主と共に
「な、なんでこんなことに……」
血塗られた肉処理場だ対峙する少女と他称神様。
「ふふふ、みんなで仲良くなりましょ」
と一気に間合いを詰め斬りかかるアリストラム。それを受け止めるネムレス。
「くっ! 先ずはお友達から、じゃないか、な!」
言葉尻に合わせて少女諸とも弾き飛ばす。
「わー」
背中におぶられたアーの可愛らしい叫びが響く。
アリストラムは着地と同時に箒の先端から火の矢を撃ち出してくる。
「あっぶない! 物騒な物を持ってるね」
白く光るのは高温の証、多少の距離があっても髪の毛が焼け縮れる。
「ふふ、古より存在するこの箒の名はレーヴァテイン。狡猾なる神により鍛えられた神器なのです。それそれえ!」
アリストラムは矢を連発してくる。
「クソ! ツェーデーエーエフ! アリーちゃんの動きを止めてくれ!」
「あー、あー」
ネムレスの前で慌てふためく人形達。
「はあ……」
「ほらほら! 早く仲良くならないと焼け死んぢゃいますよー!」
キャッキャとはしゃぐアリストラムと、死と隣り合わせのダンスを踊るネムレス達。
「口で言うだけじゃ駄目ですよ。心を通わすんですよ」
攻撃の合間にアリストラムは諭すように語りかける。
「通わすったって、なあ」
避けながらデーを抱き上げ見つめるネムレス。
「彼らは貴方の分身の様なもの。彼らのエーテルコアは貴方の中にあるのです。感じてみなさい」
「なんで君がそんなことを……、あっエフ!」
「きゃー」
あたふたしていたエフが炎の矢に撃ち抜かれる。
「エフー!」
その瞬間、ネムレスの心の何処かに痛みが走る。感情的な物では無く、確かに痛みだ。何かが喪失した様なその感覚の位置を確かめようとした時、そこに自分とは別の意思を感じた。
「こんな所にいたのか……」
それは六個の意思の塊。白夜の団のエーテルコアの感触だった。
「ようやく見つけたか、主よ」
「アー。お前、アリーちゃんの背中じゃ」
「あれは我の実体であって、本体では無い。我は、我らは常に主の下にある」
「しかし実体とて我らの一部、失われれば多少反動はうけるのだ」
とエフ。
「我ら常に主と在れどもこちらからの語りかけは叶わず、主の語りかけを待っていたのだ」
とツェー。
「我ら主の盾となり剣となる。ご命令を」
とデー。
「ほらー! 死ぬよー!」
アリストラムの声で我に帰るネムレス。すぐそこまで矢が迫っている。
「は、弾けレギオン!」
「イエス、マイロード!」
掛け声と共に人形達は矢の前に立ちはだかる。その中にはアーもいた。そして人形達が共鳴する様に展開した障壁に矢は憚れ爆散した。
「ふふふ、仲良くなれたみたいですね。良かったです」
アリストラムは愛らしい笑みを浮かべる。
「そうだよ。だから止めよう、こんな…」
「でも久し振りの遊び相手ですから、もう少し遊びましょ。うふふふ」
と肉切り包丁で斬りかかる。
「た、助けてくれー!」
その日以降、白夜の団は狩りで生アクリスを破壊することは無くなったと言う。




