塩分が課題?いや···
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それからシンジュは何を1品教えるか悩んでいた。
塩分過多の料理に意味があるかもしれないと思ったからだ。
なぜならドワーフの多くは高温な場所で仕事をしている。鍛冶場では高温で素材を溶かし武器を作ったり、鉱山では火山や地熱のある場所で仕事すると聞いたことがあった。それならば塩分過多でもいいのでは?と思ったが、いくら汗をかいて塩分を必要としても多すぎる。さらにお酒を飲むから脱水を起こすのでは?と考えていた。
シンジュが1人の世界に入って悩んでいる間、エメ達は3人で話していた。
「おめぇあの嬢ちゃんとどんな知り合いだ?昨日鉱山ギルドでも何かやったろ?噂になってんぞ!ギルド長が小躍りする姿なんて初めてみたぞ。」料理長はギルド長の小躍りを思い出し寒気がした···ブルブル
「シンジュ様?ぼくをたすけてくれた。なんでも知ってるよ。そしてね、つよい、かっこいい···ぼくだいすきなんだ。」へへへ
話を聞いていたボリスは温かい目線で、
「それはよかったなぁ。お前の見かけから何か訳ありかとは思ったが、良いお嬢さんに助けてもらえてよかった。ここはほとんど竜人は来ないから安心して過ごせるぞ。なんかあったら助けてやるからな!!!」と言った。
「うん!お兄ちゃんありがと!ぼくうれしい。」
エメは自分に優しい人ばかりで何度も驚いた。
今までは周りの人達は厳しい者ばかりだった···シンジュと同じくドワーフが大好きになった。
「料理長さん、油ってある?食用で使える大量の油がほしい!」やっと復活したシンジュが料理長に声をかけた。
「あぁあるぞー!おいおめぇ家から取ってこい。母ちゃんに伝えてこい。」
はいと走って見習いはどこかに向かった。
「油なんかどうすんだ?」
「油で揚げ物をするよ!深い鍋と芋はまだある?」
「揚げ物?聞いたことねぇな。それならあるぞ。」
と困惑しながら厨房に準備をしに行った。
「シンジュ様 なにつくるの?ぼくもやる。」
エメはやっと何かが始まってワクワクする。
「油っていうもので芋を揚げるよ!すごく簡単だけど、油は危ないから芋を一緒に洗おうね。」
「分かった!!!ぼくたのしみ!!」
僕でも役に立てるかもしれない。頑張らないととエメは気合を入れた。
そんな姿を見てシンジュは苦笑いをした。
何を作るかたくさん悩んだが、肉の下処理は流石に出来ないと思った。豚や牛がいるのか?それとも魔物の肉なか、、それすら分からなかった。そのため目の前のマッシュポテトで使われている『芋』が思い浮かび、芋と言ったらフライドポテト···と連想ゲームのような発想でフライドポテトポテトを作ることになった。
ダンダンダンダンと駆け上がってくる音が聞こえ、「料理長もらってきたぜ!でも奥さんから伝言!!!作ったら持って来いって。」
「おうわかった。かあちゃんは何してた?」
「えーーーっと何か金を磨いてた。ギルド長からインスピレーションもらったとか何とか?俺は意味がわからんかった。」
「アイツ!また動いてんのか?休めって言ったのによ」ッチ
なになに?エメと目があった。聞いてほしそうな瞳で訴えてくるエメに負け「あのかあちゃんって?金を磨く?」
「あぁ?おめえらもあったろ?俺のかあちゃん。受付にいたろ?今腹には俺達の子供がいるのに動き回って···ッチ もう生まれるから医者から動き回るのを禁止されてんだ。んで金だよな?あいつは宿屋もやってけど、本業は鍛冶屋だ。だから鉱物がいっぱい置いてるぞ。」
「鍛冶屋で宿屋はダブルワークで働き者ですね。」
あの奥さん妊娠してるように見えなかったな?動いてる分膨らまないのかな?と疑問に思ったが口に出さなかった。
「あ?ダブルワーク何だそりゃ?まあいいけどよ、早速教えてくれ。」
と言われて厨房に向かった。厨房はとても広くテーブルや床はキレイだった。竈だけでなく、オーブンや保冷庫まであった。材料は保冷庫に肉がギッシリ詰め込まれ、片隅に牛乳ーやバターが入っていた。更に倉庫には芋や小麦、干し肉、酒が大量にあった。
香草類もきっちり保管されていて『あの香辛料料理はこれで作られていたのかと思った』少し苦笑いを浮かべた。
それからあたりを見渡すと···「料理長野菜は?」と思わず聞いた。どこを見ても野菜、果物が1つもない。まさか···
「ドワーフが野菜なんて食うわけねぇだろ!俺らは肉!肉!肉!それに酒が大量あれば十分だ!!!」
うわぁー想像通りの答えだったよ。これは早死するでしょ?
塩分過多と動物脂肪の塊肉とアルコール···ドワーフさん大丈夫かな?身体の作りが違うのかな?
「ちなみに料理長!!ドワーフさん達は何か病気になったりする?」
「病気?そんなの酒飲んでれば治るぞ!まあ死ぬのは突然だからな。俺の爺ちゃんも突然死んだぞ!ピンピン元気だったんだがなぁ、ある日パタっとだったな。ガハハハハ」
それはきっと高血圧から来る病気が原因なんじゃないでしょうか···ハハハ思わず苦笑いである。この人たちの食生活を私達続けたら早死にする···ハァ〜とため息つき、聞いてしまったからには少しだけ料理を教えようと思った。
「分かりました。じゃあ早速料理をしましょう。手洗いをしてください。」
と伝えると料理長も、見習いさんもハテナマークだった。『え?』と思ってしまったが『手が汚れる』という概念がないかもしれない。貴族令嬢の時にわざわざ手を洗った記憶がないもん。衛生問題もでてきた···
「手に黒いものが付いてないですか?この黒い汚れがあるとご飯が不味くなります。さらにその手で作った料理を食べると具合が悪くなる場合があります。だから手を水で洗ってほしいです!」
「手?黒くないぞ?いつもこれでやってから大丈夫だ。」
ハァ〜先が思いやられる···どうやったら洗ってもらえるか悩み始めた。
シンジュ様困ってる?僕は黒いやつを知ってるぞ。
「料理長、黒いやついるよ!ぼく見たもん。洗うと白くなるよ?シンジュ様は正しいことしか言わないからやってみてよ?」
「小僧ほんとか?俺は大丈夫だけどな、」
言い訳ばかりする料理長に向けて
「じゃあ料理長はそのままでいいですよ。見習いさん?は必ず洗ってください。万が一がありますから、奥様にお出しする料理は見習いさんが作ったものをあげます。」
「どういうこった?」
「汚い手のまま料理をしたものを妊娠中の奥様が食べた場合に具合が悪くなることもありますよ?妊娠は病気じゃないけれど、通常と身体は違いますからね。」
「は?ほんとか?やる。やる。洗ってくる。」
それ聞いて慌てて洗いに行った。
ここまででだいぶ時間が過ぎている···ハァーともう一度溜め息をつき、今日は外に出られなそうかな?と考え始めた。
次回は明日11月1日なります!
10月お疲れ様でした!!