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ドゥアンガーオとなく月

作者: 東椰子実


ワインカラーが似合う季節が


またやってきた


この時期になると無駄にアンニュイを


含んだ口調の者が増える


ひとりであれこれと


思案する時間も多くなる


没頭し過ぎて頭はいたい


どうでもいい事だらけな筈なのに



秋は人を酔わす


彼が奢ってくれる酒は決して高くはない


でも安過ぎもしない


ちょうどいい値段のお手頃価額


酔い潰れず、酔い冷まさず


少しほろ苦い‥


乾杯するには冷たすぎる



もうちょっとすると


遅いわくらば達の季節がやってくる


くるくるわくらば


夏場、別れるのが早い葉に


付けられた名称


ぐるぐるわくらば


みんなが色尽くと


もはやそれは落ち葉


道路に深い絨毯は敷かれる


感嘆のため息が尽きる頃


落ちた葉はいつの間にか


きちんと片付けられる


一緒に冬を見ることはない



木がすっぴんになる


見えなかった景色がみえてくる


服を何枚も着ても


缶コーヒーを傾けても


寒い身体はマッチの火では


温まらない


マッチの箱を擦った時


あたりを挙動不審に掻き回して


目が合った通りすがりが


一緒に暖まってくれるでしょう


ショールをかぶるよりきっと、温かい



ドゥアンガーオとなく


この月は暦屋である


月を捲るものがいなければ


新しく月はこない


夏をしっかり終わらせて秋を誘う


馬鹿なことばかりを考えさせて


時間を速める


雨を降らして憂鬱にする


泣きやんだ空が何処か淋しい


ドゥアンガーオ、9月はそんな月




さよなら



今年も秋を連れてきてくれて


どうもありがとう






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