おでん屋台のたまごの噺
どーも。たまごですぅ。
たまごと言っても、卵焼きになるワケでも、目玉焼きにワケでも、ありません。
だからといって、オッサレにスクランブルエッグになるなんて事もない。
今、ボクはお出汁の香るあったかい……。
え? なになに? オッサレ? オッサレって何って?
オッサレって、オッサレだねぇ~。みたいに使うでしょ?
え? 使わない? 使わないの? え、死語? たまごの年齢を、疑う?
たまごは、生まれたてピチピチの、年齢なんてないんじゃい!
「大将、こんばんは。今夜も冷えますね」
「へい、いらっしゃい。何にしましょう」
おっと、若そうなOLさん。お一人でおでん屋台とは。
たまご選んでくださいよ? お出汁の沁みた、おでんの定番なんですから。
「そうだなぁ。大根と、たまごと、ちくわぶ。あ、つくねもお願いします」
ありがとうございます。OLさん! アンタ、見る目ある!
たまごを外すなんぞ、たとえお天道様が許しても、このたまごが許しません!
「他には、熱燗と、カラシはたっぷり。ですね」
「大将、流石ですね。私の言いたいこと、何で分かったんですか?」
「常連さんの好みは、覚えてますので」
いやー、今日も冷えますよ。たまごは熱々のお汁の中なんですけどね。
OLさんに食べてもらえるなんて、たまご冥利に尽きますよ。
たまごだけに、キミに食べられたい。なんちゃって。
お後がよろしいようで、そろそろこの辺で。
ご静聴ありがとうございました。