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クラスに戻って、久しぶりに会ったリュミエール様
にご挨拶をしようと近づく。
「リュミエール様、お帰りなさいませ、
新入生の挨拶は素敵でした」
そう言うと、少し困った顔をして。
「ありがとう」
そう、リュミエール様が返した時だった。
「リュミエール様、お会いしたかった!」
いきなり女性が、リュミエール様に抱き着いて
凍りつく、それは周りも同じみたいで、
非難の眼差しを少女に向けていた。
学園では、王宮程礼儀が問われないとは言え、
皇太子であるリュミエール様に、
許しもなく抱き着くなんて・・・・
「私、エテルニタっていいます、
これからよろしくお願いします」
エテルニタ!小説のヒロインだ!
予想していたとは言え、思いがけない
ヒロインの登場に心は揺れる。
肩までのふわふわしたピンクの髪、
容姿はヒロインだけあって、誰からみても可愛いだろう。
しかし、無礼過ぎる・・・
平民だったと言う設定を思い返す。
それなら仕方ないのかもしれないけど・・・・
小説の世界でも、最初は遠巻きに見ていただけのハズ、
ヒロインも小説の世界と変わっている?
戸惑う私を無視して2人が会話を続ける。
「君がエテルニタさんだね、3属性の魔法が使えると
皆注目しているよ」
リュミエール様が社交辞令な笑顔で、
ヒロインを自分から遠ざけている。
エテルニタさんはそれに気づいてない風で。
「はい!頑張ります、
将来皇太子妃になる為に」
そう言って、再びクラスの空気が凍る。
婚約者の私がいる前で、皇太子妃宣言。
もう、何て言っていいのやら・・・
そんな空気を気にもせず、リュミエール様が
私に近づいてくる。
「紹介するよ、彼女がレイラ・フォン・エヴァンズ、
私の婚約者だ、私は彼女と結婚する、なので、
エテルニタさんとは結婚できない、
よかったら、お似合いの相手を紹介するよ」
堂々と皇太子であるリュミエール様が、
皆に宣言した事で、凍っていた周りの空気が
柔らかいものになる。
はっきりと、ヒロインに言ってくれた事が嬉しくて、
リュミエール様の体に、そっと寄り添う。
「でも、リュミエール様はレイラさんの事を、
愛していないのでしょう?
周りの大人が決めただけで!」
更に言い募るヒロインに、周りは、
もうどうしょうもない人物を見る目を向ける。
そんな中、リュミエール様は私の手を取った。
「確かに、彼女との結婚は国の為だ、
しかし、それ以上に私はレイラを愛している、
この世界で誰よりも大切な存在だ。
平民の君は知らないかもしれないが、
レイラは貴族でも一番上の公爵に当たる。
学園の中とは言え、様をつけて呼ぶ方が礼儀にかなっている。
もし、彼女を傷付ける者は私の敵とみなす。
それを覚えておいて欲しい」
そう言って、私の手にそっと口づける。
はっきり、私を愛しているとヒロインに言ってくれた事で、
どこか心の隅にあった不安が溶けていくのを感じた。
「そんな」
と呆然としてるヒロインをちらりと見ながら、
リュミエール様の迷いのない眼差しに、
幸せに包まれていた。
【名前の由来】
エテルニタ
(エテルニタはイタリア語で永遠)
平民のため、みよじはありません