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1-3

その後、王宮にある部屋に戻って、ぼーとする。


侍女達は、すでにリュミエール様と何があったが、

情報共有されているらしく、

何も言わず、控えてくれている。


本当は1人になりたいが、悲しいかな、

皇太子の婚約者と言う立場から、

1人になる事は許されていない。


夜寝ている時でさえ、暗殺者が入り込む

事を想定して、女性の護衛が待機している。



大きな天蓋付きのベッドに寝そべり、

思い出した事を整理して考えてみる。



私は元々日本人で、40代の女性だった。

結婚して、子供2人いて、パートで生活を支え、

夫はどこにでもいる、普通の会社員で、

ドライブが趣味で、いろいろ連れていってくれたっけ。


リアルに思い返して、胸がぎゅっとなる。


どうして転生したか分からないけど、

40代までの記憶しかないって事は、

多分その辺りで死んだのだろう。



転生。



そう、ここは前世日本で読んだ小説、

『乙女の神託』の世界で間違いない。


なぜなら、公爵令嬢で主人公を苦しめる悪役、

レイラ・フォン・エヴァンズが他ならぬ私だからだ。



内容はこう、

16歳から1年、王族・貴族と魔法が使える平民は、

学園に通う事が義務とされている。


魔法は、火・水・風・光・闇に分けられる。


普通は火・水・風であり、光と闇は50年に1人

使える人が現れるかどうかという希少な魔法だ。


主人公は平民ながら火・水・風3つ全ての魔法が使え

学園で注目を集め、

(普通は魔法は1つ、多くて2つの属性しか使えない)



悪役令嬢であるレイラの嫌がらせなど、

様々なトラブルを乗り越え、

恋を知らず、冷めた未来しか見ていない皇太子と、

その力と優しい心が認められ結ばれると言う物語だ。



そこまで思い返して、だらだらと冷や汗が流れる。



ここは小説の世界・・・・

でも私、かなりやらかしてしまって

いるのではないかしら?



レイラは悪役令嬢なだけあって、

傲慢ですぐ人を見下し、金切り声をあげるような、

分かりやすい、嫌われ令嬢。


貴族である事にプライドを持ち、

自分は何もしてないのに、公爵令嬢である事を、

鼻にかけている。


勉強が嫌いで、知識に乏しく、

なにより、リュミエール様から冷たく見放されている。


それでありながら、ヒロインを嫌い、

闇の精霊と契約し、悪だくみをし、

最後は幽閉されてしまうのだ。




記憶はなかったものの、

前世日本人だったせいか、貴族である事は責務で

あると思っているし、勉強もして当たり前。


真実の愛は・・・うん、

私を愛してしまったって事ですね・・・・


その事実に、顔が赤くなる。



転生して、本の中の世界だと思い出したら、

本の世界とは全然違う展開になっていたって・・・



これはこれでアリなのでしょうか?



誰ともなく心の中で聞いてみるが、

当然返事がある訳がない。



まあ今の所、私にとって、

とてもいい具合にストーリーは進んでいる。


このまま学園が始まっても、

闇の精霊と契約せず、ヒロイン

(ここまで変えてしまったら現れるか不安だけど)

もいじめたりしない!


そうすれば、幽閉される未来は回避できるはず。



リュミエール様は、金の髪に緑の瞳、

14歳でその優秀さゆえ、すでに次期皇帝として、

側近、貴族達に認められている。


リュミエール様を脅かす勢力もないし、

国も戦乱ではなく、安定している。


光の精霊がリュミエール様と共にあるので、

その加護で、この国は大きく発展しそう。



記憶が戻って、転生した事にパニックに

なっていたが、落ち着いて考えたら、

かなり自分に都合良い展開に安堵した。


リュミエール様は素敵な方だ、

本のヒーローと言う事で、

容姿よし、能力に優れ、何より私を愛してくれている。


転生したことを思い出す前は、結婚するのが義務で、

そこに感情はなかったし、迷う事もなかった。


告白されても、すぐに隣国に留学するとあって、

この感情が恋愛かはっきりしない。


それに前世40代だった私には、

いかに魅力的といっても、やはり14歳、

男性というより、男の子といった印象の方が強い。


小説のストーリーでは、リュミエール様を

愛しているがゆえに、闇の精霊と契約するので、

このままの関係の方がいいのかなと思う、


少なくとも、本の世界である学園生活が終わるまでは、

ヒロインとリュミエール様を見守ろう。


恋をするのはそれからでも遅くはない、




今は恋はしない。




そう心に誓った。

【名前の由来】

レイラ・フォン・エヴァンズ

(レイラは英語で夜に生まれた、暗い美しさ)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 非常に読みやすい。 登場人物の感情が理解しやすい。 興味がある人には楽しい作品だと思う。 [気になる点] 皇太子が政略結婚だからと真実の愛を諦めているのが気にはなりますね。 切欠にすぎんで…
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