01,妄想世界の君
「はぁ,,,」
昼休みのチャイムが鳴った。私にとって、
授業よりも地獄の時間だ。
「なぁ、放課後祐志んちあつまんね?」
みたいな会話があちらこちらで交わされている。
授業中でさえ面倒で地獄なのに、それ以上の昼休みは最低最悪の時間だ。
それが私。望月奈月。二人組をすぐつくれない。休み時間は教室の隅っこで妄想に明け暮れるか読書に熱中する。
誰からも話しかけられず、話しかけない。
まぁ、<ぼっち>ってやつ。
「すいませーん!奈月さーん!」
あ、ちょっと語弊があったな。
そんな世に言う負け組の私に話しかけてくれる、たった一人のクラスメイト。
それが彼女・天月彩葉。
同級生にすら敬語を使うという超ド級の真面目ぶりで、一緒にいると思わず気を遣ってしまうからか、クラスで浮いている。
私のように話しかけるなオーラ全開ではなく、自分から話しかけるなど馴染むための努力を惜しまない、超良い子。
オブラートに包んで話してくれる彩葉。
ド直球ストレートできっぱりいう私。
正反対のはずの私達は、妙に馬が合った。
「どしたの?」
「ええっと、ちょっと聞きたいことがありまして,,,」
「うん、それで?」
「噂なので話し半分でいいんですけど,,,」
「前置きは良いから、聞きたいことは?」
「あの、最近、夢を見ないんです。一週間前くらいから。原因不明。突如としてみなくなったんだそうです。何か知りませんか?」
「んー。あんま気にしてなかったからなぁ、ごめん、わかんない。力になれなくてごめん。」
「あ、いえ、変なこと聞いてすいません,,,!」
言い終わると同時に、予鈴がなった。
◆「ふぁぁ,,,ねみぃ,,,」
今読んでいる小説の結末が気になりすぎて、読み終わる頃には10時30分を過ぎていた。
本当に見ないのか気になったが、あっけなく夢へ落ちていった。
「あ,,,れ,,,?ここは?,,,彩葉?」
「気が付いたんですね!良かったです。」
「なーづきー!」
「なっちゃん!」
あー、こんな同時に話しかけられたの、何ヵ月ぶりだ?なっちゃんなんて呼ぶ人いたか?
徐々に意識が戻るのと共に、視界もハッキリ見えてくる。
「明,,,花彩さん,,,これ、何?夢、なのかな?」
「俺らにもわからん。だが、現実じゃないのは確かみたいだ。,,,向こうのあいつらも誰だかわかんねぇし,,,」
明の指差す方を見る。年は同じくらいだろうか、見知らぬ子供が5人ほどいた。
「私達も知らないの,,,」
「やあ!」
「「「うわぁっ!」」」
声がした方を見ると、こちらも年は同じ位だろうか、少年が浮いている。
けど、なんか違和感が,,,
人型だけど人じゃないような,,,
見開いているはずの瞼は閉じず、瞬きする気配すらない。動きも、どこか人間離れしているような気がする。
「驚かせてすまない。僕は夢という概念の具現化、まぁー、わかりずらいと思うからとりあえずユメって読んでくれればいいよ」
なに言ってんだか意味不明だけど、とりあえずユメね。
幼めで、同じ小5くらいの見た目だ。
「君達を此所へ呼んだのは、まぁ、たすけてほしいからだね。」
「はぁ?そんなことのために呼んだの?」
「まぁまぁ、落ち着いて。僕が居なくなったら世界中の皆がこまるはずだよ。」
よくわかんないや。
「僕は夢という概念の具現化。夢の世界の秩序が保たれるよう、見守っている存在なんだ。そして、今とっっっても重大な,,,まぁ、<バグ>と呼ぶとしよう。原因はよく分からないがバグがおきていて、このバグを直さない限り、君ら以外は夢を見れない。夢は、記憶の整理につかわれる。つまり簡単に言えば、夢を見なきゃ世界は大混乱ってわけさ。」
まぁ、よくわかんないけどはやくバグを直さないとユメ,,,いや、世界レベルでやばいのね。
「あと、この世界の時間は現実よりも遅い。君らは大体八時間前後寝るでしょ?実は、現実で四時間たつと、夢の世界では一時間しか経っていないことになる。
あと、此処に入れるのは午後八時から午前7時まで。昼寝しても入れないよ。無駄な魔力は控えたいからね。」
「じゃあ大体二時間くらいここにいることになるんだな。」
「そーいうこと。なんか質問はあるかい?」
「ふぁーい」
向こう側の女の子がいう。
「何でうちらな訳?しょーじき、嫌なんですけど。」
「ごめん。何で君たちかは僕にも分からないんだ。ただ、君達が<バグ>の発生に関係があることは確かなんだ。特に、そのこからは深い関係を感じる。」
そういって指差した先にいたのは,,,
私だった。
「な,,,奈月さんが?!」
「まぁ、それはおいておくとして、今日は時間ないし、自己紹介でもしといて。」
何か、テキトーな奴だな。
「じゃあまず私達からね。私はあんな。小5。栞菜の双子の姉。あ、似てないとかは聞きあきてるから。,,,え?漢字?木に口の杏に、菜っ葉の菜よ。とりま、よろしく。」
「あ、じゃあ,,,私、かんな。杏菜の双子の妹。
ええっと、栞に菜っ葉の菜で栞菜。よ、よろしくお願いします。」
「あの,,,私、とうか。十に香りで十香。小5です。えっと、迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします。,,,って、感じでいいのかな,,,?」
「こんにちわぁ、私、ほまれって言います。なんかよくわかんないけど、とりあえずよろしくねぇ~。」
「どうもこんにちわ。俺は名前ははづき。葉っぱに月で葉月だ。取り合えず、これからよろしくな。」
あー、おぼえられっかな?
杏菜に、栞菜に、十香、そして穂希、それから葉月な。
次は私達の方か。
「こんにちは。奈月です。奈良県の奈と月で奈月です。奈落の奈って覚えないでほしい。小5。えーっと、読書が趣味。取り合えず、よろしく。」
「どうもこんにちは。彩葉です。彩りと葉で彩葉です。奈月さんと同じ小学校の5年生です。どうぞこれからよろしくお願いします。」
「おいっす!俺、明!漢字は明るい一文字だ。アホだから迷惑かけるかもしれねぇけど、これからよろしくな!」
「こんにちわ。萌花と言います。萌え袖の萌えに花で萌花です。よろしくね。」
萌花が優しくはにかんだところで、今宵は明けた。
<作者からの後書き>
作品を最後までご覧いただきありがとうございます!
<妄想世界の君へ>いかがでしたか?
少しでも面白い!続きが読みたい!って思ってくれたら嬉しいです(*´▽`*)
恐らく20編くらいになると思います,,,!(違ったらすいません。)
<★次回予告★>
謎の夢に集められた9人の小学生。奈月達に課された使命とは!?
次回は4月26日(金) に投稿します。
追伸
初登場のキャラにふりがなふりました!
読みにくくて困った方大変申し訳ありません。