次の日の朝と1日
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「いたっ」と夜中に目覚めたシンジュは小声で叫んだ。
夜中にこむら返りを起こしたのだった。久々に足をつったシンジュは必死に冷えきった足を伸ばして痛みが治まるのを待った。
昨日の夜、寝る準備をしていたシンジュはふくらはぎがパンパンに張って痛かったためシャワーで身体を温めてから寝ようと思っていた。
シャワー後眠気が来てなければマッサージをして筋肉をほぐそうかな〜と考えながら服を脱いで蛇口をひねると「ヒャァッ」と思わず声が出た。頭の上から水が降ってきたのだ。予想外の出来事に慌ててシャワーの魔道具に魔力を込めたが水しか出ない。なんで?それに水が濁って汚い···急ぎシャワールームから出ると魔法でキレイにし、風邪を引かないように布団にくるまって寝たのだった。
その結果、冷えと筋肉疲労と水分不足でこむら返りを起した。
久しぶりの痛みに顔が歪んだが、ある程度足を伸ばすともう1度シャワールームで温度を確認してみた。
今まで足をつった後は血行を良くするのが1番治るのが早かった。そのため何としてでも温まりたかった。
元日本人としてはお風呂に入れなくてもシャワーはたまに浴びたい···
だか昨日と同じように冷たい水しか出てこなかった···
あれ?やっぱり冷たい水しかでない。なんでだろ??もしかして獣人は毛で覆われてるから冷たい水で平気なのかな?前世で北極のクマとか平気だったもんな〜と毛で覆われている獣人は冷たい水しか使わない省エネ種族なんだと勘違いしたのだった。
実は一部の獣人スタッフの嫌がらせで冷たい水しか出ないようにされていたのだ。ライオスやフェルなど上位冒険者の仲良くしていたことで、それに嫉妬した者から嫌悪の視線を向けられていた。
ただシンジュはその後すぐに宿を出てしまったため特に気にすること無かった。
結局シャワーを浴びることが出来なかったシンジュは冷たい水に触れたことで目が覚めてしまった。何もすることがなかったシンジュは外を観察していた。
鉱山都市は土や金属、錆びた鉄の臭いがしたが、この街は食べ物と下水の臭いが混じっていた。それにドワーフよりも冒険者が多く歩いている様子だった。
朝日が上がるにつれて宿自体も廊下がガヤガヤと騒がしくなってきた。
あまりにもうるさかったため扉に耳を近づけてみた。すると壁が薄いため話がよく聞こえた。
「今日はどの依頼にする?」
「あぁそうだな、ワイバーンはどうだ?昨日依頼書が貼ってあったよな?」
「僕達だけでは危険じゃないか?」
「俺らはもうBと言われるくらい強いから大丈夫だ!それより早く行こうぜ。フェルさんに認めてもらおうぜ?」
「そうだね。あと早く人間を懲らしめたい。」
「あぁ、その意見に同意だ。あの神々しいフェルさん達と食堂でご飯を食べるとか許せねぇ」
「本当だよな。どの部屋にいるんだろうな?潰してぇ。」
「潰す前に俺達は成果を上げるのが先だぞ?」
「すまねぇ。」
この声は聞き覚えがあった···昨日シンジュとエメを罵倒した冒険者の声だった。しかも自分達の力に見合ってない魔物を狩りに行くようだ。
やっぱり猫獣人は頭が弱いのかな〜フェルに気に入られたいなら私達を排除するのではなく、仲良くすればいいのな〜と思った。
それに自分達に見合っていない魔物を倒しにくなんて···聞いてしまった手前、良心が痛んだシンジュは一応朝食の席でフェルとライオスに報告するのだった。
それから暫くして起きたエメと共に食堂に向かうと既にフェルとライオスの2人は食事を終えていた。
昨日に引き続き肉の塊が出てきたため一口も食べることなく全てエメに渡し、シンジュは早朝の件を報告をした。
「昨日の冒険者を覚えてる?」とフェルとライオスに声をかけたが、何故かチータ獣人が近づいてきた。それと同時にライオスは椅子から立ち上がると2人でどこかに消えた行った。
やっぱりあの2人は昨日夜に会ってたのかな?自分達に影響がなければ何をしててもいいや。
シンジュは気持ちを切り替えてもう1度「昨日の冒険者を覚えてる?」とフェルに質問をした。
「どの方でしょう??」
「門のところで私達に暴言を吐いた猫獣人!」
「ええ、もちろん。ただ彼らは早死しますよ!」
「え?そうなの?その人達が自分達より強い魔物を狩りに行く話を盗み聞きしちゃって、、、一応フェルに報告しておこうと思ってた。」
「そうですか。報告ありがとうございます。しかし冒険者は自己判断ですからそれで死んでも仕方ありません。貴方が気に悩む必要はありませんから忘れなさい。」と言われたのだ。
普通の異世界人(神子や聖女)なら「猫獣人が可哀想」と、、、たとえ嫌われていても助けに向かうかもしれないが、シンジュはもともと周りに対して冷めているため『モブの冒険者の皆さんご愁傷さまです。悪役令嬢には何も求めないでください』と心のなかで思うのだった。
話をしている間にエメは食事を食べきり、中々戻ってこないライオスを置いてフェルと一緒に部屋に戻った。
フェルは自分の部屋に戻るのではなく、シンジュ達の部屋へ入ってくると「貴方にギルドマスターから連絡が来ました。」と言った。
連絡?何かしたかな···と考えていると「貴方は昨日騒ぎを起こしたを忘れてしまいましたか?」と言われて思い出した。
そうだった···面倒くさいなと思っていると、顔に出ていたようで「私も一緒に行きますよ!!ギルドマスターからは至急冒険者ギルドに来てほしいと連絡があったので向かいますか?」
どうしますか??って行かなくてもいいな行きたくない。
「行かなくてもいいの?」
「行かなくても大丈夫ですが、ギルドマスターはどこまでも追いかけてくると思いますよ!」
それはめんどくさい···
「分かった。嫌なことは早めに片付けたいからもう行こう?」
そう言って3人で冒険者ギルドに向かうのだった。
その頃ライオスはチーターの獣人に忠告をしていた。
「これ以上騒ぐと俺も容赦しねぇぞ?」
「何言ってるの?何で来てくれなかったの?私と貴方の仲でしょう?貴方が冒険者をやっているから私も冒険者になったのよ!」と言ったチーター獣人の服装は全く冒険者に見えなかった。露出度の高い服装で身体から異臭を放っていた。
「は?よく言うぜ!お前のことはすぐに調べたぞ。獣人の間で有名だったからすぐにわかった。ライオンやトラなどの大型肉食獣に手を出すチーター獣人ってお前のことだろ?」
「誰のことかしら??そんなの知らないわ。」
「お前さ肉食獣に嘘ついて関係を迫るまでは良いと思うぞ。俺達も発情期があるから仕方ないが、その後子供が出来たと嘘ついて金を引き出させるらしいな?それはもうやめたほうがいいぞ。」とライオスはチーター獣人を諭すように言った。
「は?あんたに何が分かるのよ?」
「お前さもう既に獣人国でもチーター族の間でも犯罪者になってるぞ?次やったら100%捕まって処罰される。そもそもさ、お前のその服装なんだ?へそが見えてるけど、寒くねぇの?あとお前さ口も身体もくせぇ!!!もう少し俺達と一緒にいた子供のように可愛くないと売れないぞ?」と言ったライオスは「せめてズボンは針と糸で縫ったほうがいいぞ?」追加で伝えると去って行った。
チーター獣人は唖然としていたがすぐに立ち直るとイライラと奥歯をガリガリと噛み締めた。
たしかにこの方法では最近男が捕まらなかった···まさか犯罪者になっていたなんて知らなかった。
それにこのへそ出しは流行りだし、ズボンはダメージを効かせるために穴を開けただけだわ···と爪をかみながらブツブツと呟いていると、次第に「あの子共達殺してやる」となぜか矛先を方向転換したチーター獣人が子供たちに向けて悪意を持つのだった。
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次回は明日11月27日になります!