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6-1 光の蝶

秋も深くなってきた頃、

出かけないかと、リュミエール様に誘われた。


夜に出かける事を不思議に思いながらも、

私は了承した。


馬車に乗って、しばらく馬車にゆられる、

いつも笑顔を絶やさないリュミエール様が、

どこか落ち込んだ表情で、

一言も言葉を発しないので、

馬車の中に重たい空気が充満する。



こんなリュミエール様初めて・・・・



今までと、明らかに違うリュミエール様に

戸惑いながらも、じっと耐える。



「着いたよ」


リュミエール様に手を差し出されて降りた所は、

森の中の開けた場所のようだった。


普段なら、月明かりや星が綺麗に光るのが、

闇の力の影響か、全体的に暗く、怖かった。



「リュミエール様・・・」


心細くて名前を呼ぶと、

リュミエール様が両手を広げる。



すると、その場に無数の光の蝶ができ、

きらきらと舞っていた。



「綺麗・・・・」


感動でじーんとなって、

この世とは思えない光景に魅入ってしまう。



「レイラ、好きだ」


光に包まれたリュミエール様が、

私に向かって告げる。


その姿が今にも消えてしまいそうで、

いつものリュミエール様はなく、

泣きそうな表情に胸が打たれる。



「私もです」


つい口走ってしまって、しまったと思う。



小説の世界である1年の学園生活では、

恋はしないつもりだったのに!



でも、今も胸はどきどきしている、

リュミエール様の事を好きになっていたんだ。

そう自覚する。



それに落ち込んでいる

リュミエール様をほおってはおけない、


マナーなど頑張ってはいるようだが、

ダンスが下手で、貴族の力関係、駆け引きに弱い

エマさんには王妃は務まらないだろう。


なら、私がリュミエール様を支えたい。


貧民など、苦しんでいる人に、

リュミエール様と共に寄り添いたい。



そう思って、リュミエール様を見ると、

驚いているのが分かる。


あれ?喜んでくれると思ったのだけど・・・・



「愛している、君だけを・・・・」


そう言って、優しくリュミエール様は

私を抱きしめた。





その数日後、エマと2人で買い物に行った帰り、

崖に差し掛かった時、いきなり馬車が揺れた。


馬のけたたましい鳴き声が響き、

体中に緊張が走る。


「何?」


ドンとエマが私を押し、馬車の外へと転がり出た。


「うっっ」


そのまま道に転がり落ちたものの、

エマが私を抱えてくれていたため、ほとんど痛みはない。


ただ、いきなりの出来事に、何が起こったか把握できなかった。


叫び声を上げる余裕すらなく、

ぼーぜんとしていると、ガラガラと大きな音を立て、

馬車が崖の下に落下していくのが見える。


それを見て、背筋が凍る思いがする。


まるでスローモーションを見ているかのような違和感、

悪夢を見ているかのようにしか思えない。


「うわあああ」


御者の叫び声に現実に連れ戻され、思わず手を伸ばすが、

エマにしっかりと抱きかかえられ動けなかった。


馬車に黒いものが巻き付いているのが見える。


あれは闇の精霊?


どうして・・・


そう思っていると、激しく馬車が何かにぶつかる音が響き、

静寂が訪れる。



あのまま馬車に乗っていたら、私死んでいた?



闇の精霊が私を殺そうとしたと言う事?



今になって、全身が震えてくる、

答えが出ないなか、エマの腕の暖かさのだけが支えだった。

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