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めんどくさいやつってどこにもいるよね

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無事に冒険者ギルドの裏に転移をした。

エメと一緒に冒険者ギルドの門を開けると、まだ朝だったため以前に比べて冒険者が多く、ジロジロと見られた。

「エメ君執務室に直接行くよ。」

「うん。なんかこわい。」とエメはシンジュにしがみついた。

「私も怖いよ。何で皆睨みつけてくるのかな?」

冒険者の格好をした者達からの視線をビシバシと感じ、シンジュも怖かった。

「ぼくたちのこときらいなのかも。」

「エメ君は可愛いから大丈夫。多分女のなのに冒険者ギルドに居るのが許せないのかしれない。」

「みんな目がわるいのかな。シンジュ様ほどすごい人はいないもん。魔法でバンバンかっこいい。」

「ありがとう」

とシンジュとエメは冒険者ギルドで会話をしながら歩いていた。

実は会話の内容は耳の良い獣人達には丸聞こえだった。

冒険者達は全く睨んでいなかった。ただ冒険ギルドに不釣り合いだった2人を見ていただけだったがまさか恐れられているとは···その場に居合わせた面々はしばらく鏡を使って笑顔の練習をするのだった。



シンジュとエメはもう少しで執務室というところで、冒険者ギルドの職員らしき人に止められた。

「貴方達はなぜ部外者なのに侵入してきたのかしらぁ?ここは私達ギルド職員と上位冒険者しか入れないわよぉ。」と目つきを釣り上げた職員に怒鳴られた。


初めて見る職員だったため私達のことを知らないのかな?とシンジュは不思議に思った。

ギルドマスターからは冒険者ギルドの職員全員に『子供が来たら問答無用で執務室へ案内するように』と周知をしたと聞いていたからだ。

そのため「ご忠告ありがとうございます。私達はギルドマスターから直接執務室に来るように連絡を受けています。そこをどいていただいてもよろしいでしょうか?」とシンジュは説明をした。


しかしそれに対してより怒りをあらわにした職員は、

「ハァ?あんた達みたいな子供が呼ばれるわけないでしょぉ。早く汚い子供は帰りなさい。ッペ」と言うとシンジュ達につばを吐いて追い払おうとしたのだ。


へ?何が起きたのか分からなかったが、服を確認すると濡れていた。しかも何だか濡れたところが臭い···暫く唖然としたが先程の職員の行動を思い出すとツバを吐かれたことを理解し、すかさず洋服にクリーンをかけた。


祖国で虐められてはいたが流石にツバを吐かれたことはなかった。子供がやらないことを大人がやるなんて···ギルド職員の質を疑った。それに服装も派手だし、ギルドに不釣り合いだと考えた。

更にこんなことをしたらギルドマスターに怒られるのでは?とシンジュは思った。そのため「いや、そこをどいてくれないと、後々お姉さんギルドマスターに怒られるよ?」と

一応忠告をした。


「そんなわけないでしょぉ。彼と私は仲良しなのよぉ。大人の関係ってやつよぉ?子供のしかも平民の貴方達には分からないだろうねぇ。早く帰らないと騎士団を呼ぶわよぉ?」


ギルドマスターとのあれこれについてはどうでもいいし、別に騎士団を呼ばれたところで全く問題ないと思った。

「呼んでみたらどうですか?でも貴方の勘違いでギルドは大変になりますね。」ともう1度忠告をしたが逆効果のようだった。


「うるさいわねぇ。汚らわしい。」思わず叩かれそうになると何とも良いタイミングにギルドマスターがやってきた。


「そこの女、お前は何やってんだ?何で俺の客人に手を上げてんだよ。」

「私は何もしてませんわ。この汚らわしい子供が私に暴力を振るってきたので正当防衛ですわ。ギルドマスターは私のことを信じてくださるでしょぉ?」と先程とは違ってギルドマスターにすり寄りながら涙を浮かべて自分の正当性を訴え始めた。


そんな女の様子にハァ~と1度ため息をついたギルドマスターは「お前って本気で馬鹿だな。馬鹿だとは思っていたが、ここまで脳の出来が悪いと実家も大変だな···アルパカって賢いって聞いたのにな。」と言った。


「そうでしょぉ。この子供達はほんとに馬鹿ですよ。早く騎士団を呼んでください。私は貴方と早く二人になりたいわ。」


ギルドマスターが全く話が通じない女に驚いた。

「こんなに話が通じねぇ獣人は初めてだな。お前ら2人は俺の執務室で待ってろ。俺は不法侵入したこいつを騎士団に預けてくる。」

「うん。分かったよ。その女の人ちょっと危ない人だから気を付けてね。妄想癖が凄いみたいだから。」

流石のシンジュもギルドマスターを不憫に思った。


「あぁ分かってる。テーブルに置いてある菓子は食っていいぞ。ただ一応鑑定しろよ?こいつの実家から送られてきた菓子だからな。」


いや、そんなお菓子は食べたくない···とシンジュは思った。

軽口を叩き合っている2人を見ていた女はシンジュを睨みつけると「ちょっとぉ私を仲間外れにしてぇ何を話してるのぉ?」とギルドマスターに甘ったるい声で話しかけた。



「お前はクビ。即刻国元に返す。お前の家と国には俺からクレームを入れるから。ほら帰る準備しろ。」

「いやよぉ。帰るわけないじゃない。何言ってるのぉ?貴方が私を守ってくれるのでしょぉ?」

と言うもギルドマスターは『帰す』の一点張りで、流石に不味いと思った女はギャーギャーとわめき出した。


すると奥から本物のギルド職員がやってきて、うるさい女の人に猿ぐつわをつけるとギルドマスター達は一緒に消えていった。


時間で言うと女とのやりとりは30分程度の出来事だったが、物凄く濃くてシンジュ達は疲れてしまった。


「エメ君ごめんね。直接転移すればこんな事にならなかった」

「だいじょうぶだよ。てんい?はぼくだけのヒミツでしょ?」

「うん。ありがとう。」

そんな会話をしながらシンジュとエメは執務室へ移動しギルドマスターを待つのだった。

次回は12月30日です!今年もあとわずか♡

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