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砂糖を作るよ

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家に戻るとギルドマスターと隊長が待ち構えていた。

「お前らどこに行ってた?」と機嫌が悪そうなギルドマスターがいた。


やっぱり無理やり寝かせたことを怒っているのかな?

「市場に行って来たけど2か所しな見れなかった。」


「そうだよ。シンジュ様がいっぱいおにく!!!ぼくぼくぼく久しぶりのお肉うれちぃ。あとさとう?もかったよ。」

とエメは身振り手振りでお肉を買ってもらえたことが嬉しくて興奮しながら伝えた。


ギルドマスターはどうでも良さそうにエメの話を聞いていたが『砂糖』という言葉が出ると突然表情を変えて「砂糖とはどういうことだ?」とキレ気味にシンジュを問い詰めた。



「砂糖の前段階?を買ったよ。ギルドマスターにあげた砂糖よりも美味しい砂糖を自分で作りたいな〜と思っていたらたまたま見つけた!」

砂糖よりも何百倍も安かったな〜いい買い物が出来た。

そういやサトウキビって自分では育てられないのかな??




「は?砂糖の前段階だと?そんなのが売っているのか?見せてみろ。」と話を聞いているうちに興奮し始めたギルドマスターは尻尾をバッシンバッシンと隊長に叩きつけた。


いつも耳も尻尾も動かないギルドマスターがこんなに砂糖に興奮するなんて···それに隊長さんの顔が引き攣っているような···痛そう。

とりあえずアイテムボックスからサトウキビを取り出して見せてあげると、

「は???これが砂糖の材料?嘘だろう?」と驚きの声を上げた。

同じく隊長も「私も子供の頃よく噛んだぞ。頑張った時のご褒美に親が買ってくれたのを思い出す。」と言った。



そうなんだ。ドワーフ達にはサトウキビはどこでも売っているものなのかな?

それに祖国でもサトウキビって売っていたのかな?小さな世界で生きていたから民達の暮らしが分からない。まあ今後サトウキビを見つけたら噛むことはせずに砂糖にしちゃうけどね〜

「これで砂糖を作る予定だよ。でも時間がかかりそう!美味しく出来たら隊長さんにもあげるね。あ!!そういや隊長さんに色々迷惑かけてごめんね。」

謝るのを忘れていた。入国時に良くしてもらったけれど結局隊長の家に泊まらなかった。



「こちらこそ色々悪かった。パンダにはキツく叱っから安心してくれ。」


パンダ?あーーあのドッスンドッスンの人···久しぶりに思い出した。そんな人いたな〜でもその人はどうでもいいや。今回は別のお願いを頼みたい。

「ありがとう。それよりも頼みたいことがある。隊長さんのお父さんに作って欲しいものがある!!」

フライパンに鍋にしゃもじ〜他にも欲しいものがいっぱい。


「聞いてみる。今は祭りも終わって暇をしているから作ってくれると思うが、ただえり好みが激しいから断られても許してくれ。」


「別にいいよ。いつ会えるかな?」と隊長とやり取りしているとギルドマスターがどんどん近づいてきて「おい、これで本当に砂糖になるのか?」と聞いてきた。


顔がスレスレまで迫ってきて怖い···でも人化してもネコヒゲみたいなのが生えていて可愛い。ピクピク動いてるな〜自分の意志で動かせるのかな?とマジマジと顔を観察していると、

「おい!!!俺の顔になんか付いてるか?」


へ?あれ?見つめすぎた···

「ごめんごめん。砂糖になるよ。作り方が分からないから試行錯誤しないといけない。ただもし作ることができればこの国の砂糖とは全く違うものになるはず。きっと好みが分かれると思う。」


「作ってくれないか?!今すぐに!!俺は甘けりゃ何でも良い!!」


顔が近い近い···キスすれすれじゃん···元婚約者にもこんなに近づかれたこと無い。

何でこんなに切羽詰まっているのかな?!

「でも今日はクッキーを作ったり、私のスキル確認をしたい。」

「それは明日に回してほしい。お願いだ。」と突然頭を地面に突き出した。


どうしてこんな風にお願いされたのか分からないシンジュは困惑した。

エメも隊長も驚いてギルドマスターを凝視していた。

「頭を上げて」と何度もお願いするも動かないギルドマスターに根負けしたシンジュは「わかった、わかったよ。作るよ!その代わりに明日も仕事を休んでほしい。」


「あぁ約束しよう。砂糖を作ってくれるなら何でもする。1年休んだっていいぞ?」


意味が分からないことを言ってる···

ここまで甘いもの好きだったなんて知らなかった。

ハァ〜今日はスキル見る予定だったのに···砂糖なんてどうやって作ればいいの?作ろうとは思っていたけれど、

先が思いやられる···


その後すぐにギルドマスターによってキッチンに連れて行かれたシンジュは何が何でも砂糖を食べたいギルドマスターのために作ることにした。


「茶色の砂糖じゃなくて黒っぽい砂糖になるけれどいい?」


「もちろん問題ない。砂糖として使えるなら嬉しい。」


さすがに白い砂糖の作り方は分からないけど、黒糖なら搾って煮詰めれば出来るはず。そのためにはまずここにあるサトウキビを細かくしてから···

ザクザクザク··· ザクザク···とサトウキビを切っていく。音はいいけど硬い···ゼェーハーゼェーハー切るだけで息切れしてきた。

何でこんなに太いの···マッチョの太もも並みじゃん···


そんな様子のシンジュにギルドマスターが「ぉい大丈夫か?手伝うぞ!」と声をかけた。


その言葉を待ってました!!!!!こんなマッチョサトウキビを1人で調理するなんて無理です。

「ここにある木を20本ほど切ってほしい」と頼んでみた。


そういや虎って手で搾れるのかな?ギルドマスターは人化していても手が虎だった。それにちゃんと肉球もあったはず···ぷにぷになのかな?まあそれは後で確認するとして切らずに搾れるならそれが1番早いはず。

一応「やっぱり切らずに手で搾れる?」と聞いてみた。

するとすぐに手で握り潰し、ドバドバと蜜が垂れてきた。


「わぉ!!!」と一瞬驚いて静止したがすぐに慌てて鍋を差し出し、「すごいね!!20本分を搾ってこの鍋に入れてほしい。」と伝えて全部搾ってもらった。


もし自分1人だけだったら1本も搾れなかっただろうな。

そもそも搾る前に切るだけで腱鞘炎になってたはず···


搾ってもらった密は1度濾をしてから火にかける。

「エメ君ゆっくりかき混ぜてくれる?」


待たされていたエメは「はい」と元気よく返事をした。

エメはシンジュ様とクッキーを作る予定だったのに、ギルドマスターに取られてしまって悲しかった。

だけれどシンジュに仕事を任せてもらったことが嬉しくて必死にぐるぐるぐるぐると高速回転で混ぜるのだった。


シンジュはそんなに混ぜなくても平気なのにな···と思いつつも頑張って混ぜている姿になかなか止められなかった。

疲れたら交代しようと思っていたが1時間ほどアクを取りながらエメが混ぜ続けた。

さすがにシンジュが「疲れてない?」と聞いたが「大丈夫」の一点張りで、アクを取っていたシンジュだけが何故か汗だくだった。

その後15分ほど混ぜ続けるとドロドロと茶色に煮詰まり固まってきた。

火を止めて焦げないように混ぜ続けると茶色の塊ができあがった。

我慢できずにスポーンで掬って食べてみると「おいしい」と思わず声が出た。

エメも一口食べると「なにこれ。おいちぃ!!!」と爪を出して興奮した。

ただ煮詰めただけなのに、事前に濾して煮詰めながらアクを丁寧に取り除いたことが良かったのかな?旨味がすごい。

前世でもこんなに砂糖が美味しいと感じたことがない。


エメが混ぜ続けたのも良かったのかもしれない。

そんな事を思っていると「できたか?」と声をかけたられた。

そうだった、これはギルドマスターに頼まれたのだった。

「出来たよ。エメ君に感謝してね。エメ君がいたから美味しい砂糖が出来たよ。」と伝えた。

すぐに出来上がった砂糖をギルドマスターの口に入れてあげると目がガバっと開き「うまーーーーい」と叫んだ。


すると家にあった家具がガタガタと揺れだして、バタンッバタンッと倒れた。部屋が揺れていないのにも関わらず、器用に家具だけがガタガタと揺れる様子は怪奇現象のようだった。



食べて暴走するって、、、フェルとライオスの時と同じじゃん。

デジャヴ?とシンジュは思った。

次回は12月15日になります。

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