元勇者地球に帰る!
日本国内ならどこにでも有る風景のどこにでもある日。どこにでも居るようないかにも日本人な少年が目を覚ました。
眩しい太陽の光に少年はベットから飛び降りる。
すると一瞬少しだけ驚いた顔をする。
そして勢いよくベットから跳ね起きる。
カーテンを開け、窓を開けるとこれまでかと言うほど大声で叫んだ。
「帰って来たぞー!!!!!!!!!」
【元勇者地球に帰る!】
「ウオー!!」
俺は風を切りながら全力で自転車を立ちこぎしていた。
アァ懐かしい……
この散々へぼだと罵ったおさがりのマウンテンバイクもこのへいぼんな田舎過ぎず都会過ぎずの平凡な風景にも全てに懐かしさを感じる。
懐かしい!
懐かしすぎる!
帰ってキタぁぁぁぁぁあああああ!!!!!
あっ。やべ。テンション上げすぎたわ。
わりーわりー。つい懐かしくてな。
ごめん何言ってるのかさっぱり分かんないよな。じゃあまず自己紹介から。
俺の名前は○○勇志。高校一年生。
あ?名字教えろ?俺にだってプライバシーが有るんだ。ってことで納得してくれ。
ベっべつに作者が決めてないとか、そういうわけじゃ無いからな。
ん?俺何でツンデレってんだ、俺?作者?
いねーだろ。
俺が中二病こじらせたみたいに見えるじゃねーか。
歳は‥‥なんていったらいいんだ?
15歳or20歳だと思う。
なんだそれ、とか言わないで欲しい。
実はな俺
《トリップして異世界で勇者やってきました》
てへっ。
ホントだぞ!だから中弐病とか言わないでくれ。
俺だって信じられなかったんだ!
トリップした日は頬つねりすぎて腫れたぐらいだ!
異世界にいた中で一番あれが痛かったな。
しかも魔王倒してこい!?
俺が選ばれし勇者!?
ないないあり得ん。
俺はフツーの高校生だ。
期待されても何も出てこねーよ。
っておもったもんだ。
でも倒さないと(地球に)帰れない、とか言われてさ~
五年間頑張ったら何故か倒せちゃったわけで
ってか魔王弱かった。
ぶっちゃけ最初に出てきたlevel1の
雑魚モンスターの方がまだ強かった!
ま。どっちにしろ約束は守ったわけで。
約束通り帰らせてくれた。
思ったよりスムーズに帰れて良かったわー。
俺イケメンじゃ無くて良かった。
まぁこんな事思うのは人生これっきりだろうなー。
ちょっぴり悲しいぜ。
で帰って来たら召還された時間に戻ったってわけ。
ワオ! さすがファンタジー。
色々つっこんではいけません。
総スルーでお願いします。
ってな訳でいまの俺は
“見た目は子供!頭脳は大人? 元勇者 ○○勇志”
なのである。
んー、某少年の有名なカッコツケなセリフも名字が伏せ字じゃあ締まんないや。ごめんな名探偵。
ところでさあの少年、現実問題高校生でまだ子供の範囲だよな?
頭良いから大人の範囲内なのだろうか?
そんな事を考えていると
「オッハヨー。勇志!」
いきなり背中をたたかれた。
いってー。誰だ俺にこんなことするのは。
仮にも俺は勇者だぞ。元、だけど。
手を握りしめて振り返ると其処には幼なじみの姿が。
ナンダおまえか。
懐かしくて一瞬分かんなかったぜ。
「おう!久しぶりだな!」
五年ぶりーかー。変わってねーなお前。
「何言ってんの!? 昨日合ったじゃん!?」
そうでした。
他の人にとってはそうなんだよな。
ちょっぴり仲間はずれみたいでさびしいぜ。
変わるはずないよなー。
しみじみ。
そんな言葉が思い浮かぶ。
変わってねーな。
五年いや、初めて会ったときからちっとも変わっていないまな板な……
《バシンンンンンッッッッツツツツツ》
「いっっってぇぇぇえええ!!!!」
背中をもっと強く叩かれた。
……ちょーいてぇ……
油断してたわ。俺とした者が。
こいつのことはよく知ってるはずなのに。
「いってーな。何すんだ。」
「変なこと考えてるのが悪いのよ」
そういって彼女は手を俺のよく見える位置で握った。
こっこえーよ。顔がマジじゃねーか。
てか、お前本当に女か。
こいつは昔から無敵なんだよなー。
もう少しおしとやかなふりしないと一生独身だぞ。
おばあちゃんになっても独りで寂しく死んでくことになるぞ。
そう、悪口(悪あがきとも言う)を叩こうと思って幼なじみを見る。
すると目の前に
【弱点;少三までおネしょしてた。】
という文字が現れた。
これは‥‥見慣れたテロップ。
異世界に行ってからというもの散々見てきた書体だ。
たまに文字が中途半端に間違っているのも特徴的だ。間違いない。
これは……
これは……
【弱点発見スきル】!
このスキルは相手の弱点が分かるスキルだ。
つまりお前小三までおねしょしてたのか!?
知らなかったぞ。幼なじみなのに。
「何人の事ジーと見てるの!?」
「いや、ナンデモナイデス。ハイ」
ハイナンデモナイデス。ハイ。
これはおくの手だ。もっと大変なときに突きつけることにしょう。
てか、使ったらマジで拳がとんできそーで、怖くて使えねー。
でも……
「ぷっ。」
「何人の顔見て笑ってんのよ!」
やべーマジ笑える……
#
やっ……やべー
俺ピンチ!いったいどうなる!?
もしかしたら人生一番の困難かも知れない。
え?何があったかって?
実はなーさっきから担任のまえで
【弱点;絶賛負倫中!】
の文字が。やめてくれ~
因みに《詳細》は
【年下新米教師山田(27歳)と夫には内緒でお付き合い中】
おいおい新米教師山田(27歳)は俺達の担任じゃねーか。
あれか。
人間見かけじゃわかんない。ってやつか。
見るからになんかホストとかにいそうな奴でなんであんな花のない奴なんかと……
あぁ、そうか“貢ぎ物”ってやつか。
そうだよな考えてみれば。
担任には【何故教卓に立つのか分からない人】
《詳細》【貢ぎ物だけで生きていけるのに。本人が彼女と思ってる人はゼロ】
って出てたしなー。
ところでいつも思ってたんだがなんで《詳細》だけはちゃんとした日本語になってるんだよ!
可笑しいだろ、気になっちまうじゃねーか。
授業に集中したいのに!
てかこのスキルで魔王倒したんだったな…
薄暗い魔王城で俺達は魔王と敵対していた。
まあ何故か魔王がエセヤンキーみたいな出で立ちだったのはおいといて。
いや、マジで金髪、特効服に竹刀&下駄(なぜ?)だったんだ。
早速【弱点発見スキル】で見破った弱点を出逢いがしらに俺は叫んだんだった。
「お前のかーちゃんでべそ!!!」
その後パニクった魔王が勝手に崖から落ちたんだった。
うんうん懐かしいねぇ。
あっさり終わりすぎて拍子抜けしたわ。
「○○勇志スピィキングテストだ!行ってこい」
あのテロップを出したままの先生に言われた。
スピィキングテストとは外国人教師との1対1の会話テストである。
めんどー。
あいつ日本語しゃべんねーし。
いや、喋れないんだけど。
てか、テストやってたんだ。
全く知らなかったぜ(おいッ)
「○○ー、早く行けー」
はいはいいきますよ。
だからやめてくれ、伏せ字。
かっこわりーから。
てか、読者が名前だって気づけねーよ。
とんとん。
「はろぅ」
うん。見事なひらがな。
カタカナにすら成れないなんて……。
いいもん別に外国とか行く気ないから!
先生「こんにちは、座って下さい」
あり?こいつ日本語しゃべんねーんじゃあ?
それにしても異世界で良く聞いた声だな……
独特の耳から入ってくるのとは違うっていうか……。
あっあれだあれ!
【Lets☆ミ 異世界にぃ~行っても安心!全じ動翻訳!】
俺の日本語が相手の母国語に
相手の母国語が日本語になる優れもの!
奥さん今からの時代一家に一台これですよ!
今ならなんと破格の値段で提供いたします!
使い方は……
「今日は良い天気天気ですね」
「ええ 暖かくて気持ちの良い日です」
おぉ便利だ!
奥さんとっても便利ですよ!
「君は英語上手ですね 発音上手いです」
「いやーそれ程でも~」
さぁ奥さん、この便利グッズがな、な、なんと、超お買い得!
買うなら今しかない!
非売品だけどね(笑)
♯
放課後
「ミケ~ただいま~!」
ミケは家の飼い猫。
どうだ!!かわいいだろう!
うちの子は世界1!
No.1だぁー
「ミケ~一人で良くお留守番してまちたね~。お利口さんでちゅよ~。」
俺はミケを抱きしめる。
あぁ癒やさる。
俺はお前さえいてくれたら、どこにでもいくよ。
なでなで。
なでなで。
なでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなで。
ぎゅ~。
「ねぇ、苦しいんだけど!離しなさいよ!」
ん?どこから声が?
まぁいいや。
「独りで、寂しかっかたでちゅかー?」
なでなで、ぎゅー
「やっ、止めなさいよ!」
まただ。
一体誰だ?
「私だってば! あんたって馬鹿? あぁごめん。こんな難しい漢分かんないわよね…
うましかって読んじゃうわよね、ごめんなさい。」
ちっ。
舌打ちした音が俺の腕辺りから聞こえる?
も、もしかして‥‥
そうーっと下を見る。
「‥‥ミケちゃん?」
「‥‥なによ?ちゃん付けきも!止めて頂戴!」
‥‥‥猫がしゃべった!?
しかもきもい言われました。
俺が世話してんのに。
「ただでさえ、猫語喋る人なんてきもちわるいってのに‥‥‥。」
はい?
もしかして‥‥あれか?
【lets☆ミ 異世界にぃ~行っても安心!ぜん白動翻訳!】
はぁ‥‥
帰って来て一日目。
やっと普通の人に戻れると思ったのに、
どうやらそれは魔王を倒すより難しそうだ。
終わり!
ーtankyou your readingー
御観覧有り難うございました。