? 約束ってなんだ……、ま、まさか!?


 話の流れ的に約束と言われて俺が思いつくものはただ一つだった。


――ギントがあの誓いを破ってしまったというのか……。信じたくない。だが、たしかめずにはいられない!!


「その大切な約束って?」


 恐る恐る尋ねる俺にハセは言う。


「男と男の誓い。俺達三人と団長とで友情の証に交わした固き誓さ。『我ら生まれは違えど童貞卒業する時は同じ』ってな!! そいつを奴は破りやがった!!」


 何てことだ。

 やはりそうだったのか。

 あいつは……、ギントのやつは禁忌を犯しちまったんだな。

 我らモテないブラザーズ友情の証『童貞四兄弟桃園の誓い』を破ってしまったんだな……。


――ギントよ……。モテないブラザーズ末弟よ……。


 たとえお前が俺達よりもリアルの友人を優先する事にしたとしても、俺達は君を許そう。

 たとえお前が俺達よりも勉学や部活を優先する事にしたとしても、俺達は君を許そう。

 そしてたとえ突如としてお前がある日大金持ちになったとしても、俺達は君を許すよ。


 だけど彼女だけは……。

 義兄弟に先駆けて一人だけちゃっかり彼女作っちゃう事だけは、許してはならんのですよ!!


「そいつは許せねぇ!! 男と男の誓いをなんだと思ってるんだ!!」


 溢れ出る黒い感情のままに俺は声を荒げる。

 ハセとツカオもそれに同調する。


「だろ!! 問い詰めたらあいつ言いやがったんだよ。『卒業する時は同じって、それ5Pしろってことになるじゃん。無理でしょそれ(笑)』って」

「(笑)って何だよ!! (笑)って!! 抜け駆け野郎が見下しやがってええええ!!」


「なんてひでぇ野郎だ、男の風上に置けないとんだクソ野郎だぜ、そいつはよぉ!!」


 ってな感じでモテない男達でワーワー言ってると。


「醜い男共だにゃ」


 とアイルとオグさんは呆れてらっしゃった。

 そしていつのまにやら外で見張り番をしていたはずのプロージアさんがギルドハウスの中にやってきていて俺達に言う。


「友が良縁に恵まれたのなら、それを祝ってやるのが仲間というものではないのか。お前達のそれはただの醜い嫉妬だ」

「ぐぬぬ……」


 言い返す言葉もございません。

 だって、本当にただの嫉妬だから……。

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