壱話―⑦ under world
空気の流れが変わった。
跳躍、といっても鳥のように上に向かって飛んでいるかのようだと肌で感じる。
いつの間にか辺りは明るくなり、暗闇からは抜けたようだ。
もう、ここは、いつも自分がいる場所なのだと直感する。
ボクは大きな鎌を振り、それを重心として落下する。下にはコンクリートやらで作られた建物が林立している。
「どこに落ちるべきか?」
そう考えて下を見渡すと見慣れた姿があった。そして、ボクは決める。
「落下」
そう呟いてボクは鎌を再び振り、鎌を自分の体の下にして落下した。
結構なスピードで落下しているからか、何だか気持ちいい。何某かのアトラクションに乗っているようで楽しいなと思っている頃にはボクの足は地面を触っていた。
ゆっくりと足の裏をつける。
何も靴を履いてないからか、衝撃は少ない方がいいということは経験で分かっている。
昔は、足の裏を複雑骨折したぐらいだ。さすがに、二度と同じ失敗は繰り返したくない。まあ、すぐに治癒するだろうけど痛いものは痛い。
そこは、無人駅のようだった。周りは田んぼしかない駅。寂れた、と表すのが相応しい駅。
ボクの目の前にはボクと同じ格好をして瓜二つと表せるような少女がいた。それが、ボクの双子の姉、有巣。しかし、何故ボクと同じ格好をして自慢の黒髪を白くしているのかという疑問が湧く。そして、有巣の隣には一五、六歳の男がいた。少し赤くなっている目、多分吸血鬼だろうと予測される。それも、まだ成り立ての《ナニカ》と判定すらされていないタマゴ。
そんな吸血鬼のタマゴと有巣は仲良く話していた。
何だろう、この違和感。
その時、電車がこの寂れたホームに到着した。
有巣と吸血鬼のタマゴはその電車に乗り込んだ。ボクも思わず乗り込む。しかし、あまり有巣にはばれたくないという気持ちもあり、ボクは少し離れた所から乗車した。
電車の中には誰もいない。
好都合だと思う。
そして、ボクはその吸血鬼のタマゴを観察する。
聡い、そう思った。
吸血鬼のタマゴは聡かった。
彼はじっとボクを見ていた。有巣が彼の肩に頭を乗せ無防備にも寝ている時に彼はボクを見ていた。
「お前、誰?」
そう、彼はボクに問う。しかし、伊織が二人いるという状況を作らないためボクは何も答えずその吸血鬼のタマゴを睨んだ。
その時だ、ボクに成り済ました有巣が目を開けボクを見たのは。
「んあ、いおり・・・・・・」
赤い目がボクと彼を交互に捕えた。
そして、彼、吸血鬼のタマゴ、名前を白玉白と言うらしいが、彼、白兄ぃとボクとの出会いだった。
さて、二日ぶりの更新となってしまいました。
今回は、前回の続きということです。
さて、次回からは新たな章とします。
いつまでこの話引きずるわけにもいかないし・・・・・・。
ちょうど、場面も変わるし丁度いい区切りということで。
最後に、読んでくれたみなさん、ありがとうございます。