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入学して数日経った時、事件が起きた。
「私の教科書がないわ!レイラ様が盗んだのね!」
エテルニタさんが教室でわざとらしく大声で叫ぶ。
確かに本の中では、私が闇の精霊と契約して、
最初にするのが教科書を盗む事、
子供か!と思うが、本のストーリーなのだから仕方ない。
もちろん、私は闇の精霊と契約してないし、
教科書も盗んでいない、
多分この辺は小説の強制力といった所だろう。
それにしても、いきなりの決めつけに頭がくらくらする、
一応、私を様付けできるだけ、成長はしていると思うけど。
「レイラ様が盗んだのよ!」
更に言い募るエテルニタにリュミエール様が話しかける。
「盗む?レイラが?どうやってだい」
「決まっているわ!闇の精霊にさせたのよ!」
リュミエール様は、何とも言えない顔をする。
「レイラは闇の精霊とは契約していなし、
教科書なんか盗まなくても、
いくらでも手に入れられるだろう」
「レイラ様が闇の精霊と契約していない?」
エテルニタさんが戸惑う、
私は冷静にエマさんを見る、
入学式の様子といい、今の会話といい、
エテルニタさんも転生者で間違いないだろう、
ただ、私も転生者である事、
小説とは大きく変わっている事をまだ認識できてないようだ。
「闇の精霊と契約すれば、魔力の質が一気に変わるもの、
誰でも分かるはずだわ」
「そんな・・・」
「教科書についてはこちらでも調査するわ」
そう言って呆然としているエテルニタさんに語りかけた。
その後の調査で、平民でありながらリュミエール様に
近づこうとする事に苛立ちを覚えた貴族令嬢の仕業だと判明した、
悪事を働いたとは言え、
教科書を隠すと言う些細な事件だった為、
保障をして反省してもらう事で事件は解決する事となった。
リュミエール様が近づいてきた。
「平民で何も知らないとは言え、
エテルニタの言動は度を越えいている、
一度、注意をしようか?」
「いいえ、それには及びませんわ、
知識を得る機会がなかった者に、
知識がある者が、正しく教え、導く、
これが本来の学校のあるべき姿です、
まずは、きちんと教える事から、
するべきですわ」
そう言うと、リュミエール様がほっと微笑む、
「確かに、それが民を導く我々の使命だろう、
今まで事は不問にしよう、
人の上に立つ者としての毅然とした態度、
おおらかな包容力にますます惹かれたよ、
ただ、君が困っていて、放置はできない、
君は必ず守る、それだけは覚えておいて欲しい」
きっぱりと言い切るリュミエール様に、
やっぱりリュミエール様って素敵ねと、
胸をどきどきさせていた。