タイムマシン
江戸元禄時代、その頃も賑やかだったが、現在の東京ほどではなかった。気球とタイムマシーンを研究している人に出会う。
第一節
「ねぇ、達也が開発したタイムマシンどうなっている」
「中国の紀元前2000年の人を現在の日本に呼ぶと言う話」
「確か、ひろりんとプー子さんの」
「この間触った時は、江戸を舞台にした元禄時代まで来ていた」
「じゃあ、もうすぐ姿を表すのかしら」
「陽美、ひろりんとプー子に会ってみたい」
達也は、東京の明光大学の理学部を卒業して、あるソフトウェアのシステムエンジニアとして働いていた。大学時代からタイムマシンに興味を持ち、趣味で開発を進めていた。陽美は、二階堂学院で東洋史を専攻し、ある文芸会社に務め、文芸評論を担当していた。二人は大学時代に知り合い、お互いにお付き合いしている間柄でした。
「この店の料理、美味しいでしょ」
「なかなか、雰囲気のいい店だね サービスもいいし」
「ちょっと、値段がいいけれどね」
「そうだ、さっきのタイムマシンの話に戻るけれど この後、家に帰って、タイムマシンの状態を見ようと思う 陽美、家まで来る」
「もう、遅くなるから、明日、達也の家に行くよ」
「その時、一緒にタイムマシンを見ようか」
「私も、ちょっと気になるし、そのようにしよう」
翌日、陽美は達也の家に訪れた。
「達也、おはよう」
「昨日、帰ってからタイムマシンを見てたのだが」
「どうだった」
「ひろりんとプー子は、お岩さんにあの世に連れられたままなのだ」
「死んでしまったの」
「これから、タイムマシンを操作して、ここに呼び戻そうと思う」
「ひろりんとプー子に会えるのね」
達也はパソコンを操作しながら、タイムマシンのスイッチを入れ、摘みを回し出した。そして、現在の日時に合わせ、場所を指定した。
「ひろりん、ここ何処なの」
「今までと建物が違うし、あんな高いもある」
泰凛と楓杏は、達也の家の前に立って頂いた。
達也は二階から階段を降り、ドアを開けた。
「ひろりんさんとプー子さん、入ってください」
泰凛と楓杏はキョトンとして、初めて会う人だった。もちろん、達也は二人のことは知っていた。
第二節
泰凛と楓杏は、二階に上がった。そこには、にこやかな顔をした陽美がいた。
「あなたたちが、ひろりんとプー子さんなの」
「私たちを知っているの」と楓杏が言った。
「君たちは、僕のタイムマシンで知っているから」
「タイムマシン?」
「そうよ、あなたたちは紀元前2000年頃に中国で生活していた人ね」
「それ、何故わかる それが、青銅器の塊を火の中に入れた時に、煙が出て、気を失った すると何故か分からないけど、いろいろなところに現れて、今度はここですか」
「ほんと、奇妙なことが起こったわ」
「それはね 僕のタイムマシンのせいなのだ 君たちは、日本の昔を回って来たのです」
「今まで見たのは」
「タイムマシンで操作すると、いろいろな時代に行ける」
「私もプー子も青銅器の塊を燃やした時に帰りたい」
「お母さんに会いたい」
「君たちの気持ちはよくわかる」
「このタイムマシンで元のところに戻れる」
「約束するよ 戻れるよ」
「では、早く戻して」
泰凛と楓杏は、何となく理解したみたいになった。これからどうなるのかと不安な気持ちでいた。すると、達也はタイムマシンをカバンに入れて。
「車を用意してくる みんな玄関まで」
「車でどこに行くの」と陽美が言った。
「富士山の麓まで そこで、僕の友達が気球船を作ったりしているので」
「ひろりんとプー子さんをその気球船に乗せるの」
「そうだよ」
達也はみんなを車に乗せ、首都高に入り、静岡の富士見まで車を飛ばした。
「ひろりん、見てみて 私たちが船から見た綺麗な山」
「富士山と言うらしい」
「この乗り物、すごい速さで進むのね」
「丸木舟と大違いだ」
「こんな景色、初めて見たわ」
「あれ、ものすごい速さで継って走っている」
「ひろりんさん、あれは新幹線と言うのよ」
泰凛と楓杏は、見るもの見るものが珍しいものばかりでした。
達也の車が富士見の気球船置き場に着いた。
「みんな、ここで下りて」
気球船置き場には、達也の友達が待っていた。今回の事情は、LINEで伝えて置いた。気球船は、今まで使いきった古いものでしたが、性能はまだまだ使えるのを用意していた。気球には大型の扇風機が据えられていて、気球に空気が入れられた状態で、気球は膨らんでいた。
第三節
「ひろりんさんとプー子さん、この気球船に乗りなさい」
「これに乗るの」
「これに乗って、元に戻るのだから それとこのタイムマシンを持って 気球船が上がったら、このタイムマシンのこの摘みを上にあげるのですよ そうすれば、タイムマシンが起動します その他は絶対触らないように そうすれば元の世界に戻れます」
「わかった この摘みを上にあげるのですね」
泰凛と楓杏は、気球船に乗り込んだ。そして、達也の友達が気球船にあるバーナーに火を点した。すると、気球船は浮き上がった。
「ひろりんさん、プー子さんこれでお別れです」
「なんか、分からないけどではさようなら」
泰凛と楓杏は、気球船から達也と陽美に手を振った。気球船はどんどん上にあがり、富士山の頂上辺りまで。そして、風に流され、西に向かった。
「ひろりん、あれ見て 私たちが船で行ったり来たりした海(瀬戸内海)」
「そうだね いろいろあった」
「ひろりん、タイムマシンの摘みを上にあげなければ」
泰凛は、タイムマシンの摘みを上にあげた。すると、気球船のバーナーの火が消えて、気球船は下へと降りていった。
気球船は、地面に着いた。そして、泰凛と楓杏は、気球船から降りた。
「ひろりん、この風景 懐かし」
「元に戻ったのかしら」
泰凛と楓杏は塩を作っていた浜辺に着いた。そこには、泰凛の仲間が海から海藻を取って来て、日干しにしている姿が見えた。
「あれ、ひろりんではないか 今まで何処に行っていたのだ」
「それが」
「ひろりん、元に戻ったのね」
「そうみたい」
「私、お母さんに会ってくる」
タイムマシーンでひろりんとプー子は、元の中国の塩作りをしている浜辺に戻ることができた。