正しいツッコミをすれば王様の嫁
王様が気にいる正しいツッコミをすれば嫁になることができる世界。
現役お笑い芸人が描くアホアホ小説です。
むかしむかし、あるところに王様がおりました。
王様は、先代の王様、つまりは自分のお父さんから、食べ物を残すのはダメだと子供の頃から厳しく躾けられてきたので、食べ物を残したり、捨てたりするのが大嫌いでした。
しかし、王様には、どうしても食べられない苦手な食べ物がありました。
それは、カキフライです。
ある日、王様は、国中の美女の中から、自分のお嫁さんを選ぶことにしました。
お嫁さんの決め方は、次の通りです。
王様が苦手なカキフライを女性に作ってもらいます。
そのあと、医者に全身麻酔をしてもらい、お腹を開けて、胃に直接カキフライをぶちこみ、胃を縫合して、体も縫い合わせ、手術を終えます。
そのあと意識が戻ってから、横にいるカキフライを作った女性に、「あー、美味しかった〜」と言うのです。
この時、王様が気に入った、正しいツッコミをした女性が王様の奥さまとなることができるのです。
王様と結婚すれば、ずっと贅沢な暮らしが保証されます。
国中の美女が集まりました。
一人目の挑戦者です。
とても美しいドレスを着て、カキフライを作ります。
王様は、全身麻酔をして、もうすでにお腹を開けられています。
揚げたてホヤホヤのできるだけ美味しいカキフライを胃に直接ぶちこむためです。
さて、無事、手術が終わり、王様は目を覚ましました。
「あー、美味しかったぁ」
と言う王様に美女は、こう言いました。
「いや、それ、食べてるって言う〜???」
王様はとても機嫌が悪くなりました。漫才師がこういう口調でツッコミしてるのを見たことがあるから、それを真似ているだけの、魂のこもっていない口調に嫌気がさしたのです。
「お前みたいな女が王女になると、夜の営みの時に、『こんな大きいの、入るぅ〜?』とか言ってきそうじゃ!!!一気にさめてしまう!!帰れ!!」
そう言われた美女は「そんな怒ること〜?いや、怒りすぎぃ〜!」と言いながら、帰っていきました。
さて、一週間後、二人目の挑戦者です。
とても綺麗なドレスを着て、カキフライを作ります。
全身麻酔で眠っている王様の胃袋に直接カキフライとタルタルソースがぶちこまれます。
王様が、いよいよ目を覚ましました。
「あー、美味しかったぁ」
ドレスを着た美女はこう言いました。
「いや、言い方!いや、顔!!」
王様は機嫌が悪くなりました。
「言い方とかは普通だったし、顔も普通にしてたつもりなのに、『いや、顔!』とか言われると、普通に気分が悪い。帰ってくれ」
王様にそう言われて、美女は「いや、器!!」と言いながら帰っていきました。
王様は、ガワばっかり突っ込まれるのが嫌いなのです。
さて、3人目の挑戦者です。
ひととおり、同じことが行われました。
意識が戻った王様がまた言いました。
「あ〜、美味しかったぁ〜」
三人目の美女はこう言いました。
「いや、ちょ、え??いや、え?」
王様は、「最高じゃ!」と言って、とても喜びました。
「リアルな感じがいい。逆にこの感じが一番ウケるということを、芸歴一年目、二年目の若い漫才師は、勉強するべきじゃ」と、絶賛しました。
美女は、「いや、ちょ、え?わたし、絶対ダメだと思ってました。え?」
と言いました。ますますニコニコしている王様に執事が「では、王様。この女性で決定で良いですか?」と聞きました。
「うむ。ほぼ決定だけど、一回、一番目の女、もう一回やってみよう」
それから一週間後です。
一人目の女がまたドレスでやってきました。
王様の胃袋にカキフライがぶち込まれ、また王様のお腹に、手術の跡が残りました。
「あー、美味しかったぁ」
「いや、これなにぃ〜?これ水ダウ〜?松ちゃんおらんくなってから、企画、変な方向いってるぅ〜!」
王様は女に銃口を向けました。
「いや、呼んどいて、殺すとか、ヤバすぎぃ〜」
女はそう言いながら逃げていきました。
さて、半年後、王様の結婚式です。
新しい女王様のスピーチが始まりました。
「いや、これなにぃ〜?私でいいの〜?えー、みんなめっちゃ見てくる〜!!!!王様、あとから私にハマってきたみたーい!!!中川家以来の一人目の優勝かも〜」
国民たちは、全員心の中で、「いや、なんで、こいつ〜?」と思いましたとさ。
芸人、ネタ作家、短編小説家。“理系の変な奴”は自分で髪の毛を切ります。それが私。ついでの用事が二個ないとお墓参りに行かないです。
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