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金の男祭り像

 広場に設置された立て看板にデカデカと書かれた『男祭り像』の文字、そのインパクトに俺は呆気に取られていた。

 アイテムが当たるイベントが開かれる事はそう珍しい事でもないんだが……。


 前世を含めイロモ世界には長く滞在してきた俺ではあるが、『金の男祭り像』なるアイテムなんて一度とて、見た事も聞いた事もありはしないぞ。


「金の男祭り像って……、知ってる?」


 わかるはずないよな、と思いながら謎の賞品について、俺はいちおう少女達に尋ねてみる。

 すると意外な事に、宝条と姫岸さんが知っていて当然といった顔で『男祭り像』について教えてくれる。


「なんだよお前、男祭り像知らないのかよ」

「いちおうコソカナの特産品ですよ」


――特産品!? こんな怪しげな名前の物が!?


「えっ、なにそれ……、有名なの……?」


 戸惑う俺の問いかけに。


「そこそこ……」


 ポム嬢が頷き答えてくれる。


「そこそこなんだ……、で、いったいどんなアイテムなの?」

「どんなって言われてもなぁ」


 三人娘がそれぞれ顔のを見合わせた後、宝条が言う。


「まぁ、『鉢巻まいたふんどし一丁の厳ついおっさんが和太鼓たたいてる』姿の像だよ」

「はっ?」

「いや、だから『鉢巻まいたふんどし一丁の厳ついおっさんが和太鼓たたいてる』姿の像なんだよ」

「……それで、そのアイテムの効果は?」

「効果なんてねぇよ、ただの置き物だよ、置き物」


 宝条の言葉に、俺はただただ困惑していた。


 イロモって、いわゆる中世風西洋ファンタジー的な世界観だったはずだ。

 そんな世界観の街のお土産物が、鉢巻まいたふんどし一丁の厳ついおっさんが和太鼓たたいてる姿の像って、どう考えてもおかしいだろ!!


 洋の世界に和が急に入り込んでるよ!!


 いや、和洋のごちゃ混ぜなんてのはゲームでよくある事だ。

 実際、刀だ忍者だ、イロモで人気の和要素は多々ある。


 でもさ。


 ヨーロッパチックな街にふんどし一丁のおっさんは違うでしょ!!

 そんな合わせ技いらないよ!!


 衝撃的な和洋折衷にショックを受けていると、このイベントの関係者であろうPCが俺達に声を掛けてくる。


「参加費無料なので、是非ご気軽に参加していってください~。ちなみに今回の男祭り像は、なんと掛け声つきです!! ふんどしを触ると喋ります!!」


――いらねぇよ!! そんな機能誰が喜ぶんだよ!!


 と、俺は思っていたのだが……。


「おお、そりゃすげぇな」

「へぇ、おもしろ~い」

「驚きの新機能……」


 三人娘は興味津々。


「よ~しいっちょ参加していくか!!」


 宝条にいたってはもう既に参加する気満々である。


「えっ、まじで参加するつもりなの?」

「別に参加して損するわけじゃないしな。それに副賞に付いてくる賞金も魅力的だし」

「それはそうだけど……」


 たしかに損はないはずなのだろうが、何か大切な物を失ってしまいそうな気がする。


「なんだよ、やりたくないのか?」

「あまり気が乗らないというか、なんというか……」

「だったらイージスはてきとうに見学でもしてろよ。あたしらだけで参加してくるから」

「うん……」


 参加する気のない俺を残してさっそく受付の方へと向かう三人娘。


――ていうか、姫岸さんも参加するのね……。


 憧れの人がふんどし像を求めてイベントに参加しようとしている姿は、俺をなんとも憂鬱な気分にさせてくれた。

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