4-1 ダンスパーティ
夏の夕方、ダンスパーティが開かれる。
その準備をしないとと思っていると、
リュミエール様から皇城に呼び出しがあった。
もう子供の頃から何度も通って、
良く知っている皇城を歩く。
案内人に、リュミエール様の部屋ではなく、
接待の部屋が用意されていると聞いて、
そちらに案内してもらう。
「待っていたよ」
接待の部屋には、すでにリュミエール様がいて、
アフタヌーンティーの用意もされていた。
促されて席に着くと、
メイドが紅茶を淹れてくれる。
「リュミエール様、このドレスは?」
部屋に入った途端、目に入ったドレス。
今日は、リュミエール様のパーティで付ける
宝飾を選ぶと聞いていたのに、
部屋の片隅に3つ程ドレスが置かれていた。
「何とか3つに絞ったのだけどね、
最後どれにするか決めかねたんだ」
予想通り、どうやら私のドレスらしい。
「どうして・・・・」
「いつも夜会では、お抱えのデザイナーの
ドレスを着ていて、ドレスを贈らせてくれないだろう?
なら、せめて学園のパーティのドレスは、
私好みのドレスを着て欲しいなと思って」
そう言って、にこにこしている。
ドレスは家格を示す。
また、流行や布の産地への配慮など、
様々な事を考えてデザインしないといけないので、
単に好きな物とはいかないのだ。
リュミエール様はそれを知っていて、
学園のパーティーなら、格式ばった舞踏会
とは違い、好みででも大丈夫と思われたのだろう。
それにしても、リュミエール様好みのドレス、
どれも可愛らしいデザインで、
最近大人っぽいデザインを着る事も多くなった
のだが、リュミエール様の中では、
私は可愛い少女の印象なのだなと思う。
それでも、私の好みは熟知しているので、
3着とも着てみたいと思わせるデザインは流石。
「嬉しいです、ありがとうございます」
「さっそく着てみて!」
ご機嫌なリュミエール様に促されて、
メイドに手伝ってもらって別室で着替える。
それから、3着ともリュミエール様に披露して、
ようやくパーティーで着る1着が決まった。
「今日は、リュミエール様の宝飾を
選ぶの予定でわ?」
そう言うと、どこからか宝石商が現れ、
いくつものジュエリーを披露する。
「レイラのドレスに合わせて、
宝飾品を選びたくてね、
せっかくだし、お揃いにしないかい?」
確かに、宝石商が持ってきたのは、
私の選んだドレスに合う宝石ばかりで、
しかも男性とのペアになっていた。
「ドレスは私が選んだのだ、
宝飾はレイラが選んで欲しい」
「私が選んでよろしいのですか?」
「ああ」
普通、皇族の身につける物は、
専門の人間が選ぶ。
普段でもそうなのに、パーティ用となると、
緊張してしまう。
「学園のパーティなんだ、
そんなに気を使う必要もないよ」
リュミエール様は軽く言うが、
リュミエール様のセンスが問われる。
下手な物は選べない。
真剣な表情で、宝石商と話しをしていく、
自分の物を選ぶより、真剣かもしれない。
そんな私を、リュミエール様は、
ゆったりとソファに座って眺めている。
「どうされたのですか?」
「いや、幸せだなと思って」
リュミエール様が私の手を取る。
「宝飾を選ぶ時間なんて、
面倒ぐらいしか思っていなかった、
でも、君が真剣に選んでくれている
と思うと、何にも代えがたい時間に
思えてくる」
そう言って、私の手に口づける。
私は何も言えないで、そのままされるがままになっている。
「君と一緒にいると、全ての時間が輝いて見える」
しばらくして、
「私もです」
と小声で言うと、ぎゅっと私を抱きしめてくれた。




