7-1(リュミエール視点)
学園でエテルニタを呼び出して問い詰める、
すると思いがけない返答があった。
「君がヒロイン?」
エマからレイラに度々闇の精霊から攻撃があったと報告があった。
調べてみると、エテルニタが闇の精霊と契約している事が分かった。
いや、契約とは言えない、どうやったのか知らないが、
力ずくで闇の精霊を手に入れ使役している。
作物の育ちが悪いのも、そのせいだと判明した。
きちんとした契約ではないので、魔力の質も変わらず、
本来精霊はずっと一緒に行動するはずなのに、
ほとんどその姿が見えなかった事から、
その事実に気づく事が遅れた。
「そうよ、この世界は私の為にあるの」
正直、エテルニタの言っている事は理解したがい、
ただ、闇の精霊を力づくとは言え、
使役している事は確かだ、用心する必要はある。
「闇の精霊を解放して欲しい」
「嫌だわ」
「君が闇の精霊を使役しているせいで、
作物の育ちが悪く、貧民が困っている、
何とも思わないのか?」
「貧民?そんなのくたばればいいじゃない、
弱肉強食っていうでしょう、
結局強い者が生き残るのよね」
私みたいに。
そう平然と言うエテルニタに愕然とする、
彼女に良心はない、自分が良ければいい、
それだけなのだと理解する。
「それで、返事はまだなのかしら?リュミエール様?」
傲慢に微笑む彼女を恐ろしい者を見る目で見る。
彼女には、レイラと婚約破棄して、
自分と婚約するよう言われている。
もちろん普通なら相手にしないが、
3属性の魔法が使える上に、闇の精霊を使役している。
下手な事は言えない。
しかも、レイラに闇の精霊に攻撃させている。
幸い、契約をしていないので、
闇の精霊の力は不安定で、本来の力は出し切れていない、
精霊の力は契約者の思いの強さに関係する、
実はエマは暗部の凄腕で、火と風の魔法を使う、
今まではエマが全て排除してきた。
本当なら、すぐにでも王宮で保護したいが、
闇の精霊に王宮メイドが操られる可能性を考えると、
それもできない。
今はエマに任せ、エテルニタを刺激しないのが一番だろう。
光の精霊には、作物の育成のバランスに力を使ってもらっている。
いくら婚約者とはいえ、レイラを優先する事はできない。
自分の立場を恨めしく思う、
皇太子と言う立場でさえなければ、
何をおいても彼女を最優先にするのに・・・・
「もう少し待ってくれ」
絞り出すような声に。
エテルニタはもう少しだけよと言っていた。
それから数日後の夜、光の蝶を見て、
思いがけない告白が聞けた。
やはり俺には彼女しかいないと思う。
しかし、その思いはあっけなく砕かれた。
「馬車が転落したそうだな!」
エテルニタに詰め寄る。
「まだ、生きているのでしょう?
悪運が強いっていうか、しぶといんだから
毒を飲ませても、すぐぴんぴんしてるし」
その言葉に愕然となる。
「毒とは何だ?」
「えー、ダンスパーティの時に、あの女に毒を盛ったの、
数日寝込むはずだったのに、
何事もないように動いているなんて、むかつくったら」
ダンスパーティの件は報告を受けている。
王宮の調査でも疑問点が多かったが、これで謎が解けた。
彼女が闇の精霊に毒を盛らせたのだ。
人を苦しめる事を何とも思っていない、
おそらく、人一人殺す事も同じだろう。
「早く皇太子妃にしてくれないと、
本当にあの女死んじゃうかもね」
笑顔で言う彼女に、もう駄目だと思う。
レイラ、彼女を失う事だけは耐えられない。
その為、俺の心がいくら切り裂かれようとも・・・
「分かった、君を皇太子妃に迎えよう」
「あら、やっと?これで本の通りになったわ」
目の前の女は無邪気な顔をしていた。




