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空白の狩猟団  作者: 些阨社
赤き焰、青き刃
26/38

箱入りと生肉

 「てことで、帝都へ行ってきます!」

 ミーナは父の前に自身のクチクラを差し出す。

 「……、ふむ。二十セージュ以上のクチクラの発現者は軍へ出頭する義務がある。然るべき査定の後、魔法使いとして軍務に就くことになる」

 「そうです。私はこれから軍へ入隊し、国の為に粉骨砕身働く所存であります!」

 わざとらしく敬礼をしてみせるミーナ。

 「しかし、それは表向きの話しだ」

 「え?」

 「クチクラの発現など自己申告だ。魔法爵などの爵位に釣られて魔法使いになる者は多いが、世の中には黙ってそのままの暮らしを続ける者もまた多い」

 「そ、そんな。お父さんは私のこの才能を埋もれさせる気なの?! 近年稀に見る大きさだと思うわこれは」

 「その自信は何処から来るのかわからんが、その大きさだからだ。お前は最前線へ投入されることになる。直ぐにではなくとも、いずれそうなる。セレーズ王国連合とにらみ合っている今なら尚更だ。魔法爵などになるよりもここにいる方が良い暮らしを出来る。お前の為だ」

 「くっ……。ふう、わかったよお父さん」

 ミーナは急に大人しくなりクチクラを手に取る。

 「もうこの話はおしまい。部屋に戻るね」

 「……うむ」

 部屋を出るミーナの背中を見送るゲイツ。 

 「はあ、まったく……。ナンナのところでも行くか」

 ゲイツは使用人も付けず、一人で蒼鋼亭へと赴く。

 ドアが開く音を聞きナンナが出てくる。

 「お客さーん、準備中の札見えなかったのかい? ってあら、ゲイツの旦那じゃないか。どうしたんだい、こんな早くに」

 「肉を一つ、買いたい。とびきり上等のだ」 

 「一応聞くけど、ウチは肉屋じゃ無いんだけどね」

 ナンナは微笑んでいる。

 「生肉ならあるだろ?」

 その言葉にナンナは大笑いする。

 「はっはっはっは! 珍しいねえ。あんたにゃもう必要無いと思ってたんだけど。切るのかい? 包むのかい?」

 「包んでくれ」

 「あいよ。知ってると思うけどウチはツケはきかないからね。現金一括だよ。まあ、豪商のあんたなら安い買い物かね」

 「ああ、ここにある」

 ゲイツは金貨をいっぱいに詰め込んだ革袋をテーブルに置き、メモ書きした紙を添える。ナンナはメモを確認すると革袋の中身を覗く。

 「ふふ、上級金貨がわんさかとまぁ。余程大切なんだねえ」

 「頼んだぞ」

 「はいよ、じゃ届けておくよ」

 ゲイツは蒼鋼亭を出ると呟く。

 「大切、か」

 

 「よし、大体準備は整った、はず」

 ゲイツとの話し合いの後、ミーナは一日中動き回り屋敷にある魔具を手当たり次第に引っ掻き集めて来た。

 「とりあえず、というか絶対に箒。後は服、風除けのコートもあるし、その他箒乗り用具は揃ってる。お金も準備した。化粧箱も大丈夫。後は夜になるのを待つだけね」

 箱入り娘のミーナでも箒は乗れる。と言うか昔からエーテルが強く魔法適性が高かったため玩具の様に屋敷の敷地内で

箒に乗って遊んでいた。その為箒の扱いには慣れており中々の速さで飛ぶことが出来た。父もそのことを褒めてくれたし、魔法使いになる事を許してくれると思っていたのだが、思いもよらず反対されてしまったのだった。 

 「帝都くらい私の力なら半日飛べば着くでしょ」

 そして夜になり、空気さえも眠る真夜中となった。部屋の窓を開け、夜風に靡くカーテンを受けながら窓枠に足を掛け箒を跨ぐ。

 「よし、行くわよ。アウムラウト」

 そして小脇には白夜の団から攫ってきた人形を抱えている。

 「大丈夫だ、姫よ」

 「よし! 出発ー!」

 ミーナは帝都へ向かい飛び立って行った。

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