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三華繚乱  作者: 南優華
第二十四章
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第二十四章玖 地冥の拳

 玄鉄はそこにいた、碧蘭の間合い。

 一瞬だった。

 距離という概念が消えたかのように、巨体が目の前に現れている。

 碧蘭の反応がわずかに遅れる。

 玄鉄の拳が振り上げられた。

 岩のような腕。

 次の瞬間――

「碧蘭! 下がれ! 避けろ!」

 麗月の叫び。

 碧蘭の身体が反射的に動く。

 後方へ跳躍。

 その瞬間。

 玄鉄の拳が、地面を穿った。

 轟音。

 地が裂ける。

 地面が抉れ、土と石が爆ぜ、衝撃が波となって三人を襲う。

 視界が一瞬で土煙に覆われた。

 麗月は槍を構えたまま踏み止まる。

 白玲も剣を握り、歯を食いしばる。

 碧蘭は後方へ跳んだ勢いで距離を取っていた。

 土煙の中。

 玄鉄の姿を捉える。

 だが――

 こちらを見ていない。

 玄鉄は腰を落としていた。

 正拳突きの構え。


 その瞬間。

 白玲は気づいた。

 空気が、変わる。

(……風?)

 違う。

 正面から、衝撃が来た。

 剣を構えた腕が弾かれる。

 土煙が裂ける。

 玄鉄が現れた。

 距離が、ない。

 白玲の目前。

 白玲は構え直した剣を振り下ろす。

 だが――

 ガンッ。

 鈍い音。

 玄鉄の左腕が掲げられていた。

 岩の盾。

 拳ほどの岩が幾重にも固まり、腕を覆っている。

 一瞬、白玲がたじろぐ。

 その一瞬。

 玄鉄の右拳が動いた。

 白玲の脇腹へ。

 鎧が砕ける。

 衝撃が、直接内臓に届く。

「……!」

 息が抜ける。

「……ぐっ……がっ……」

 声にならない。

 白玲の身体が宙を舞った。

 吹き飛ぶ。


「「白玲!!」」

 麗月と碧蘭の叫びが重なった。

 麗月の気が爆ぜる。

 全身から気功が解放される。

 槍を構え、地を蹴る。

「――月駆!」

 突進。

 本来なら月穿で放つ技。

 だが槍が違っても、技は生きている。

 麗月の槍が一直線に玄鉄へ走る。

 だが。

 玄鉄は左腕を上げた。

 岩の盾。

 衝突。

 突進が止まる。

 重い。

 まるで山に突き刺さったような感覚。

「……くっ」

 麗月の歯が軋む。

 玄鉄は冷静に言った。

「……やはり消耗しているな」

 一歩も動かない。

「…麗月将軍」

 次の瞬間。

 盾が槍を弾く。

 そして――

 玄鉄の拳が動く。

 目にも止まらぬ速さ。

 正拳突き。

 麗月の腹へ。

 衝撃。

 空気が破裂する。

 麗月の身体が吹き飛んだ。


「麗月将軍!」

 碧蘭が叫ぶ。

 距離を詰める。

 槍を撃ち込む。

 玄鉄が受ける。

 碧蘭は止まらない。

 連撃。

 突き、薙ぎ、返し。

 嵐のように槍を繰り出す。

 だが。

 玄鉄は、動かない。

 受ける。

 弾く。

 止める。

 まるで岩壁だ。


 その様子を曹華は見ていた。

 白玲が吹き飛ばされる。

 麗月将軍が倒される。

 胸が冷える。

 だが、余所見して朱烈に勝てるはずがない。

 目の前で焔冥将が笑っている。

「くく……」

 炎槍が揺れる。

「余所見とは、余裕だな」

 曹華は槍を握り直した。

 月穿。

 視線を朱烈に戻す。

(……いまは)

 焦りを押し殺す。

(……朱烈を止める)

 戦場は、二つに割れていた。

 炎の戦い。

 そして――

 岩の戦い。

読んでいただきありがとうございます。

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