表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/143

試行錯誤

いいね、ブックマークありがとうございます!

やる気満々で料理をしようとしたシンジュだったが、

いざ作ろうと思ったが焚き火台がない、、、包丁もない。


少しがっくりしたが魔法は『イメージ』を思い出して、湖の側に落ちていた大きめの石を火魔法で熱し、高温にすることでコンロのように使うことにした。

石の大きさ特大の鍋が置けるサイズだった。


さっそく高温で熱している石の上に鍋を置き芋を入れた。包丁がなかったため丸のまま入れるか困っていたところ、エメがりんごほど大きな芋をなんと『手』で4等分に割った···ゴリラ?だと思ったがもちろん声には出さず「ありがとう」と伝えてから鍋に入れた。

時折お玉で焦げないように混ぜて、そこへ小麦粉、バター、牛乳を入れてしっかりダマが無くなるように混ぜ合わせ、あとは放置してグツグツ煮込み最後に塩味で整えて終わり。


材料がないので今あるもので作ったが優しい牛乳の香りにお腹が空いてきた。幸い牛乳はたくさん譲ってもらえたので、少しでもエメの成長痛の助けになればいいなと考えた。



暫くグツグツと煮ていたが芋が大きかったため心まで火が通らない···待っている間に他の料理を作ってあげたいが、何せ材料も器具もない。

隣では『ぐぅ~ぐぅ〜ぎゅるるるるる』と盛大なお腹の音が鳴った···その音を聞いたシンジュは居た堪れなくなり「少し目の前の湖を見てくる。この料理はエメに任せた」と伝えエメの見える範囲をウロウロしながら他に食料がないか鑑定魔法をかけながら湖付近を確認した。


するとすぐ近くにクレソンが茂っていた。


名前 クレソン

生息地 水辺、小川、湿地

食用 可

特徴 旬を過ぎているため硬い。繁殖力が強いためたくさん収穫すると周囲の植物が喜ぶぞ!!

収穫しすぎても明日には生えてくるので好きなだけ引っこ抜け。



名前 イワタバコ

生息地 湿った岩場

食用 可

特徴 タバコじゃないよ!葉の形がタバコに似ているだけだから安心して食べれる。だけど繁殖力がものすごーく弱いから全部摘むのは禁止。優しく扱ってね!!



とりあえず2つとも摘んでいこう。

イワタバコはサクッと摘むことができたが、

クレソンは水の中に入らなければいけないのが怖い···遠くの方でバシャンッバシャンッと水を叩きつける音が聞こえ、明らかに巨大魚が跳ねる音がする。襲われたら逃げられないと思ったが、幸いクレソンが生えている場所は手前にあった。すぐに採れそうな場所に『うーーーん頑張れ自分』と勇気を出しドレスを捲りあげバシャッバシャッと湖に入った。1番手前の部分をボキボキと適当に折ったが、アイテムボックスに仕舞うこともせず急ぎ湖から出た。


フゥーーーーとため息を付き「怖かった」とボソッと呟いた。クレソンが生えている近くに小魚の群れがいたのだった。その小魚たちの歯がピラニアのように鋭く不気味だった···さらに手前は浅かったが、泥が思いのほか深く丈が長いドレスと靴が濡れてしまった。ただ犠牲を払って2種類も収穫できたシンジュは大満足をし、急ぎ濡れたところを魔法で乾かし戻ることにした。

ぐるっと後ろを振り向き拠点へ向けて一歩踏み出すと、鋭い視線でエメがこちらを睨んでいることに気がついた。


エメの元へ近づいていくと鍋をひたすらぐるぐる混ぜならが、目をそらさずじーっとシンジュを見つめている。


その様子に思わずギョッとした···先程と違った意味で怖い。もしかして置いて行かれたと思ったのかな??謎の汗が額から止まらない。



「エメ君お疲れ様。鑑定魔法を使って食べれそうな食材を見つけたよ!ちょっと美味しいか分からないけど、クリームスープを食べ終わって、もしまだお腹が空いてたらその鍋で茹でようかな···」

とエメの様子に戸惑ったシンジュは慌ててエメに話しかけた。




「うん。ぼくりょうり好き。この前も楽しかったけど、今日はもっと楽しいねー?でもね、おいていかないで?それにね、ひとりでみずはだめだよ。」と淡々とエメは言った。

エメはフライドポテトを作ってから食べることも料理することも大好きになっていた。自分で作った料理を皆が『美味しい』と言ってくれて物凄く嬉しかった。料理人になりたいと思い始めていたが、1人にされるならやりたくないと思ってしまった。



「私もエメ君と料理を作れてうれしいな!これからどんどん食材を増やしていくから頑張ろうね!明日は一緒に食材を収穫しようね。」へへへと思わず苦笑いで返事をした。



「うん!ぼくがんばる!」

シンジュ様····やっぱりぼくは食べるだけでいい···と思うのだった。



それから話を切り上げてクリームスープを確認したところ、芋が煮上がり、とろみがついていた。


「エメ君美味しそう!!頑張って混ぜてくれてありがとう」


「ぼくがんばったからね!おいしちぃはずだよ?」


先程まで空気が悪かったが2人とも鍋の様子を見てニコニコ顔になった。ミルクの香りとトロリとしたスープが美味しそうだった。



いざ食べようと動いたときスプーンが無いことに気がついたが、エメが近くに落ちていた木の枝を爪で削ってスプーンを作った。こんなに爪が鋭かった?と驚いたが「ツメの出し入れができた」と本人が言っているので前からできたのかな?と勘違いしたシンジュはそのままエメにフォークも作ってもらった。

器は歩いてる時に見つけた葉っぱを使うことにした。クリーンをかけたので安心して使用ができる。

ただ深皿ではないため、芋しか乗せられない···行儀が悪いが鍋にそのままスープでスープをすくって食べることにした。


エメと一緒に『いただきます』と声がけをし、最初に芋を一口食べてみると芋の優しい甘みとミルクの風味がした。

この世界のバターは保存が効くように塩がたくさん使われているためか、かなり塩っぱい。そのためスープには塩を使用しなかったが、充分美味しい味になった。


「味はどう?」


「温かい味がする。おいちぃ!!!」

初めて食べる白いスープ···今まで食べ物に比べると物凄く味が薄かった。だけれどいっぱい食べても喉が渇かかないことに驚いた。そして胃も痛くならない。エメは夢中でもっともっとと食べ続けていたらスープの中身が無くなっていた···

シンジュ様の分も食べてしまって泣きそうになったが「たくさん食べてくれて嬉しい」と言ってくれた。


僕も嬉しくて「もっともっとだべれりゅ」と伝えると、もう何も入っていない鍋を使って緑の葉っぱをグツグツと茹でてくれた。味はピリッとしてよく分からない味だったけどバターの味がしていっぱい食べれた。

「緑の葉っぱは身体を作るのに大切だよ。」と教えてもらった。葉っぱは美味しい訳じゃないけど、大きくなるためにいっぱい食べたい!

明日は生えてる場所に必ず一緒に連れてってもらおうと思うのだった。



シンジュは茹でたクレソンを食べて、クセがないから食べやすいけど茎の硬さに驚いた。バリッバリッと噛む度に音がする。歯が欠けないか心配したが、少しでも緑の物を食べようと頑張って収穫したクレソンを一生懸命バリッバリッと音を立てながら食べたのだった。



食べ終わったシンジュは横でバリッバリッと食べているエメを見ながら、明日はエメともっと周囲を散策して美味しい食材を見つけようと気合を入れた。せめて歯に優しい食材を見つけたい···と思うのだった。


その後以前のように結界テントを張って早めに就寝をした。

次回はこのあとに閉話を載せます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ