やっと移動ができるよ!ワクワク
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先程無事に屋台で串焼きを購入し、街を見る余裕が出来た。お祭りで盛り上がる街の雰囲気に2人の心が踊っていた。
早く隊長の家に向かわなけばと思いつつも、どうしても街に目が言ってしまう。
お店の看板には何が売っているのか分かるように剣や盾のマーク、飲食店らしきお店には肉や、お酒のマークが書いてある。どのお店も人で繁盛し、楽しそうな雰囲気が伝わってきた。
エメは初めての街歩きでワクワクドキドキとあっちにフラフラ、こっちにフラフラと移動し、それに合わせてシンジュも移動した。シンジュも自宅の離れと学院の行き来しかしたことがなかったため、どこを見ても目がキラキラと惹かれた。何てことはないお店の外装や、それこそ落ちているゴミにまで目を輝かせた。
ただ『落ちているゴミが鉄?さすがドワーフ』と心のなかで思っていた。
暫く街を歩くと少し臭いが気になった。表通りは清潔のようだが、下水道が整備がされていない為、少し裏に入ると汚物の臭いや馬糞の臭いが所々臭っていた。
折角魔法があるのだから魔法できれいにすればいいのにな〜と思ったが、今日はこの雰囲気を楽しもうと気にしないことにした。
『ルンルンルン〜ルルルルルン』可愛らしい鼻歌が横から聞こえた。エメがとても楽しそうで、シンジュも興奮していた。2人で鼻歌を歌いながらウィンドーショッピングを楽しんだのである。
そんなちびっ子2人組を冒険者や街の住人たちが微笑ましく見守っていた。
花屋の店主A
「あの子達可愛いわね〜!!!」
屋台の店主B
「俺の店の料理を食ったぞ!!!」
冒険者C
「ギルドで見たちびっこ2人組可愛かったな〜」
そん街中の声が聞こえ、なぜか隊長が鼻高々であった。
「隊長さんあのキツネのマークは何?すごい混んでるね。」
「あぁあれはキツネ獣人のお店だったはずだぞ。確か油揚げっていう甘いやつを売ってたぞ!」
「油揚げ!!!今度連れてってね!」
油揚げがあるなんて最高!前世が日本人かな?お稲荷さん食べたいなとシンジュは思った。
そんな会話をしながら3人で門まで向かった。隊長さんに連れて来られた門は先程の入国審査した場所とは違って、門の先は草むらが生い茂り、更に奥には深い山が広がり遠く方には岩肌が見えた。
「ここからは馬車になるぞ。事前連絡をしたからそろそろ来るはずだ。」
馬車?こんなに混んでるのか借りれたのかな?と少しシンジュは心配になった。
すると予想が当たってしまった··
ドスンッドスンと地面が揺れ、後ろを振り向くと
巨漢な生き物が走ってきた。ドスンッドスンッ
「お〜い隊長!!!」手をブンブンブンと振る巨漢
ッチ
隊長の舌打ちが聞こえたと思ったら、巨漢さんが目の前に迫っていた。
「隊長!ちわっす!どこ行くっすか?俺も帰りっす!一緒に帰っていいっすか?」
「俺は今日客人を家に案内するから一緒にはダメだ。」
誰?巨漢?頭の上に丸く小さな耳が2つ···獣人のようだが、2人の関係性が読めない。
「良いじゃないっすか。いつものように俺の背中に乗せてください。馬車はキャンセルしときましたよ!」
「あぁ?どういうことだ?俺は馬車を予約したのだが、、、お前の背中は一般人には無理だ。」
「大丈夫っす。高速走りであっという間っす。」
・・・・・・
謎の巨漢と揉めている···かれこれ30分も言い争っていて、空はまだ明るいがもう夜に近づいていた。今日1日散々待たされた2人は、さっきの楽しい気分が疲れた気持ちに塗り替えられ始めた。隣では「ハァ〜」とエメがため息をついた。流石にそれを聞いてシンジュは行動に移すことにした。
小声で「エメ君、どうする?隊長の家はやめようか?」
「うん。もめてる···ちょっとつかれた。」
それを聞いたシンジュは無言で頷き、隊長と巨漢の2人から距離を取ると急ぎ門を出た。幸いこの世界は日照時間が長いため夜でも明るい。さすがに暗くなるまでには拠点を見つけたい。そのために2人で草むらを必死に歩いた。
草むらの中はサクッサクッサクッと歩くたびにいい音がなる。草の音が不思議に思ったシンジュは鑑定魔法を使った。
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名前 音草
生息地 どこにでも生える。街の近くには人工的に植えている。
食用 不可
特徴 熊避け鈴ならぬ、『魔物避け草』!音草があるところには魔物が来ない。何故なら音で周りにバレてしまうため危険を察知し近寄らない。ただ例外もあるため自分の歩く音以外を注意して歩くことをおすすめする。
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エメ君にも情報を共有し、内容を確認した。
この音草···最強にすごい植物だった。物凄くビックリをした。以前考えていた生活の質を向上するには『魔物避け』は切っても切り離せない植物である。
この世界は街を出ればすぐに魔物に遭遇するような危険な場所が多いため、安全に暮らすには何よりも必要な植物である。
ただ『熊避け鈴···』と鑑定魔法には書いてあったがシンジュのイメージ力の問題なのか、それともこの世界がおかしいのか··早く鑑定魔法を詳しく調べたいと思った。
ただ思わず鑑定の表記には笑ってしまったが···エメは熊を見たことがないため無反応だった。「熊避け鈴」は前世限定なのかな?
それから特に鑑定することなく暫く歩いた。初めはサクッサクッサクッととても気持ちよく歩いていたが、エメはもう飽きてしまったようで無言である。
そろそろ草むらが終わり森に入る。まだ空がギリギリ明るいため早めに拠点を探したいが、、、夜はゆっくりしたい。
「エメ君そろそろ森に入るよ!」
「はい。」
草むらから森に入った。森の中は開けた場所が無さそうで、獣道しか見つけられない。そして相変わらずすぐに虫の魔物がやってきた。
虫に好かれてるのかな?と考えていたら···カメムシの巨大なやつが、、、流石に勘弁して下さい。
あまり臭さに「いぎでぎないね」と思わず声が出た。
鼻を押さえても無理で吐きそうになる。ゲホッゲホッ
「ぐざいでず・・・」
エメもカムムシの臭さにやられたようだった。竜人でもこの臭いは厳しいらしく、エメの目から涙がポロポロとこぼれている。
「うぅぅ」あまりの虫の多さにシンジュも涙が出た。
シンジュは『なぜこんなに虫の魔物ばかり···どうしてだろう?』と頭の中で必死に考えた。答えが出ない。
たしかに前世は蚊に刺されやすかった···この短い悩んでる最中にも虫の魔物がにバッシンバッシン当たり続けている。結局答えがわからないまま森を抜けるために空を飛ぶことにした。
「エメ君怖がらせてごめんね。あまりの虫の多さに空を飛ぶことにした。」
「はぃ。ぞれ、がいい。」
という会話をしてすぐ朝と同じような要領でエメに翼を生やし空へ向かって上昇し、森の中からは何とか抜けることが出来た。そこから今日の寝床を探すために、門から見えた岩肌に向かって飛び始めた。暫く飛び続け今日は岩肌辺りで寝ようかと考え始めた時···虫なんて忘れるくらいの光景が目の前には広がっていた。
岩肌に沿って円柱状に大規模な鉱山都市があった···
遠目からではあるが岩がくり抜かれ坑道のようになっている。
どんどん近付くにつれてくり抜かれた坑道あたりが光り輝き、カンカン ドンドン
バアーーーン物凄い音が聞こえる。
思わず唖然とし、2人で空中で止まってしまった。
エメから「うわぁぁぁ」と歓喜の声が聞こえる。
この光景は凄すぎる···先程の街も素晴らしかったが声が出ない。鉱山ってこんなにキレイなんだ···と驚いた。
前世、テレビのニュースで違法採掘の鉱山現場を見たことがあったが、全く光っていなかった。それになにより環境が悪く薄暗い危険な坑道を採掘していた。ダイナマイトで穴を開け、酸素が少ない環境で危険が隣り合わせだと聞いていた。
違法ではない鉱山でも危険が多く、事故が多いと聞いたが···これは別物である。
こんな光景···なんと答えたら良いのか分からない。
あれだ!!!人気な海外旅行先!!アニメに出てくる繁華街の元になったと言われる観光都市だ!!たしかあの観光都市は海に面した山間で···金鉱山だったはず、、、まさにあのような場所である。
「エメ君これはすごいね?」
「なにこれ?キラキラ光ってる。」
同じくその意見に同意する。暫く飛んで、鉱山都市の近くで降りて歩いて向かうことになった。
「エメ君ここで泊まろうか?」
「はい」
ニカッと笑顔で鼻息フンフンと大分嬉しそう!!
私も嬉しくなってきたよ!疲れが吹っ飛ぶ!!!
「すごッ!!!!」
目の前に鉱山都市の入口が見え、思わず呟いてしまった。
エメも目を丸くして見上げている。
空から見ていたときよりも何倍も大きな鉱山都市の入口にデカデカと『鉱山都市ドラリタス』って看板が建てられている。
入口の門にはちびっ子ドワーフがどっしり構えている。
まさにファンタジ〜!!!これを待ってました!!!
いよいよ鉱山都市へ
小説を書いていて旅行に行きたくなりました!!
次回は明日11月26日です!