9-1 襲撃
「1人にしてちょうだい」
部屋に入って、ベッドにうつ伏せに横たわる。
王宮では何でもない風を装っていたが、
私の心の中はぐちゃぐちゃだった。
なぜ?なぜ?
リュミエール様の愛は婚約破棄された今も疑っていない、
確かに私を愛してくれていると感じている。
なのにどうしてだろう?
答えが分からない。
そう言えば、闇の精霊がおかしくて、
天候不順で作物が不作になったり、
馬車が転落した時も闇の精霊の気配があった・・・
気になる事はいくらもあるが、
皇帝が決めた事だ、これ以上情報が入るとも思えない。
もんもんとした気持ちを抱え、
布団をぎゅっと抱きしめる。
胸がズキズキする・・・
リュミエール様・・・
こんなに好きになっていたなんて。
それでもどこか自棄にならないでいられるのは、
前世の記憶のおかげだと思う。
ここが本の中の世界だという現実、
そして前世40代の女性だった事実、
それらが、かろうじて頭に冷静さを保たせている。
いっそ無茶苦茶になれればいいのに・・・・
リュミエール様以外の方と結婚する事になるのだろうか。
そんな未来は想像できない。
いっそ修道女になろうかしら。
そう思っていた時だった、
部屋にいきなり黒い風が巻き起こる。
そして現れたのは。
「エテルニタ?」
「ふん、今はエテルニタ様と呼んで欲しいわね」
「どうしてここへ」
火・水・風の魔法でも、いきなり部屋への侵入は
できないはず、どうやって来たのか・・・
「あなた邪魔なの、皇太子妃の立場を得れば、
リュミエール様の全てが手に入ると思ったけど、
リュミエール様はあなたを愛していることは
変わらないと言っていたわ、
彼の心から消えて欲しいの、死んで頂戴」
そう言って、闇が部屋を支配し、
私は圧迫感で呼吸がしにくくなる。
気絶せずにいるのは、魔力が普通の人の倍あるからだろう、
努力はしておくものだ。
「ちっ、こざかしい」
その時、私の中でプツンと何かが切れた。
闇の力が怖かった、でも彼女にだけは渡せない!
彼女といて、リュミエール様が幸せになれると思えない、
エテルニタより私の方がリュミエール様を愛している自信がある。
ひょっとすると、婚約破棄された意図とは
反してしまうかもしれない、
それでもエテルニタをこのままにはしておけない。
幸い、3属性の魔法の力を歪め、
無理やり使役しているだけで、
闇の精霊と契約していないようだ、
契約さえできれば、私に勝機はある。
本の知識があるのは、こちらも同じなのよ!




